日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2020年04月 -2024年03月
代表者 : 小林 江里香; 村山 洋史; 山田 篤裕; 菅原 育子
研究計画2年目の2021年度は、10月から12月にかけて、全国の60歳以上を対象としたパネル調査の第10回調査を実施した。2012年の第8回調査から追跡を継続する対象者(69歳以上)と新規対象者(60-92歳)には、面接法と留置法を併用した訪問調査を実施した。依頼状を送付した対象者数は、第8回から追跡する対象者については、事前に死亡・施設入所や調査継続拒否が確認された人を除く934人、新規対象者は住民基本台帳を用いて全国から層化二段無作為抽出した2,700人である。調査員が対象者の自宅を訪問し、対象者本人への面接調査(重い病気等の場合は家族等への代行調査)を行い、対象者本人が面接に回答した場合はさらに留置調査も依頼した。面接調査の回答者数(代行を含む)は、第8回からの対象者が706人(77%:訪問時に死亡・施設入所が判明した人を除く回収率)、新規対象者は1,227人(同46%)、留置調査の回答者はそれぞれ638人、1,016人であった。
他方、1987年~1999年(第1回~第5回)より追跡する継続対象者(85歳以上)730人および第8回調査からの対象者8人(施設入所判明者など)の計738人については、予算上の制約から家族等による代理記入を認める調査票を郵送し、健康状態、入院・入所状況などの把握のみを行った。調査票回収または家族等からの連絡により6割強の対象者の現状(死亡を含む)を確認できた。
第10回調査の準備・実施と並行して第1回~第9回調査(1987年~2017年)の既存データの分析を行い、独居と抑うつ傾向との関連が、性別、居住地域の都市度、調査時期により異なるかや、私的介護・介護サービス利用の約20年間の推移などについての論文化を進めた。