研究者総覧

堀田 晴美 (ホッタ ハルミ)

  • 自律神経機能研究 研究部長
Last Updated :2025/04/05

研究者情報

学位

  • 理学博士(北海道大学)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 老化   体性-自律神経反射   自律神経   aging   somato-autonomic reflex   autonomic nervous system   

研究分野

  • ライフサイエンス / 生理学

経歴

  • 1996年  :東京都老人総合研究所自律神経部門主任研究員
  • 1996年  : TMIG, Department of the Autonomic Nervous System,
  • 1993年  :東京都老人総合研究所自律神経部門研究員
  • 1993年  : TMIG, Department of the Autonomic Nervous System,
  • 1984年  :東京都老人総合研究所生理学部基礎第二研究室助手
  • 1984年  : Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology (TMIG),
  • Senior Research Scientist
  • Research Scientist
  • 2nd Department of Physiology, Assistant Researcher

学歴

  •         - 1984年   北海道大学   理学部   生物学科
  •         -   北海道大学   Faculty of Science   Biology

所属学協会

  • 日本生理学会   日本神経科学学会   日本自律神経学会   日本基礎老化学会   Physiological Society of Japan   Japan Society for Neurovegetative Research   Japan Society for Biomedical Gerontology   Japan Neuroscience Society   

研究活動情報

論文

書籍

  • I.基礎、2.痛みと痒み、「痒み―本態、原因、対策」 石橋康正・吉川邦彦(編)
    医薬ジャーナル社 1994年
  • III.ストレスと老化、1.神経系の老化、「神経・内分泌・免疫系のクロストーク」 広川勝�(編)
    学会出版センター 1993年
  • 2章1.神経系と老化、「新老年学」 折茂肇(編)
    東京大学出版会 1992年
  • 5章 物理療法からみた皮膚のしくみと働き、「物理療法・鍼灸マニュアル」 玉川鐵雄・西條一止(編)
    南江堂 1991年

講演・口頭発表等

  • 一過性脳虚血時の軟膜動脈拡張反応に対する血管周囲のアミロイドβ蓄積の影響-アルツハイマー病モデルマウスを用いた検討-
    渡辺信博; 野田義博; 根本妙子; 飯村佳織; 清水孝彦; 堀田晴美
    日本自律神経学会総会プログラム・抄録集 2020年

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2025年03月 
    代表者 : 堀田 晴美; 重本 和宏
     
    高齢者のサルコペニア(骨格筋萎縮)予防のために「口から食べる」重要性が指摘されている。しかし、その理由はよくわかっていない。嚥下を誘発する咽頭への機械的刺激が、自律神経を介して甲状腺からのホルモンの分泌を促進するという現象を、私たちは新たに見出した。本研究では、この成果を発展させ、口や喉からの情報が、自律神経を介して骨格筋の維持をもたらすとの仮説を確かめるための基礎研究をおこなう。本研究の成果は、高齢者のサルコペニアを予防する新しい方法の開発につながるものである。 昨年度の研究により、咽頭刺激によって筋交感神経活動が高まり、骨格筋血流に影響を与えることが明らかになった。そうなると、その筋交感神経の活動は、骨格筋のはたらき(つまり筋収縮)にどのような意味があるか、疑問が生じる。そこで今年度は、骨格筋収縮力に対する筋交感神経の役割を調べた。 一側下肢を固定し、アキレス腱を露出して張力計に接続し筋張力を測定した。下腿三頭筋を支配する脛骨神経を、埋め込み電極を使って電気刺激した。刺激には、太い運動神経(I群線維)のみを興奮させる弱い電流を用いた。間欠的に高頻度刺激を加えることで、歩行時のようなリズミカルな筋収縮を誘発した。骨格筋が収縮すると、収縮筋からの細い求心性神経(Ⅲ群・Ⅳ群線維)が興奮して、反射性に心血管系の交感神経が興奮することが古くから知られている。脛骨神経刺激により下腿三頭筋が収縮すると、その時反射性に下肢の筋交感神経も興奮すると推測される。下肢への交感神経の専用経路である腰部交感神経幹を切断して、その切断前後で坐骨神経刺激による前脛骨筋の収縮力を比較することで、交感活動の筋収縮力への関与を明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 堀田 晴美
     
    本研究では、咽頭への刺激により甲状腺からのホルモン(サイロキシン、カルシトニン)分泌が増えるか調べた。やわらかいバルーンを口から咽頭へ出し入れして、麻酔をかけたラットの咽頭を刺激した。咽頭の刺激中、甲状腺からのホルモン分泌が倍増した。この反応は、咽頭や甲状腺と脳とをつなぐ神経の切断で消失した。それら神経の活動が咽頭刺激中に増加することも確認した。以上より、咽頭が刺激される嚥下時には神経性反射によって、サイロキシンとカルシトニンの分泌が増えることが示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 堀田 晴美
     
    咀嚼運動が脳機能に及ぼす効果の神経性機序を、認知機能と脳血流調節に重要な前脳基底部コリン作動系に着目して調べた。麻酔したラットの咬筋の筋電図、大脳皮質の血流と神経活動、前脳基底部神経活動を同時記録した。咬筋活動と脳波低振幅化の出現に伴い、大脳皮質血流が増加した。血流反応に先行して前脳基底部神経活動が増加した。筋弛緩薬投与後にも、咬筋運動神経活動に伴い、大脳皮質血流が増加した。大脳皮質血流反応は、前脳基底部への神経活動抑制薬あるいはコリン作動性神経毒投与により半減した。以上より、咀嚼筋活動に伴い、前脳基底部コリン作動性血管拡張系が賦活されること、その賦活には、中枢指令が関与することが示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年 -2013年 
    代表者 : 堀田 晴美; PICHE Mathieu
     
    1. 昨年度に引き続き、麻酔したラットの胃の運動・血流、およびそれらを調節する交感神経活動記録実験を行った。その結果、脊椎傍筋からの侵害受容入力が、脊髄分節性に胃交感神経を活性化させ、それによって胃運動を抑制すること、一方上脊髄性の降圧反射によって二次的に胃の血流を減少させることを明らかにし、論文発表した。 2. 侵害情報伝達を抑制する仕組みに扁桃体μ-オピオイド受容体が関わる可能性を調べる目的で、8人の健常成人(男女各4人)において、(1)生理実験と(2)放射性トレーサ[^<11>C]フェンタニルを用いたポジトロンCT検査を行った。まず生理実験で、足首への経皮的電気刺激で中程度の痛みを誘発し、同時に筋電図(屈筋反射)と脳波に記録される誘発電位(SEPs)の振幅を定量化し、手掌への冷水刺激(20分間)の影響を調べた。その結果、冷水刺激はSEPsのうちのP260(前帯状皮質の活動を反映する)の振幅を減少させ、屈筋反射や痛みの主観的強度には有意な影響を与えなかった。P260低下の程度は、ポジトロンCT検査で測定した右扁桃体におけるμ-オピオイド受容体結合能の程度と相関していた。以上の結果は、前帯状皮質への侵害受容伝達が冷水刺激で抑制されるしくみに扁桃体μ-オピオイド受容体の活性化が関与する可能性を示す。またP260の抑制が屈筋反射(脊髄反射)の低下を伴わずに起こった事から、扁桃体におけるμ-オピオイド受容体の活性化は、下行性抑制系とは独立した脳内機構を介して疼痛に関連する脳活動を減少させることを示唆する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 堀田 晴美; 内田 さえ
     
    前脳基底部の電気刺激が大脳皮質の神経栄養因子に及ぼす効果を調べた。ハロセン麻酔下・人工呼吸下のラットの頭頂葉皮質実質内にニューロペプチド・ダイアリシス・プローブを刺入して灌流し、細胞外液を100分毎に800分間採取した。ニューロトロフィンのうち、大脳皮質での産生量が多く、大脳皮質の虚血性障害を保護する作用を持つことが知られている脳由来神経栄養因子(BDNF)の量をELISA法で測定した。一側のマイネルト核に同心円刺激電極を刺入し、頻回電気刺激(200μA,50Hz、1s on/2s off)を100分間行った。Sham群においては、大脳皮質灌流液中BDNF濃度は、測定期間中5pg/ml以下と低値で安定していた。マイネルト核電気刺激群においては、刺激終了後300-400分後に大脳皮質灌流液中BDNF濃度が有意に増加した。BDNF放出増加反応がマイネルト核刺激中には見られず、刺激終了5-7時間後に見られたことから、BDNF放出増加反応は、大脳皮質細胞でのBDNF蛋白産生量の増加を伴う可能性が考えられる。そこで次に、マイネルト核刺激終了5時間後に脳を灌流固定し、BDNF抗体染色を行った。Sham群では、大脳皮質細胞の一部に弱く染まる細胞が見られたのに対し、マイネルト核刺激群では、大脳皮質における染色性がSham群と比較して、特に刺激と同側で強まり、BDNF陽性細胞数も増加した。以上の結果から、前脳基底部のマイネルト核から大脳皮質に投射するコリン作動性神経の賦活が、大脳皮質におけるBDNF蛋白発現を促進し、放出を増加させることが示された。このような大脳皮質におけるBDNF放出の増加が、以前に我々が報告したマイネルト核刺激による遅発性神経細胞死保護作用に部分的に関与する可能性が示唆される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 堀田 晴美; 内田 さえ
     
    [研究の背景と目的]近年、前脳基底部のマイネルト核や中隔核に起始し大脳皮質や海馬に投射するコリン作動性神経を活性化すると、大脳皮質や海馬で代謝性の血管拡張とは無関係の血流増加反応が起こることが示された。そこで本研究は前脳基底部の電気刺激による大脳皮質血流の増加が、一過性虚血による大脳皮質や海馬ニューロンの遅発性神経細胞死を改善するかどうかを明らかにすることを目的とした。 [研究方法]ラットの一側総頸動脈の断続的(5秒毎)結紮を60分間にわたって繰り返し、大脳皮質と海馬に軽度な血流低下を繰り返し起こし、軽度な遅発性ニューロン死を引き起こすモデルを作成した。海馬は椎骨動脈からの血流依存性が大脳皮質より強いため、海馬についての研究の際には、あらかじめ椎骨動脈を両側性に永久結紮しておいた。一側総頸動脈の断続的結紮中の大脳皮質あるいは海馬血流の反応をレーザードップラー血流計を用いて測定した。結紮後の大脳皮質および海馬の神経細胞死を組織学的に調べた。結紮した動脈と同側のマイネルト核あるいは内側中隔核に、結紮の5分前に開始し、結紮終了直後に終える、電気的頻回刺激(0.5ms,200μA,50Hz,1s on/1s off)を加えた。 [結果]マイネルト核刺激による大脳皮質血流の増加は、結紮による大脳皮質血流の低下を防ぎ、大脳皮質ニューロンの遅発性神経細胞死を抑制した。内側中隔核刺激による海馬血流の増加は、結紮による海馬血流の低下を防ぎ、海馬CA1ニューロンの遅発性神経細胞死を抑制した。 [結論]以上の成績は、前脳基底部のマイネルト核や中隔核に起始する血管拡張系の活性化は、大脳皮質や海馬における血流低下を防ぐことによって虚血によって誘発される大脳皮質や海馬ニューロンの遅発性神経細胞死を防ぐ可能性を示唆する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 堀田 晴美
     
    近年、前脳基底部のマイネルト核と中隔に起始し大脳皮質と海馬に投射するコリン作動性神経を活性化すると、大脳皮質や海馬で代謝性の血管拡張とは無関係の神経性血管拡張反応が、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を介して起こることが示された。 そこで本研究では第一に海馬に着目し、ラットにニコチンをi.v.投与してnAChRを刺激した際の海馬局所血流(Hpc-BF)の増加が、一過性虚血による海馬ニューロンの遅発性神経細胞死を改善するかどうかを調べた。Hpc-BFはレーザードップラー血流計を用いて測定した。トータル6分間の両側総頸と椎骨の4動脈の断続的(2分毎)結紮中、Hpc-BFは結紮前の約16%に減少し、結紮の5-7日後に海馬CA1ニューロンの約70%に遅発性神経細胞死が見られた。Hpc-BFはニコチン(30-100μg/kg,i.v.)により平均血圧とは無関係に用量依存性に増加した。ニコチン(30-100μg/kg)を結紮の5分前に投与すると、結紮によるHpc-BF低下は、わずかに、しかし有意に減弱した。ニコチン前処理した場合、一過性虚血後の海馬CA1ニューロンの遅発性神経細胞死は全ニューロンの約50%に減弱した。以上の結果は、nAChR刺激によるHpc-BFの増加は虚血による海馬ニューロンの遅発性死を防ぐことを示す。この成績は国際誌に受理され、掲載号の表紙に選ばれた(論文1)。 第二に大脳皮質に着目し、マイネルト核電気刺激による大脳皮質血流の増加が、大脳皮質ニューロンの虚血性障害を改善するかどうか調べた。トータル30分間の一側総頸動脈の断続的(5秒毎)結紮中、大脳皮質血流は結紮前の約70%に低下し、同側大脳皮質に軽度な選択的神経細胞壊死が見られた。同側マイネルト核を電気刺激しながら結紮した群では,結紮中でも大脳皮質血流が安静時血流以上に維持され、選択的神経細胞壊死が防がれた。 以上の成績は、nAChR agonist投与や前脳基底部電気刺激によるnAChR活性化は、海馬や大脳皮質で神経性血管拡張反応を起こし、脳血管障害による虚血性神経細胞死を防ぐ可能性を示唆する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1997年 -1998年 
    代表者 : 堀田 晴美
     
    本研究は、まず排尿機能の加齢変化の原因を明らかにすることを目的とし、成熟群(3-9ヶ月齢)と老齢群(30-37ヶ月齢)のラットを用い、膀胱支配の骨盤神経の有髄線維および無髄線維の伝導速度、数、大きさを神経生理学的手法・組織学的手法を用いて調べた。 有髄線維の場合、最大伝導速度(成熟群9.7±1.1m/s、老齢群11.0±1.5m/s)、数(成熟群662±27、老齢群625±56)、直径の分布は、何れも加齢により有意な変化は認められなかった。無髄線維の場合、最大伝導速度、加齢により有意な変化は認められなかったが(成熟群1.5±0.1m/s、老齢群1.5±0.1m/s)、数は有意に減少しており(成熟群4133±114、老齢群3113±456)、特に直径が0.7μmより小さい線維が減少していることが明らかになった。加齢により骨盤神経の細い無髄線維数が減少することが、排尿機能低下の一因であると考えられる。 次に排尿機能の低下の治療として鍼灸や理学療法などのような体性感覚刺激を用いる方法の有効性を検討するために、体性感覚刺激が膀胱に及ぼす効果を調べた。麻酔した成熟ラットを用いて、胸椎および腰椎の椎間組織にカプサイシンを注入し侵害性刺激を加えると、膀胱内圧が上昇した上昇した。これらの反応は頚髄で急性に脊髄を切断すると消失し、また、膀胱支配の骨盤神経を切断すると消失することから、骨盤神経を遠心路として脳を介する反射であることが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1997年 
    代表者 : 堀田 晴美; 佐藤 昭夫; 内田 さえ; 鈴木 敦子; 木村 敦子; 堀田 晴美
     
    本研究は、細動脈から毛細血管まで大脳皮質や海馬などの脳内の種々の部位の微細血管を連続的かつ定量的に観察する方法を開発することを目的とする。本年度は、意識下動物を用いて、最近開発されたデジタルマイクロスコープを用いて、大脳皮質表面の微細血管を連続的に観察する方法を開発し、種々の生理的刺激を加えた際の、大脳皮質表層血管径の変化を観察し、本方法の生理実験への有効性を明らかにした。 1.麻酔下でWistar系ラットの側頭部頭蓋骨に両側性に外径6mmのステンレス製パイプを歯科用セメントで装着した。装着したパイプを用いて脳定位固定装置にラットを固定し、頭蓋骨に4x9mmの穴を開け硬膜を切除し、脳表血管を観察するための窓を開けた。ラットの頭部をパイプで脳定位固定装置に、胴体をサポーターで実験台に安定に固定した。脳の表面の血管にデジタルマイクロスコープの焦点を合わせ、連続的にビデオテープに記録した。ラットの麻酔がさめたのちにデジタルマイクロスコープの倍率1000倍で、直径5-36μmの血管径の変化を連続的に観察することができた。 2 脳血管を拡張させることが知られている6%の炭酸ガス吸入刺激1分間を行うと、直径14-27μmの血管の直径はいずれも刺激後30秒で約130-140%に増大した。次に生理的な刺激として、ラットの後肢に1Hzでブラシでこする刺激を2分間加えた。その結果、刺激後1分後に、直径5μmの血管は約130%に、直径15μmの血管は約110%に、直径36μmの血管は約106%に、それぞれ直径が増大した。 以上の結果から、デジタルマイクロスコープを用いることにより、意識下動物の脳表面の血管の変化を連続的に観察し、種々の刺激に対する反応を研究することに対応できることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 堀田 晴美
     
    [目的]アルツハイマー病患者や高齢者において、前脳基底部マイネルト核に起始し、大脳皮質に投射するコリン作働性神経線維が変性することが知られている。また最近このコリン作働性神経が興奮すると大脳皮質血流が増加することが見出されている。高齢者における脳血流低下の原因として、マイネルト核のコリン作働性神経による大脳皮質拡張性調節機能の低下が考えられる。そこで今回ラットを用い、マイネルト核刺激による大脳皮質血流増加反応の加齢変化を調べた。 [材料と方法]実験には、3カ月齢、26カ月齢、33カ月齢のWistar系雌性ラットを用いた。ラットをウレタンで麻酔して人工呼吸を行い、呼気ガス中の炭酸ガス濃度、血圧、心拍数、体温を常時モニターし、生理的状態に維持した。頭部を開頭し、ラットの脳アトラスに従って前脳基底部マイネルト核に刺激電極を挿入し、電気刺激(0.5ms,50Hz)を行った。前頭葉及び頭頂葉の局所血流をレーザードップラー血流計を用いて連続的に測定した。実験終了後、脳の組織切片を作成し、刺激部位の確認を行った。 [結果]200μAで90秒間のNBM電気刺激を行うと、3カ月齢群の頭頂葉及び前頭葉の局所血流は、刺激開始後約10秒ですばやく増加し、刺激が終了するまで高いレベルを維持し、刺激終了後徐々にもとのレベルに回復した。26カ月齢群のラットでは、頭頂葉及び前頭葉局所血流は刺激開始後約10秒ですばやく増加してピークに達した後、刺激が持続しているにも関わらず、徐々に減少する傾向が見られた。33カ月齢群のラットでは、3カ月および26カ月齢群に比べて血流増加反応が著しく減弱していた。 [結論]本実験の結果より、マイネルト核のコリン作動性神経による大脳皮質血管拡張性機能は、加齢により低下することが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 堀田 晴美
     
    老年者の視覚機能低下の原因として、水晶体の透明度の低下、視細胞の感受性の低下や細胞数の減少が報告されている。視覚機能において、眼底の血流が重要な役割を持つと考えられる。老年者では一般に交感神経活動の亢進が示唆されており、加齢により目支配の頚部交感神経活動が高まり、血流を減少させている可能性が考えられる。そこで本研究では、先ず第一に成熟ラットと老齢ラットの安静時の眼底血流量を測定し、第二に、眼底血流調節における交感神経の関与を明らかにするため、交感神経の切断実験と刺激実験を行った。 実験は、6-7カ月齢および29-33カ月齢のFischerあるいはWistar系雄ラットを用い、麻酔下・人口呼吸下で実験を行った。老齢ラットは、外見的に目に白濁などの異常の見られないものを使用した。眼底血流は、水素クリアランス法あるいはレーザードップラー法で測定した。水晶体及び硝子体を取り除き、眼底を露出し、眼底表面に血流測定用のプローブを設置した。 (1)安静時の眼底血流の絶対値を水素クリアランス法を用いて測定した結果、老齢ラットの眼底血流量は、成熟ラットに比べて著しく低下していた。血流量は一般に血圧の影響を受けるが、両群間で血圧には差がなかった。 (2)頚部交感神経を切断した際の血流増加は、成熟ラットと老齢ラットで差はなかった。従って、交感神経活動は、老齢ラットの安静時血流の低下には関与していない。 (3)交感神経刺激に対する眼底血流の反応性は、1-20Hzの生理的範囲では、老齢ラットでも成熟ラットと同様に良く保たれていた。ただし、50Hzの刺激に対する反応性は低下しており、予備能力は低下していることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1995年 
    代表者 : 佐藤 昭夫; 内田 さえ; 鈴木 はる江; 堀田 晴美; 木村 敦子; 長田 理
     
    1.意識下のラットを生理的に安定な状態に維持して、レーザードップラー血流計を用いて脳血流を安定に連続的に測定する方法を開発した。ハロセンでラットを麻酔し、脳局所血流を測定したい部位の頭蓋骨をはずして替わりに透明のアクリル板をはめ込み、その上にレーザードップラー血流計プローブ用のガイドカニューレをのせて歯科用セメントで固定した。次に、ラットをハンモックに固定し、手足は自由に動かせるが移動はできないようにラットを保持した。ラットを麻酔から覚醒させた後、大脳皮質血流を連続的に安定に測定できた。この方法を応用してマイクロダイアリシスプローブによる大脳皮質細胞外液の採取も可能となった。これにより意識下ラットの大脳皮質局所血流と神経伝達物質を連続的に測定することが可能になった。 2.1.の方法を用いて、ラットをトレッドミルにのせてゆっくりと歩行させ、歩行時の大脳皮質の血流とアセチルコリンを測定することに成功した。歩行により大脳皮質の血流とアセチルコリンはともに歩行前の約150%に増加した。歩行による大脳皮質の血流増加反応はアセチルコリンのニコチン受容体遮断薬メカミルアミンの投与により減弱した。したがって、歩行時に脳内のコリン作動性神経系が作動して大脳皮質にアセチルコリンが放出され、大脳皮質血管が拡張することがわかった。 3.本方法を改変して、脳の深部にある海馬の血流を意識下動物で測定することが可能となり、歩行により海馬血流が薬10〜20%程度増加することがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1993年 -1995年 
    代表者 : 佐藤 昭夫; 木村 敦子; 堀田 晴美; 永井 信夫; 柏木 仁美
     
    1.免疫担当器官として脾臓に焦点をあて、体性感覚刺激が脾臓の免疫機能および血流に及ぼす影響とその自律神経性機序を、麻酔ラットを用いて解析した。胸部から後肢にかけての30分間のブラシ刺激(非侵害性刺激)は、脾臓NK活性および脾臓血流に有意な影響を与えなかった。後肢の30分間のピンチ刺激(侵害性刺激)は、脾臓NK活性を約70%に、脾臓血流を約80%に低下させ、脾臓交感神経活動を約140%に増加させた。後肢のピンチ刺激による脾臓NK活性低下反応は、脾臓交感神経の切断により消失した。また、脾臓交感神経の電気刺激は、脾臓NK活性と脾臓血流を低下させた。以上の結果より、後肢のピンチ刺激により脾臓交感神経を介して反射性に、脾臓のNK活性と血流が低下することがわかった。 脊髄ラットでは、後肢のピンチ刺激により脾臓のNK活性の低下はみられないので、後肢刺激による体性一免疫反射は脳を介する反射であることがわかった。一方、腹部のピンチ刺激では、脊髄無傷ラットでも脊髄切断セットでも脾臓NK活性の低下が観察された。したがって、腹部刺激では、脊髄を中枢とする体性一免疫反射が作動することが明らかになった。 2.さらに体性感覚刺激で種々の自律神経に誘発される反射性反応を解析した。体性感覚神経の電気刺激により、心臓交感神経や膀胱支配骨盤神経に誘発される反射電位の中枢内経路に一酸化窒素(NO)が関与すること、腎交感神経に誘発される反射の中枢内経路に一酸化窒素(NO)が関与すること、腎交感神経に誘発される反射の中枢内経路にNMDA受容体が関与することを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1990年 -1990年 
    代表者 : 堀田 晴美
  • 2.自律機能の加齢変化
  • 1.体性感覚刺激による自律機能の調節
  • 2.aging of the autonomic function
  • 1.somatic regulation of autonomic function

委員歴

  • 日本生理学会   評議員   日本生理学会

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