日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 大山 健一; 盛田 幸司; 川上 恭司郎
細胞から放出され体液中に存在するエクソソームは由来する細胞の特徴を反映していることから、様々な疾患で新たなタイプのバイオマーカーとして注目されている。本研究は、術後の免疫組織染色でしか知り得ないGH産生下垂体腺腫でのソマトスタチン受容体(SSTR)サプタイプの発現を、末梢血エクソソームの解析により測定するシステムを構築した後、術前後の患者の血清で測定し、組織でのSSTRの発現レベルとの相関を検討することにより、エクソソームによるソマトスタチンアナログ(SSA)の薬効予測診断の実現に向けた基盤的な知見を得ることを目的としている。
初期研究として、ヒト胎児腎細胞(HEK細胞)にソマトスタチン受容体2型(SSTR2)プラスミドを導入し、24時間エクソソームフリーの条件下で培養。培養液の上清を採取し, 上清から超遠心法によりエクソソームを単離した後、エクソソームマーカーに対する抗体(CD9、CD63等)を用いてウエスタンブロットを行い、エクソソームの単離を確認した。さらに単離を確認したエクソソームにおけるSSTR2の発現の有無を検討した。この際、最適濃度等の情報も十分でないため、まずはややタンパク量多め、抗体濃度高めにて行なったところ、エクソソーム内にSSTR2の発現が確認された。このため引き続き同実験系にて至適タンパク量及び至適抗体濃度の検討を行った。今後は引き続き下垂体腺腫細胞株(ラットGH3細胞)での検討を開始する予定で、同様な手法により、ラットGH3細胞エクソソーム内でのSSTR2の発現に関して検討を行うことを予定している。