日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2019年04月 -2023年03月
代表者 : 井上 律子; 柳井 修一
運動機能は加齢に伴って低下する。その原因のひとつは運動に関わる脳(皮質運動野)の加齢変化に伴う機能低下であり、高齢者のリハビリテーションを難しくしていると考えられる。本研究では、運動機能と運動野の神経可塑性における加齢変化に着目し、ミトコンドリア補酵素であるコエンザイムQ10 (CoQ10)投与により中・高年期の運動機能や運動学習の低下を改善する方法を探索する。
加齢に伴って低下する運動機能の神経基盤には、運動野の神経活動の低下および可塑性の性質変化が関与すると考えられる。老化動物では運動機能の低下に加え、脳ミトコンドリア機能低下、運動野の組織学的・電気生理学的変化がみられる。これらの生理的な加齢変化は水溶ナノ化CoQ10投与により回復することが明らかとなってきた。2021年度は、これまで見出したCoQ10投与により誘導される長期増強(LTP)が運動野の加齢変化に及ぼす影響とその生理学的意義を電気生理学的に検証した。