研究者総覧

石神 昭人 (イシガミ アキヒト)

  • 自然科学系副所長 副所長
Last Updated :2024/12/27

研究者情報

学位

  • 薬学博士(1990年03月 東邦大学薬学部大学院)

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J-Global ID

研究キーワード

  • 老化細胞   栄養   老化   ビタミンC   シトルリン化蛋白質   PAD   SMP30   老化制御   

経歴

  • 2023年04月 - 現在  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)副所長
  • 2014年04月 - 2023年03月  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)老化制御研究チーム 分子老化制御研究部長 チームリーダー
  • 2011年04月 - 2014年03月  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)老化制御研究チーム 分子老化制御研究副部長
  • 2008年04月 - 2011年03月  東邦大学薬学部生化学准教授
  • 2005年04月 - 2008年03月  東京都老人総合研究所老化制御リーダー・主任研究員
  • 1994年01月 - 2005年03月  東京都老人総合研究細胞化学部門研究員
  • 1992年05月 - 1993年12月  米国国立衛生研究所 (NIH) 米国国立老化研究所 (NIA)客員研究員

所属学協会

  • 日本ビタミン学会   日本分子生物学会   日本生化学会   日本薬学会   日本老年医学会   日本基礎老化学   

研究活動情報

論文

書籍

  • 日本ビタミン学会; 竹谷, 豊; 生城, 浩子; 池田, 彩子; 石川, 考博; 太田, 好次; 小暮, 健太朗; 瀧谷, 公隆; 田中, 清; 津川, 尚子; 内藤, 裕二; 野坂, 和人; 福渡, 努 (担当:分担執筆範囲:生理学(生理機能)、栄養学(欠乏症)、トピックス(ビタミンCとエピジェネテックス))朝倉書店 2021年07月 ISBN: 9784254102925 xv, 635p
  • 末光, 隆志 (担当:分担執筆範囲:寿命と成長)朝倉書店 2020年11月 ISBN: 9784254171662 xxiii, 746p
  • 石井, 敏浩; 田中, 博之; 石神, 昭人; 渡辺, 朋子 (担当:共編者(共編著者)範囲:老化のメカニズムと制御)京都廣川書店 2019年09月 ISBN: 9784909197511 vii, 128p
  • 糸川, 嘉則 (担当:分担執筆範囲:ビタミンC誘導体の開発)シーエムシー出版 2018年01月 ISBN: 9784781312217 vii, 221p
  • Protein Deimination in Human Health and Disease
    Kondo Y. Choi; E.K. Kim; Y.S. Ishigami A (担当:分担執筆範囲:Update on Deimination in Alzheimer’s Disease)2017年
  • 中野, 展子; 石神, 昭人 (担当:共著範囲:)東京堂出版 2014年07月 ISBN: 9784490108491 234p
  • Erdman, John W.; Macdonald, Ian; Zeisel, Steven H.; 小川, 佳宏; 桑田, 有; 駒井, 三千夫; 武田, 英二; 徳留, 信寛; 伏木, 亨; 渡邊, 敏明; 木村, 修一; 古野, 純典 (担当:共訳範囲:Chapter16ビタミンC)建帛社 2014年05月 ISBN: 9784767961750 vii, 1133p
  • 前田, 憲寿 (担当:分担執筆範囲:皮膚老化とビタミンC)シーエムシー出版 2014年04月 ISBN: 9784781309385 xi, 271p
  • Protein Deimination in Human Health and Disease
    Choi E.K. Jang; B. Ishigami; A. Maruyama; N. Carp; R.I. Kim Y; K (担当:分担執筆範囲:Deimination in Prion Diseases)2014年
  • Protein Deimination in Human Health and Disease
    Ishigami A. Choi E.K., Kim Y.S., Maruyama N (担当:分担執筆範囲:Deimination in Alzheimer’s Disease)2014年
  • Ageing:Oxidative Stress and Dietary Antioxidants
    Saito K; Hosoi E; Ishigami A; Yokoyama T (担当:分担執筆範囲:Vitamin C and Physical Performance in the Elderly)Elsevier 2014年
  • 石神, 昭人 (担当:単著範囲:)東京堂出版 2011年11月 ISBN: 9784490108101 243p
  • 日本ビタミン学会 (担当:分担執筆範囲:ビタミンC)朝倉書店 2010年11月 ISBN: 9784254102284 xx, 624p, 図版 [4] p
  • 大熊, 勝治; 中西, 義信 (担当:分担執筆範囲:タンパク質の細胞内導入法)廣川書店 2010年03月 ISBN: 9784567170505 xiv, 271p
  • 大内, 尉義; 秋山, 弘子; 折茂, 肇 (担当:分担執筆範囲:タンパク質の加齢変化)東京大学出版会 2010年01月 ISBN: 9784130664066 xxxvii, 2142p
  • Handbook of Vitamin C Research: Daily Requirements, Dietary Sources and Adverse Effects
    Ishigami A (担当:分担執筆範囲:Shortage of Vitamin C Accelerates Aging)2009年
  • 日本基礎老化学会 (担当:分担執筆範囲:SMP30/GNLノックアウトマウス)アドスリー,丸善 (発売) 2008年05月 ISBN: 9784900659902 293p
  • 松尾, 光芳 (担当:分担執筆範囲:栄養制限下における物質代謝)学会出版センター 1994年04月 ISBN: 4762277622 ix, 223p
  • Goto, S., Ishigami, A. and Takahashi, R. : Effect of age and dietary restriction on accumulation of altered proteins and degradation of proteins in mouse. In: Liver and Aging--1990. Kitani, K. (Ed.), Amsterdam: Elsevier Science Publishers B.V., pp.137-・・・
    Goto, S., Ishigami, A. and Takahashi, R. : Effect of age and dietary restriction on accumulation of altered proteins and degradation of proteins in mouse. In: Liver and Aging--1990. Kitani, K. (Ed.), Amsterdam: Elsevier Science Publishers B.V., pp.137-147 (1991)
  • Kurochkin, I.V., Takahashi, R., Ishigami, A., Fujita, Y. and Goto, S. : Age-related change in the proteolytic activity on the high molecular mass ATP-stimulated protease from mouse liver. In: New Horizons in Aging Science. Orimo, H. (Ed.), Japan: Univ.・・・
    Kurochkin, I.V., Takahashi, R., Ishigami, A., Fujita, Y. and Goto, S. : Age-related change in the proteolytic activity on the high molecular mass ATP-stimulated protease from mouse liver. In: New Horizons in Aging Science. Orimo, H. (Ed.), Japan: Univ. of Tokyo Press, pp.57-58 (1992)
  • Goto, S., Ishigami, A. and Takahashi, R. : Effect of age and dietary restriction on accumulation of altered proteins and degradation of proteins in mouse. In: Liver and Aging--1990. Kitani, K. (Ed.), Amsterdam: Elsevier Science Publishers B.V., pp.137-・・・
    Goto, S., Ishigami, A. and Takahashi, R. : Effect of age and dietary restriction on accumulation of altered proteins and degradation of proteins in mouse. In: Liver and Aging--1990. Kitani, K. (Ed.), Amsterdam: Elsevier Science Publishers B.V., pp.137-147 (1991)
  • Kurochkin, I.V., Takahashi, R., Ishigami, A., Fujita, Y. and Goto, S. : Age-related change in the proteolytic activity on the high molecular mass ATP-stimulated protease from mouse liver. In: New Horizons in Aging Science. Orimo, H. (Ed.), Japan: Univ.・・・
    Kurochkin, I.V., Takahashi, R., Ishigami, A., Fujita, Y. and Goto, S. : Age-related change in the proteolytic activity on the high molecular mass ATP-stimulated protease from mouse liver. In: New Horizons in Aging Science. Orimo, H. (Ed.), Japan: Univ. of Tokyo Press, pp.57-58 (1992)
  • 後藤佐多良、高橋良哉、石神昭人 : 栄養制限下における物質代謝;”環境因子と老化”(松尾光芳 編)学会出版センター, pp.79-95 (1994)

MISC

産業財産権

受賞

  • 2020年06月 日本ビタミン学会 学会賞
  • 2019年02月 日本ビタミン学会 トピックス貢献賞
  • 2006年11月 東京都職員表彰(石原慎太郎知事) 知事賞
     JPN
  • 2003年12月 生命科学啓明賞
     JPN
  • 2003年11月 The 7th Asia/Oceania Regional Congress of Gerontology POSTER AWARD
  • 2003年06月 日本老年医学会 ノバルティス老化および老年医学賞
     JPN
  • 2003年05月 財団法人 博慈会 老年病研究所 優秀論文賞
     JPN
  • 2003年03月 三井住友海上福祉財団 第1回 三井住友海上福祉財団賞
     JPN
  • 2002年05月 日本基礎老化学会 若手奨励賞
     JPN

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 石神 昭人; 橋本 真一
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2025年03月 
    代表者 : 町田 修一; 川西 範明; 石神 昭人
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 千葉 卓哉; 近藤 嘉高; 石神 昭人
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 石神 昭人; 橋本 真一
     
    若齢動物の組織には、細胞機能に異常のない「若い細胞」のみが存在する。一方、老齢動物の組織には、細胞機能が衰退、異常化した「老化細胞」が存在し、その数も加齢に伴い増加することが予想される。本研究では、シングルセル(1細胞)遺伝子発現解析(Nx1-seq)により、老化に関連した遺伝子をシングルセルレベルで包括的に探索、同定する。 シングルセル遺伝子発現解析による、老化関連遺伝子の探索研究は順調に進行している。私たちが用いている「老化関連遺伝子」とは、必ずしも老化を制御するなど、老化機構に直接関与する遺伝子を意味するのではなく、加齢による二次的、および三次的に変動する遺伝子もすべて含む総称として老化関連遺伝子と定義する。令和元年度、老齢(27月齢)と若齢(6月齢)のラット肝臓の実質細胞を用いて、老齢で発現量が大きく変動する遺伝子を探索した。そして、4種類の有力な老化関連遺伝子(AGs: Age-associated genes)に絞り込んだ。これら4種類の老化関連遺伝子について、老化や加齢との関連性を明らかにするため、また異なる動物種でも同様の現象が見られるかを確認するため、解析動物をラットからマウスに変更した。そして、若齢から老齢まで様々な月齢(3, 6, 12, 24, 32-34月齢)のマウス肝臓を用いてqPCRによる遺伝子発現の加齢変化を解析した。そして、最終的に加齢変化を示す3種類の老化関連遺伝子(遺伝子名を明らかにできないためAG-1, AG-2, AG-3と表す)にまで絞り込むことができた。これら3種類の老化関連遺伝子は、今までに老化や加齢との関連性を示す研究報告はない。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 濱野 慶朋; 小浦 美奈子; 伊藤 吹夕; 鈴木 治; 石神 昭人
     
    抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)の持続的産生がANCA関連血管炎(AAV)の原因である。我々はANCA産生機構の解明のため、AAV自然発症モデルマウスSCG/Kj由来のANCA産生感受性遺伝子座Scg-2/Man-1の導入実験、Scg-2/Man-1領域のエクソーム解析により見出されたMan-spa遺伝子変異の機能解析、Man-1支持区域のRNA-sequenceを行い、以下の結果を得た。(1)Scg-2/Man-1をB6.lprマウスに導入したSICMマウスの解析により、この遺伝子座がMPO-ANCA産生・半月体形成性腎炎・血管炎の発症をもたらすことを証明し報告した(Autoimmunity 52:208,2019)。(2)Man-spa遺伝子変異の機能解析 Man-spa遺伝子は、プロテアーゼを抑制して細胞を保護する遺伝子群である。 A. リコンビナントマウス(rm)Man-spaの作製:1.変異型(SCG/Kj)・正常型(B6)をクローニングし大腸菌大量培養とイオン交換クロマトグラフィー精製にて、高純度の正常型・変異型rmMan-spa を70mg程度ずつ合成した。これらの機能解析やin vivoの投与実験に供していく。 B. Man-spa遺伝子欠損マウスの作成:CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集にてMan-spa欠損マウスを作製し、今後解析予定である。 C. Man-1支配領域における遺伝子発現の網羅的解析:①高ANCA・②低ANCAのSICMマウスおよび③B6.lprマウスの脾細胞からRNAを抽出し、Maserパイプラインを用いて位置的候補遺伝子の網羅的発現解析を行った。この結果、上記3群間で発現が有意に変動する6つの遺伝子を得た。このうち一つは、ヒトAAVの環境因子である珪素のクリアランスに関連する遺伝子であり、候補遺伝子として解析予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 石神 昭人
     
    アルツハイマー病患者の脳でシトルリン化したアルツハイマー病関連タンパク質を初めて同定した。そして、シトルリン化タンパク質Xを定量化する臨床検査診断薬の開発にも成功した。シトルリン化したアルツハイマー病関連タンパク質を定量化する臨床診断薬として有用な可能性が開けた。今後、アルツハイマー病の早期臨床検査試薬としての有用性を検証する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 石神 昭人
     
    ビタミンCを体内で合成できないSMP30遺伝子欠損マウスと脂溶性抗酸化物質であるビタミンEの細胞内輸送能が欠損したαTTP(αトコフェロール輸送タンパク質)遺伝子欠損マウスを掛け合わせ、新規にSMP30/αTTP二重欠損マウスを作出した。SMP30/αTTP二重欠損マウスを用いた行動解析実験により、ビタミンCとビタミンEの両方が不足すると、不安様行動が増加し、運動能力および記憶学習能力が低下することがわかった。また、ビタミンCとEの同時不足は、肝臓での脂質代謝に影響を及ぼすことを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 佐藤 匡; 瀬山 邦明; 高橋 史行; 石神 昭人; 鈴木 洋平; 三井 亜樹
     
    COPD急性増悪時の炎症へのmiR-146aの関与を明らかにするため、ヒト気道上皮細胞 BEAS-2Bに対してタバコ煙抽出液 (CSE)を6日間曝露させた後、リポ多糖 (LPS)刺激を2日間行ったところ、CSE前処置なしと比較して培養上清中のIL-8が有意に増幅した (70.2→118.1 pg/mL, P<0.01)。また、LPS刺激後のmiR-146a発現量も、CSE前処置により、有意な増幅が認められた (相対定量値44.0→70.1, P<0.01)。気道上皮細胞においてLPSによる炎症がCSE曝露により増幅されることが明らかとなり、これにmiR-146aが関与していることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 杉原 毅彦; 南木 敏宏; 針谷 正祥; 石崎 達郎; 石神 昭人; 田中 雅嗣
     
    寛解あるいは低疾患活動性を目標に治療強化を行うことが関節リウマチ(RA)の関節破壊進行を抑制し身体機能と予後を改善させる。今回の研究で、高齢者においても低疾患活動性を目標とした治療で疾患活動性は制御され身体機能が改善することが示された。また、関節破壊進行を進行しやすい高齢RAの臨床像か明らかとなり、治療中に発現する合併症が長期的な身体機能に影響することが示された。治療選択の指標となることが期待された末梢血のPAD4の有用性は確認できなかった。RA発症に関連する新規疾患感受性遺伝子を同定したが、治療選択の指標としては有用でなかった。今後、治療と関連するゲノム情報を指標とした治療戦略を確立したい。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 丸岡 弘; 石神 昭人; 金村 尚彦; 田中 健一; 松本 純一
     
    本研究は右大腿動脈結紮(結紮)により、運動やビタミンC(VC)が血管新生因子などにおよぼす影響を検討した。対象は野生型とVCノックアウトマウスを用い、無作為に区分した(結紮と運動の有無など)。結果、酸化ストレス度は1 week(1W)と3 weeks(3W)で結紮+運動有群がSham群と比較して有意な高値を認めた。PGC-1αとIL-6は結紮+運動有群がSham群と比較して有意な高値、endostatimでは有意な低値を認めた。このことから、酸化ストレス度の変化は1Wより認められ、HIF-1αでは3Wにおいて高値になることが示された。また促進因子と抑制因子とのバランスが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 松本 重清; 古賀 寛教; 石神 昭人
     
    SMP30遺伝子破壊マウスにて、ビタミンC(VC)欠乏あるいはVC正常マウスを作成した。このマウスに致死量のlipopolysaccharide (LPS)を投与して3時間後の生理パラメーター、臓器傷害を評価した。結果は両群間に有意差を認めなかったが、LPS投与してから擬死させるまでの時間が短すぎたと考えられた。現在、新たにVC欠乏マウスを作成中で、次回の研究では、VC欠乏マウスにVCを腹腔内投与あるいは非投与した後LPSを投与し、6~12時間後に擬死させ、下垂体・副腎ホルモン、炎症マーカーおよび臓器傷害などを評価する予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2016年03月 
    代表者 : 加賀美 弥生; 石神 昭人
     
    翻訳後修飾の一つであるタンパク質シトルリン化は、生理的及び疾患病理的側面を有する事象である。アルツハイマー型認知症(AD)患者の脳では、シトルリン化タンパク質が検出される。本研究では、シトルリン化タンパク質の神経細胞への影響やAD脳におけるシトルリン化タンパク質の局在性、AD患者のシトルリン化タンパク質に対する自己抗体産生の有無などを検討し、タンパク質シトルリン化とADとの関連について解析することを目的とした。 シトルリン化酵素であるPAD2を用いて、シトルリン化タンパク質を作製した。また、合成シトルリン化タンパク質をマウスに免疫し、シトルリン化タンパク質特異的に反応するモノクローナル抗体を得た。シトルリン化タンパク質と抗体を用いて、シトルリン化タンパク質に対する自己抗体検出用のELISAシステムの構築を試みている。 シトルリン化タンパク質が神経細胞に与える影響をラット胎仔由来の初代培養細胞を用いて解析した。その結果、シトルリン化タンパク質により細胞生存率は低下しなかった。タンパク質シトルリン化の生理的役割やADの発症や進行を明らかにする上で有用な知見が得られた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 鈴木 英治; 石神 昭人
     
    Aβの凝集を抑える化合物がADの予防、さらに凝集体を分解する化合物があれば治療薬になり得るというコンセプトに基づき研究した。このような化合物としてAβ認識構造に水溶性官能基を導入したものを合成し、凝集阻害活性を調べた。特に2,5-diarylbenzofuranのA環およびD環上にフェノール性水酸基を導入した誘導体は強い活性を示し、いったん線維化したAβを断片化、溶解する性質も有しAD治療薬として期待できることがわかった。水酸基数と凝集・線維化阻害活性は明らかに相関し、Log P=4に近い化合物ほど活性が強かった。分子量、Log P値から血液-脳関門通過が期待できる化合物群を見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 竹石 恭知; 及川 雅啓; 鈴木 聡; 石神 昭人
     
    野生型マウス、SMP30遺伝子ノックアウトマウス、心筋細胞にのみSMP30遺伝子を選択的に過剰発現したトランスジェニックマウスにドキソルビシンを投与した。ノックアウトマウスではドキソルビシンによる心機能低下が増悪し、酸化ストレスによるアポト-シスシグナルの活性化を認めた。一方、心筋細胞に抗加齢遺伝子SMP30を高発現することで、ドキソルビシンによる酸化ストレスの抑制とアポト-シスシグナル抑制が認められ、SMP30 のドキソルビシンに対する心保護作用を直接的に示すことができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 石神 昭人
     
    我々は、アルツハイマー病患者の脳でタンパク質中のアルギニンがシトルリンに変換した異常なタンパク質(シトルリン化タンパク質と総称)が早期に出現し、病状の進行程度に応じてその量が増加することを明らかにした。アルギニンをシトルリンに変換する酵素は、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)と呼ばれ、脳内の至る所に存在する。本研究では、シトルリン化タンパク質を指標とした認知症の早期臨床診断薬の開発を目的とし、シトルリン化タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体を得ることに成功した。これらの抗体を組み合わせて、シトルリン化タンパク質を高感度に検出するELISAシステムを構築する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 石神 昭人
     
    ビタミンC(VC)を体内で合成できないSMP30/GNL遺伝子欠損マウスを用いて、妊娠期間中、母胎のVC不足が胎児の発生や新生児、小児の成長に及ぼす影響を調べた。その結果、妊娠期間中、十分にVCを摂取する必要があることがSMP30/GNL遺伝子欠損マウスを用いた研究から明らかになった。また、SMP30/GNL遺伝子欠損マウスを用いて、VCの不足が肺に及ぼす影響並びに十分なVCの摂取が喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)発症リスクを下げられるか検討を行った。その結果、予めVCを十分に摂取すると喫煙によるCOPD発症リスクを下げられることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 長谷川 剛二; 石神 昭人; 福井 道明; 山崎 真裕
     
    加齢指標蛋白30は加齢とともに発現が減少し、老化病態の形成に関与する。本研究では、SMP30の糖尿病腎症発症における役割について、ストレプトゾシン誘発糖尿病SMP30ノックアウトマウスを用いて検討した。非糖尿病ノックアウトマウスにおいて尿細管間質の線維化を伴う尿細管障害を認め、糖尿病はそれを増悪させた。一方、糸球体病変に変化はなかった。SMP30の減少によるHIF-1α蛋白の増加、酸化ストレス上昇、尿細管の炎症反応が尿細管障害に関与した。以上の結果より、加齢によるSMP30の減少が尿細管障害を通して糖尿病腎症を進展させる可能性が示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 半田 節子; 石神 昭人
     
    アルツハイマー病患者の脳(海馬とその周辺)では、シトルリン化蛋白質の異常な蓄積が確認された。また、プロテオーム解析によりグリア繊維酸性蛋白質(GFAP)、ビメンチンがシトルリン化されていることを同定した。さらに、アルツハイマー病の早期診断を行う臨床検査診断薬となるシトルリン化GFAPを高感度に検出するELISAシステム(酵素免疫測定法)を構築した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 竹石 恭知; 齋藤 修一; 石神 昭人
     
    SMP30遺伝子ノックアウトマウスでは野生型マウスに比し、アンジオテンシンII投与後、心機能は低下し、NADPHオキシダーゼ活性の上昇、ROS産生の増加、c-Jun-N terminal kinaseリン酸化活性の上昇、Bax/Bcl比の増大、カスパーゼ活性の上昇、TUNEL陽性細胞数の増加が認められた。SMP30は抗酸化作用、抗アポトーシス作用を介して心筋細胞保護作用を有することが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 石神 昭人; 半田 節子
     
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙が主な原因とされる肺の生活習慣病である。本研究では、ビタミンCを合成できないSMP30/GNLノックアウトマウスを用いて、ビタミンCの不足が肺に及ぼす影響並びに十分なビタミンCの摂取が喫煙によるCOPD発症リスクを下げられるか検討した。その結果、ビタミンCの不足が肺における酸化ストレスの増大や肺胞の破壊を招くことが明らかになった。また、予めビタミンCを十分に摂取すると喫煙によるCOPD発症リスクを下げられることがわかった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 長谷川 剛二; 石神 昭人
     
    インスリン分泌機構の抹消レベルでの障害による早期グルコース刺激インスリン分泌障害がSMP30ノックアウトマウスにみられる軽度耐糖能障害の原因と考えられた。SMP30の減少が加齢に伴う膵β細胞の機能障害(インスリン分泌障害)の原因となる可能性が示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 半田 節子; 石神 昭人
     
    カルニチンはβ酸化によりエネルギー(ATP)を得るため脂肪酸を細胞質からミトコンドリア内に運ぶ重要な因子である。カルニチンはタンパク質中のリシンとメチオニンから生合成されるが、この時ビタミンCが必須といわれている。本研究では、生体内でのカルニチン合成にビタミンCが必須であるか明らかにするため、ビタミンCを体内で合成できない遺伝子破壊(SMP30/GNL-KO)マウスを用いて実験を行った。このマウスを用いたin vivoおよびin vitro実験からビタミンCが生体内のカルニチン生合成系に必須でないことが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 久保 幸穂; 丸山 直記; 丸山 直記; 石神 昭人
     
    世界に先駆けてその作成に成功したウサギ疾患モデルとマウスを使い、抗MuSK 抗体陽性重症筋無力症の病態解明と治療法の開発を可能とした(Ann N Y Acad Sci. 2008).ウサギ疾患モデルの神経筋シナプスの形態変化を共焦点顕微鏡と透過型電子顕微鏡で詳細に明らかにした. 発症したウサギの神経筋シナプス全体の形態変化が観察され、自己抗体がMuSK によるシナプスの維持機構を阻害することで発症することが明らかとなった.またウサギモデルの血清に存在する抗MuSK 抗体は、一価の抗原結合部位しかないにも関わらずMuSK の機能を抑制する. 発症したウサギのシナプス後膜に補体による破壊像が観察されない結果とあわせて、重症筋無力症が補体の関与がなくても発症することが明らかとなった. さらに、我々は抗MusK 抗体陽性患者の病態により近い疾患動物モデルの作成に成功した. 患者の血清に含まれる抗MuSK 抗体のIgG のサブクラスは補体結合が欠如するタイプ4 が大半を占めている.我々は補体欠損マウスに、抗MuSK抗体で重症筋無力症を発症させることに成功した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 島田 信子; 石神 昭人
     
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙が主な原因とされる肺の生活習慣病である。COPD発症要因のひとつは肺での酸化ストレスの増加と考えられている。そこで本研究では、ビタミンCを合成できない遺伝子破壊マウス(SMP30/GNLノックアウトマウスを用いて、ビタミンC不足が肺に与える影響を検討した。その結果、ビタミンC不足は肺における酸化ストレスの増大や肺胞径、肺胞破壊の増大を招くことが明らかになった。ビタミンCの不足はCOPD発症リスクを高めると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 石神 昭人; 半田 節子; 久保 幸穂
     
    ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)は、蛋白質中の塩基性アミノ酸であるアルギニンを中性アミノ酸であるシトルリンに変換する酵素である。蛋白質シトルリン化反応は、正電荷を失うことから、蛋白質の高次構造に著しい変化をもたらす。生体内には5種類のアイソフォーム(PAD1,2,3,4/5,6)が存在し、活性化にカルシウムイオンを必要とする。特に、PAD2は脳全体に広く分布し、他型PADは検出されない。本研究では、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患の発症にシトルリン化蛋白質が関与するか明らかにすることを研究目的とした。 (1)アルツハイマー病(AD)患者脳の海馬領域では、シトルリン化蛋白質が多く出現し、病状の進行程度に応じてその量が増加することを明らかにした。細胞の形態や蛍光二重染色により反応性アストロサイトが陽性であることがわかった。 (2)シトルリン化蛋白質分子の同定のために二次元電気泳動法、質量分析計を用いたプロテオーム解析を行った。その結果、ミエリン塩基性蛋白質(MBP)、グリア繊維酸性蛋白質(GFAP)、ビメンチンがアルツハイマー病脳でシトルリン化されていることを同定した。 神経変性疾患の患者脳でのシトルリン化蛋白質の動態やシトルリン化分子の同定を行い、期待通りの結果を得ることができた。アルツハイマー病発症におけるシトルリン化蛋白質の関与は、明白である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 久保 幸穂; 丸山 直記; 石神 昭人
     
    アルツハイマー病(AD)での特徴的な病理所見としてアミロイドベータ蛋白質(Aβ)が蓄積した老人斑やリン酸化タウ蛋白質が蓄積した神経原線維変化は有名である。これら蛋白質は、本来、正常な機能を果たしていたものがやがて様々な修飾を受け異常化し、神経細胞の内側や外側に蓄積したためと考えられる。異常蛋白質の蓄積は、アルツハイマー病をはじめ多くの神経変性疾患(神経難病)で観察される。我々は、アルツハイマー病の脳で蛋白質中のアルギニンという塩基性アミノ酸がシトルリンという中性アミノ酸に変換された異常な蛋白質(シトルリン化蛋白質と総称)が多く出現することを初めて見出した。 アルツハイマー病の脳では、シトルリン化蛋白質が多く出現し、病状の進行程度(Braak Stageにより評価)に応じてその量が増加する。免疫組織染色により、シトルリン化蛋白質陽性細胞は、主に反応性アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアなどのグリア細胞であった。また、神経細胞の一部も染色された。同時に、アミロイドベータ蛋白質(Aβ)やリン酸化タウに対する抗体を用いた連続切片による免疫組織染色を行った。その結果、Aβ陽性の老人斑やリン酸化タウ陽性の神経原線維変化とシトルリン化蛋白質陽性の染色部位が良く一致した。Aβやリン酸化タウがシトルリン化されているかは大変興味深い。更に、シトルリン化蛋白質のプロテオーム解析により、アルツハイマー病の脳では、グリア線維性酸性蛋白質(GFAP)、ミエリン塩基性蛋白質(MBP)、ビメンチンがシトルリン化されていることも同定した。これらの研究成果は、シトルリン化蛋白質がアルツハイマー病の発症や進行に深く関与していることを強く示唆している。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 半田 節子; 丸山 直記; 石神 昭人; 久保 幸穂
     
    1.肝臓や腎臓におけるアポトーシスの加齢変化をHE染色、TUNEL法を用いた組織染色により解析した。その結果、アポトーシス陽性細胞は加齢に伴い増加することがわかった。また、SMP30ノックアウトマウスでは早期からアポトーシス陽性細胞が出現してくることもわかった。加齢に伴うアポトーシス陽性細胞の増加はSMP30の減少によるためと考えられる。 2.SMP30ノックアウトマウスの肝細胞はアポトーシスに対して非常に高感受性であった。電顕による細胞内微細構造の観察から、ミトコンドリアの著しい障害が観察された。即ち、ミトコンドリアが膨潤化し、クリステが非常に不明瞭であった。また、アポトーシス誘導時に観察されるミトコンドリアから細胞質へのチトクロームCの遊離が定常状態でも観察された。 3.SMP30を高発現させたHepG2細胞では、TNF-αとアクチノマイシンDにより誘導されるアポトーシスに抵抗性を示した。また、SMP30高発現HepG2細胞では、生存シグナル系に働くAktの活性化(リン酸化)が強く起こっていた。これは、SMP30がAktを介する生存シグナル系に促進的に働いていることを示している。更に、カルモジュリン阻害剤のtrifluoperazineを同時に加えるとAktのリン酸化が強く阻害された。これは、SMP30がカルモジュリンを介して細胞内カルシウム濃度の調節を行い、カルシウム濃度の上昇が引き金となるアポトーシスの誘導を制御していることを示している。 4.遺伝子の相同性解析からSMP30が高等生物におけるグルコノラクトナーゼ(GNL)であることが分かった。GNLはアスコルビン酸(ビタミンC)生合成系に働く重要な酵素である。従って、SMP30ノックアウトマウスはビタミンC欠乏マウスとなる。ビタミンCの欠乏はアポトーシスの誘導を促進する可能性が非常に高い。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 石神 昭人; 丸山 直記; 半田 節子; 浅賀 宏昭; 大沢 多加子
     
    ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)は、蛋白質中の塩基性アミノ酸であるアルギニンを中性アミノ酸であるシトルリンに変換する酵素である。蛋白質シトルリン化反応は、正電荷を失うことから、蛋白質の高次構造に著しい変化をもたらす。生体内には5種類のアイソフォーム(PAD1,2,3,4/5,6)が存在し、活性化にカルシウムイオンを必要とする。特に、PAD2は脳全体に広く分布し、他型PADは検出されない。本研究では、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患の発症にシトルリン化蛋白質が関与するか明らかにすることを研究目的とした。 (1)アルツハイマー病(AD)患者脳の海馬領域では、シトルリン化蛋白質が多く出現し、病状の進行程度に応じてその量が増加することを明らかにした。細胞の形態や蛍光二重染色により反応性アストロサイトが陽性であることがわかった。 (2)シトルリン化蛋白質分子の同定のために二次元電気泳動法、質量分析計を用いたプロテオーム解析を行った。その結果、ミエリン塩基性蛋白質(MBP)、グリア繊維酸性蛋白質(GFAP)、ビメンチンがアルツハイマー病脳でシトルリン化されていることを同定した。 神経変性疾患の患者脳でのシトルリン化蛋白質の動態やシトルリン化分子の同定を行い、期待通りの結果を得ることができた。アルツハイマー病発症におけるシトルリン化蛋白質の関与は、明白である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 1995年 -1996年 
    代表者 : 千秋 達雄; 大沢 多加子; 石神 昭人; 浅賀 宏昭; 秋山 翹一
     
    我々は、ラット表皮に脱イミノ化されたケラチンやフィラグリンが存在することを報告した。(J.Invest.Dermatol.1Q5,163-169(1995)、補助金06833012により部分的補助)。本研究では、脱イミノ化ケラチン分子種の同定とタンパク質アルギニン脱イミノ化酵素(PADと略)のcDNAのクローン化を行った。また、種々の実験系でケラチンとフィラグリンの脱イミノ化の比較生化学的検討も行った。 1.ウエスタン法及び免疫組織化学法による解析の結果、ヒト及びマウス表皮の角化に伴って限定的に分解を受け、且つジスルフィド架橋したケラチンK1が優先的に脱イミノ化されることがわかった。K1はK10と共に表皮細胞の分化に伴ってK5-K14のケラチンペアと交代して発現する。角化の際、脱イミノ化はK1とペアをなすK10との相互作用、K1-K10ペアとK5-K14ペアとの相互作用、更にはK1とケラチン結合タンパク質との相互作用に影響を与えると思われる。 2.レチノイン酸でPADを誘導した不死化ラット新生児表皮培養細胞のcDNAライブラリーからラット骨格筋PAD cDNAをプローブとして3種のクローンを選別した。うち1種は骨格筋PAD cDNAと相同性を示したが、他の2種は新しいタイプと見られた。これらの中に表皮型PADに対応するものが含まれるかどうか検討を進めている。 3.出生直後のマウス表皮でケラチンK1とフィラグリンの脱イミノ化が急激な増減を示すことがわかった。胎齡18日のマウス皮膚の器官培養の結果から、正常な脱イミノ化の進行には表皮の気相への暴露を要することが示唆された。ヒト、ラット、マウス、モルモットの比較から、フィラグリンの脱イミノ化にはかなりの種間差が認められた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(C)
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 千秋 達雄; 秋山 翹一; 石神 昭人
     
    タンパク質の脱イミノ化が、表皮の角化と関わることを想定し、以下の研究を実施した。 ラット表皮に存在する脱イミノ化タンパク質の性質と組織内局在:ラット表皮から変性条件で可溶化したタンパク質区分を、ゲル電気泳動で分別後、全タンパク質を銀染色法により、脱イミノ化タンパク質、ケラチン、フィラグリンはウエスタン法により検出し、脱イミノ化タンパク質の同定を行った。発達した成獣足裏角層には68-70Kケラチンの脱イミノ化が、やや未発達の幼若ラット角層では60Kケラチンの脱イミノ化が夫々顕著に見られた。体毛の密生した成獣体表の角層には脱イミノ化ケラチンは存在せず、混入する毛根由来のトリコヒアリンの脱イミノ化産物が見られた。また、幼若ラット全表皮では、微量ながらフィラグリンの脱イミノ化物が認められた。免疫細胞化学的には、脱イミノ化タンパク質は角層、特にその下部に多く認められた。 培養細胞系における脱イミノ化タンパク質の動態:不死化したラット新生児表皮培養細胞系では、集密状態に達してのち既知の角化マーカータンパク質の出現と前後して脱イミノ化タンパク質の蓄積開始が見られた。培養条件下で、脱イミノ化反応を触媒するペプチジルアルギニンデイミナーゼ生合成の誘導条件を見出したので、精製法の検討を進めている。 ヒト表皮における脱イミノ化タンパク質の動態:粘着テープで段階的に剥離したヒト表皮のタンパク質を分析した。顆粒層でフィラグリン、角層でケラチンの優先的脱イミノ化が見られた。免疫細胞化学的に、脱イミノ化タンパク質はフィラグリンと同様、顆粒層に多く認められた。
  • Functional analysis of peptidylarginine deiminase (PAD)
  • Citrullinated protein and Alzheimer's disease
  • Senescence marker protein-30 (SMP30) and age-associated organ disorders
  • Biomarkers of aging and their clinical applications
  • Vitamin C and aging

委員歴

  • 2021年06月 - 現在   日本ビタミン学会   理事
  • 2021年06月 - 現在   ビタミンC研究委員会   副委員長
  • 2021年04月 - 現在   日本基礎老化学会   理事長   日本基礎老化学
  • 2019年04月 - 現在   日本老年学会   理事
  • 2017年04月 - 現在   日本老年医学会   代議員
  • 2015年04月 - 現在   日本生化学会   評議員
  • 2013年06月 - 現在   日本ビタミン学会   幹事 代議員 トピックス等担当委員   日本ビタミン学会

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