研究者総覧

内田 さえ (ウチダ サエ)

  • 自律神経機能研究 専門副部長
Last Updated :2024/12/27

研究者情報

学位

  • 理学博士(お茶の水女子大学)
  • 薬学博士(共立薬科大学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 90270660

J-Global ID

研究キーワード

  • 嗅覚のコリン作動性調節   脳血流調節系の加齢変化と可塑性   物理療法の神経性機序   ホルモン分泌の自律神経性調節   

研究分野

  • ライフサイエンス / 神経科学一般
  • ライフサイエンス / 生理学

経歴

  • 2019年  東京都健康長寿医療センター研究所専門副部長
  • 2009年  東京都健康長寿医療センター研究所研究員
  • 2000年  東京都老人総合研究所自律神経部門研究員
  • 1994年  東京都老人総合研究所自律神経部門助手

学歴

  •         - 2000年   お茶の水女子大学   人間文化研究科   人間環境科学専攻
  •         - 2000年   お茶の水女子大学   Graduate School, Doctral Research Course in Human Culture   School of Human Environmental Science
  •         - 1993年   共立薬科大学   薬学部
  •         - 1993年   共立薬科大学   Faculty of Pharmaceutical Science

所属学協会

  • 日本生理学会   日本神経科学学会   日本自律神経学会   日本基礎老化学会   Physiological Society of Japan   Japan Society for Neurovegetative Research   Japan Society for Biomedical Gerontology   Japan Neuroscience Society   

研究活動情報

論文

書籍

  • 榊原 隆次; 内田 さえ(編) 中外医学社 2022年04月 ISBN: 9784498328808 xi, 444p
  • 内田 さえ; 鍵谷 方子; 原田 晃; 原田 彰宏 医歯薬出版 2022年03月 ISBN: 9784263241745 xvi, 326p
  • 神経・精神疾患による消化管障害ベッドサイドマニュアル,5.神経因性消化管機能障害の鍼灸治療
    内田さえ (担当:分担執筆範囲:総論-5.神経因性消化管機能障害の治療)2019年
  • 人体の構造と機能,第5版
    内田さえ; 原田玲子; 佐伯由香; 鍵谷方子; 鈴木敦子; 佐藤優子; 原田彰宏 (担当:共著範囲:)医歯薬出版 2019年
  • やさしい環境生理学 地球環境と命のつながり
    鈴木郁子; 鈴木郁子; 内田さえ; 鍵谷方子; 原田玲子 (担当:共著範囲:)錦房 2019年
  • 生理学実習NAVI 第2版
    大橋敦子; 監; 鍵谷方子; 上村英記; 金澤佑治; 森田恵子; 二本松明; 大沢秀雄; 斉藤光代; 下井俊典; 志村まゆら; 鈴木敦子; 鈴木郁子; 内田さえ (担当:共著範囲:)医歯薬出版 2017年
  • 自律神経機能検査 第5版,B.自律神経の解剖・機能・薬理,
    内田 さえ (担当:分担執筆範囲:6.自律神経反射(体性-内臓反射))文光堂 2015年
  • やさしい自律神経生理学-命を支える仕組み
    鈴木郁子; 鈴木郁子; 内田さえ; 鍵谷方子; 原田玲子 (担当:共著範囲:)中外医学社 2015年
  • 人体の構造と機能,第4版
    内田さえ; 原田玲子; 佐伯由香; 鍵谷方子; 鈴木敦子; 佐藤優子; 原田彰宏 (担当:共編者(共編著者)範囲:)医歯薬出版 2015年
  • 最新鍼灸臨床の科学―エビデンスとそのメカニズム,第4章 鍼灸刺激の生体調節機能に及ぼす影響とそのメカニズム,
    内田 さえ (担当:分担執筆範囲:3.自律神経系/鍼灸刺激による循環反応)医歯薬出版 2014年
  • 生理学,第3版
    内田さえ; 原田玲子; 鍵谷方子; 佐藤優子; 佐藤昭夫; 鈴木敦子 (担当:共著範囲:)医歯薬出版 2014年
  • 図解鍼灸療法技術ガイド
    内田さえ; 野忠 (担当:分担執筆範囲:第Ⅰ巻 第3章 鍼灸の治療的作用,第3節 鍼灸刺激が循環機能に及ぼす作用-4 脳血流に及ぼす作用)文光堂 2012年06月
  • 放送大学教材 新訂 人体の構造と機能
    内田さえ (担当:分担執筆範囲:6章 内分泌系のしくみと働き,11章 消化器系の構成と機能,15章 生殖と老化)放送大学教育振興会 2012年03月
  • 人体の構造と機能,第3版
    内田さえ; 鍵谷方子; 鈴木敦子; 佐藤優子; 佐藤昭夫; 佐伯由香; 原田玲子 (担当:共著範囲:)2012年01月
  • からだの年齢事典
    内田さえ; 鈴木隆雄 (担当:分担執筆範囲:3.神経系 3.1 反射 b)成人~老年)朝倉書店 2008年05月

MISC

受賞

  • 2018年 自律神経学会 自律神経誌論文賞
     
    受賞者: 内田 さえ
  • 2013年 東京都健康長寿医療センター理事長研究奨励賞
     
    受賞者: 内田 さえ
  • 2005年 日本基礎老化学会奨励賞
     
    受賞者: 内田 さえ
  • 2004年 東京都高齢者研究・福祉振興財団理事長賞
     
    受賞者: 内田 さえ
  • 2001年 日本生理学会入澤記念JJP優秀論文賞
     JPN

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 内田 さえ
     
    本研究は,高齢者の認知機能低下の早期検出および,認知機能の活性化に最適な嗅覚刺激法の開発を基礎および臨床の双方から目指す.基礎研究では,認知症で脱落するコリン作動性神経系が,嗅覚脳領域の血流反応に与える影響を調べる.臨床研究では快・不快な匂いと認知機能との関連を調べるとともに,嗅覚刺激が認知機能を活性化する可能性を検討する. 2021年度は,①老齢ラットの嗅球血流反応に対するコリン作動系の関与(基礎研究)および,②高齢者を対象とした快臭の域値と弁別機能の関連性(臨床研究)を解析した.①成熟ラットでは,嗅覚刺激に対する嗅球の血流応答がニコチン性受容体(α4β2型)の刺激で増大する.一方,老齢ラットでは嗅覚刺激に対する嗅球血流応答は観察されるものの,ニコチン性受容体刺激による増強効果が低下していることが分かった.②快臭の代表例であるバラ花香の域値と弁別機能との関連性を地域在住高齢者で調査したパイロット研究データを解析した.バラ花香の域値の上昇(感度低下)と弁別機能の成績低下に関連性が認められた. 嗅覚機能は加齢に伴う低下に加え,認知症の最も初期から顕著に低下する.脳内のα4β2型ニコチン性受容体数は老齢ラットや高齢者で低下すること,更に認知症では顕著に低下することが知られている.本研究で明らかとなったα4β2型ニコチン性受容体を介する嗅球血流応答の低下は,加齢および認知症での嗅覚機能低下に関与することが示唆される. コリン作動性神経系に着目して嗅覚刺激法の開発を行う本研究は,認知症の早期発見と予防に嗅覚刺激を実用化するための科学的基盤となる.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)
    研究期間 : 2021年09月 -2023年03月 
    代表者 : 内田 さえ
     
    本研究の目的は,嗅覚と認知機能との関連性を解明することである.その際,嗅神経系と三叉神経系の神経経路の異なる匂いに着目し,認知機能との関連性の差異を明らかにする.認知機能としては特に脳内コリン作動系が関わる注意や弁別機能との関連に着目する.様々な世代を対象に調査し,高齢者における特徴を明らかにする. 2021年度は主に地域在住高齢者を対象とし,これまで調べてきた注意機能に加えて,弁別機能に着目した解析を行った.嗅覚機能は,芳香の認知に関わる嗅神経系を介する匂いであるバラ花香の域値を調査した.パイロット研究の結果,バラ花香の域値が高い(感度が低い)高齢者群では,注意課題の成績が低いだけでなく,弁別課題の成績も低いことが示された.弁別機能の低下は,注意機能の低下よりも顕著であった.すなわち高齢者において,嗅神経を介する匂いの域値の上昇(感度低下)と,弁別機能・注意機能の低下との関連が明らかとなった. 弁別・注意機能はいずれも脳内コリン作動系の働きが関連すること,同コリン作動系は認知症で顕著に脱落することが知られている.本研究結果から,嗅覚機能(主に嗅神経系を介するバラ花香の同定域値)の低下は,同コリン作動系が担う認知機能の低下と関連することが示唆される. 嗅覚は認知症の最も初期から顕著に低下する機能である.本研究は超高齢社会において,(1)神経機構に基づく新しい嗅覚・認知機能研究の提案,(2)高齢者の認知機能低下を早期に発見・予防する嗅覚刺激法の開発の点で,生涯学研究の推進に貢献する.
  • 嗅球コリン作動性神経系機能の発達・成長・老化
    文部科学省科学研究費補助金,基盤研究C:
    研究期間 : 2015年 -2017年 
    代表者 : 内田 さえ
  • 卵巣交感神経支配に対するエストロゲンの可塑的影響の解析
    文部科学省:科学研究費補助金,基盤研究C
    研究期間 : 2012年 -2014年 
    代表者 : 内田さえ
  • ストレス時の交感神経亢進が卵巣の機能と組織に及ぼす影響
    文部科学省:科学研究費補助金,若手研究B
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 内田さえ
  • ストレス時の交感神経系亢進が卵巣内分泌機能に及ぼす影響の生理学的研究
    文部科学省:科学研究費補助金,若手研究B
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 内田さえ
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 内田 さえ
     
    研究代表者は昨年度までに,麻酔ラットの後肢および腹部の皮膚侵害性刺激がいずれも卵巣交感神経を介して反射性に卵巣血流を調節することを見出した.後肢刺激は主に上脊髄性反射経路を介する.一方,腹部刺激は脊髄切断ラットにおいて脊髄性反射経路を介した血流調節を誘発することを明らかにした.しかし,中枢無傷ラットにおいて腹部刺激で起こる反射が脊髄性と上脊髄性のどちらの経路を介するものかは明らかでなかった. 体性-卵巣交感神経反射の経路の詳細を調べるために,本年度は脊髄求心性神経(T9-11)または肢(脛骨)求心性神経の単発電気刺激により誘発される体性-卵巣交感神経反射電位の,A-およびC反射の脊髄性および上脊髄成分をウレタン麻酔下のラットで調べた.中枢神経(CNS)無傷ラットにおいて,T9-11の脊髄求心性神経への単発刺激は潜時が約51msと117msの,速いおよび遅いA-反射電位および,潜時約200msのC-反射を卵巣交感神経遠心性神経に誘発した.第3胸髄レベルで脊髄切断後,同じ脊髄求心性神経の刺激は中枢無傷ラットでの速いA-反射と同じ潜時のA-反射と,潜時約112msのC反射電位を誘発した.一方,脛骨求心性神経への単発電気刺激は潜時約91msのA反射および潜時約228msのC反射を誘発した.多くの場合,A反射は異なる潜時の2つの成分に分離した.これらの脛骨求心性神経刺激で誘発されたAおよびC反射電位は,脊髄切断後には見られなかった. 以上の結果から中枢無傷ラットにおいて分節性の脊髄求心性神経の刺激によって卵巣交感神経に誘発されるAおよびC反射電位は脊髄および上脊髄に由来しており,脛骨神経刺激で誘発されるそれらの反射電位は上脊髄に由来すると結論づけられる.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 堀田 晴美; 内田 さえ
     
    前脳基底部の電気刺激が大脳皮質の神経栄養因子に及ぼす効果を調べた。ハロセン麻酔下・人工呼吸下のラットの頭頂葉皮質実質内にニューロペプチド・ダイアリシス・プローブを刺入して灌流し、細胞外液を100分毎に800分間採取した。ニューロトロフィンのうち、大脳皮質での産生量が多く、大脳皮質の虚血性障害を保護する作用を持つことが知られている脳由来神経栄養因子(BDNF)の量をELISA法で測定した。一側のマイネルト核に同心円刺激電極を刺入し、頻回電気刺激(200μA,50Hz、1s on/2s off)を100分間行った。Sham群においては、大脳皮質灌流液中BDNF濃度は、測定期間中5pg/ml以下と低値で安定していた。マイネルト核電気刺激群においては、刺激終了後300-400分後に大脳皮質灌流液中BDNF濃度が有意に増加した。BDNF放出増加反応がマイネルト核刺激中には見られず、刺激終了5-7時間後に見られたことから、BDNF放出増加反応は、大脳皮質細胞でのBDNF蛋白産生量の増加を伴う可能性が考えられる。そこで次に、マイネルト核刺激終了5時間後に脳を灌流固定し、BDNF抗体染色を行った。Sham群では、大脳皮質細胞の一部に弱く染まる細胞が見られたのに対し、マイネルト核刺激群では、大脳皮質における染色性がSham群と比較して、特に刺激と同側で強まり、BDNF陽性細胞数も増加した。以上の結果から、前脳基底部のマイネルト核から大脳皮質に投射するコリン作動性神経の賦活が、大脳皮質におけるBDNF蛋白発現を促進し、放出を増加させることが示された。このような大脳皮質におけるBDNF放出の増加が、以前に我々が報告したマイネルト核刺激による遅発性神経細胞死保護作用に部分的に関与する可能性が示唆される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 内田 さえ
     
    昨年度までに,成熟ラットをトレッドミル上で歩行させた際に海馬局所血流が増加すること,この反応に脳内コリン作動性神経(おそらく中隔-海馬コリン作動性血管拡張系)が関与することを明らかにした. 本年度は,歩行運動が海馬局所血流および海馬細胞外アセチルコリン(ACh)放出量に及ぼす反応の加齢変化を検討した. 海馬局所血流に及ぼす効果:3-4ヶ月齢の成熟ラットに加えて26-29ヶ月齢の老齢ラットを用い,歩行運動時の海馬局所血流(レーザードップラー血流計を用いた)と平均血圧の反応を調べた.ラットをトレッドミル上で4cm/sの速度で歩行させた.成熟ラットでは,30秒間の歩行を行うと,海馬局所血流が歩行開始後2-3秒以内にすばやく増加しはじめ,歩行中最大約7%増加し,歩行終了後約1分かけて徐々に元のレベルに回復した.血圧は歩行中に軽度に上昇(約5%),歩行終了後直ちに回復した.老齢ラットにおいても,30秒間の歩行により,海馬局所血流が歩行開始後すばやく増加した.海馬局所血流は歩行中最大約8%増加した.血圧は歩行中に軽度(約6%)増加した.老齢ラットにおける歩行時の海馬局所血流反応および血圧反応は,成熟ラットの反応と同程度であった. 海馬細胞外ACh放出量に及ぼす効果:マイクロダイアリシス法で海馬細胞外灌流液を3分毎に採取し,ACh量を高速液体クロマトグラフィーと電気化学検出器を用いて測定した.成熟ラットでは3分間歩行中に海馬細胞外ACh量が約2倍に増加した.老齢ラットにおいても3分間の歩行中に海馬細胞外ACh量が約2倍に増加した. これらの結果から,ラット歩行時に脳内コリン作動性血管拡張系が活性化する反応は,海馬アセチルコリン放出および海馬局所血流増加のいずれにおいても,26-29ヶ月齢の老齢ラットでも良く維持されていることが明らかとなった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 堀田 晴美; 内田 さえ
     
    [研究の背景と目的]近年、前脳基底部のマイネルト核や中隔核に起始し大脳皮質や海馬に投射するコリン作動性神経を活性化すると、大脳皮質や海馬で代謝性の血管拡張とは無関係の血流増加反応が起こることが示された。そこで本研究は前脳基底部の電気刺激による大脳皮質血流の増加が、一過性虚血による大脳皮質や海馬ニューロンの遅発性神経細胞死を改善するかどうかを明らかにすることを目的とした。 [研究方法]ラットの一側総頸動脈の断続的(5秒毎)結紮を60分間にわたって繰り返し、大脳皮質と海馬に軽度な血流低下を繰り返し起こし、軽度な遅発性ニューロン死を引き起こすモデルを作成した。海馬は椎骨動脈からの血流依存性が大脳皮質より強いため、海馬についての研究の際には、あらかじめ椎骨動脈を両側性に永久結紮しておいた。一側総頸動脈の断続的結紮中の大脳皮質あるいは海馬血流の反応をレーザードップラー血流計を用いて測定した。結紮後の大脳皮質および海馬の神経細胞死を組織学的に調べた。結紮した動脈と同側のマイネルト核あるいは内側中隔核に、結紮の5分前に開始し、結紮終了直後に終える、電気的頻回刺激(0.5ms,200μA,50Hz,1s on/1s off)を加えた。 [結果]マイネルト核刺激による大脳皮質血流の増加は、結紮による大脳皮質血流の低下を防ぎ、大脳皮質ニューロンの遅発性神経細胞死を抑制した。内側中隔核刺激による海馬血流の増加は、結紮による海馬血流の低下を防ぎ、海馬CA1ニューロンの遅発性神経細胞死を抑制した。 [結論]以上の成績は、前脳基底部のマイネルト核や中隔核に起始する血管拡張系の活性化は、大脳皮質や海馬における血流低下を防ぐことによって虚血によって誘発される大脳皮質や海馬ニューロンの遅発性神経細胞死を防ぐ可能性を示唆する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 内田 さえ
     
    咋年度までに,麻酔ラットにおいて鍼刺激が大脳皮質局所血流を増加させること,この反応は鍼刺激部位を支配する体性神経を求心路とし,脳内の前脳基底部コリン作動性神経を介することを明らかした.鍼刺激による大脳皮質血流増加反応にはニコチン性アセチルコリン受容体が関与していたが,ニコチン性受容体を介して大脳皮質血流が増加する機序は明らかにされていない. 本年度はニコチンを静脈内投与することによりニコチン性受容体を刺激した際に起こる大脳皮質血流増加のメカニズムを検討した.前脳基底部刺激で起こる大脳皮質血流増加反応には一酸化窒素(NO)が関与する(Adachi et al.,1992).大脳皮質血管周囲にはNO合成酵素(NOS)を含む神経が存在し(Vaucher et al.,1997),このNOS陽性細胞がニコチン性受容体を持つ(Csillik et al.,1998).これらの報告から,ニコチン性受容体刺激により大脳皮質血管周囲でNOが遊離され血管が拡張して血流が増加する可能性が考えられる.そこで,ニコチン性受容体刺激による大脳皮質血流増加にNOが関与するかを検討した. ウレタン麻酔したラットの前頭葉の大脳皮質局所血流をレーザードップラー血流計を用いて連続測定した.ニコチン性受容体の刺激はニコチンを静脈内投与することにより行った. 30μg/kgのニコチンを静脈内投与すると全身血圧が変化することなく大脳皮質血流が20分以上にわたり増加した.ニコチンによる大脳皮質血流増加はニコチン投与前の約160%に達した.NO合成酵素阻害薬(L-NAME)30mg/kg, i.v.を前投与したラットにおいてはニコチン(30μg/kg)による大脳皮質血流増加が約1/3に減弱し,この血流増加の減弱はL-Arg(300mg/kg, i.v.)投与で回復した. 以上の結果から,ニコチン性受容体刺激による大脳皮質血流増加にはNOが関与することが明らかとなった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1997年 
    代表者 : 堀田 晴美; 佐藤 昭夫; 内田 さえ; 鈴木 敦子; 木村 敦子; 堀田 晴美
     
    本研究は、細動脈から毛細血管まで大脳皮質や海馬などの脳内の種々の部位の微細血管を連続的かつ定量的に観察する方法を開発することを目的とする。本年度は、意識下動物を用いて、最近開発されたデジタルマイクロスコープを用いて、大脳皮質表面の微細血管を連続的に観察する方法を開発し、種々の生理的刺激を加えた際の、大脳皮質表層血管径の変化を観察し、本方法の生理実験への有効性を明らかにした。 1.麻酔下でWistar系ラットの側頭部頭蓋骨に両側性に外径6mmのステンレス製パイプを歯科用セメントで装着した。装着したパイプを用いて脳定位固定装置にラットを固定し、頭蓋骨に4x9mmの穴を開け硬膜を切除し、脳表血管を観察するための窓を開けた。ラットの頭部をパイプで脳定位固定装置に、胴体をサポーターで実験台に安定に固定した。脳の表面の血管にデジタルマイクロスコープの焦点を合わせ、連続的にビデオテープに記録した。ラットの麻酔がさめたのちにデジタルマイクロスコープの倍率1000倍で、直径5-36μmの血管径の変化を連続的に観察することができた。 2 脳血管を拡張させることが知られている6%の炭酸ガス吸入刺激1分間を行うと、直径14-27μmの血管の直径はいずれも刺激後30秒で約130-140%に増大した。次に生理的な刺激として、ラットの後肢に1Hzでブラシでこする刺激を2分間加えた。その結果、刺激後1分後に、直径5μmの血管は約130%に、直径15μmの血管は約110%に、直径36μmの血管は約106%に、それぞれ直径が増大した。 以上の結果から、デジタルマイクロスコープを用いることにより、意識下動物の脳表面の血管の変化を連続的に観察し、種々の刺激に対する反応を研究することに対応できることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 内田 さえ
     
    高齢者における排尿機能の低下の原因として、膀胱平滑筋自体の性質の変化や排尿を調節する自律神経機能の低下などが考えられる。本研究では、膀胱機能とその自律神経性調節機構の加齢変化を明らかにすることを目的とした。 成熟ラットと老齢ラットを用いて、(1)シストメトリー法による膀胱容量と内圧の関係、(2)膀胱平滑筋に及ぼす骨盤神経遠心性線維刺激の効果、(3)膀胱内容量及び内圧増加による骨盤神経求心性線維の反応を比較した。 その結果、(1)シストメトリーの記録:老齢ラットでは同じ容量を加えた際の膀胱内圧の上昇程度が成熟ラットに比べて有意に低かった。例えば内圧200mmHgの際の膀胱容量は成熟ラットの約6倍に増加していた。排尿収縮出現時の膀胱内圧には加齢による差は認められなかったが、老齢ラットでは排尿収縮の振幅が小さかった。(2)遠心性神経刺激による膀胱内圧の変化:骨盤神経遠心性神経刺激による膀胱内圧増加の大きさはいずれの膀胱容量時も老齢ラットにおいて低下していた。この結果から、老齢ラットでは骨盤神経からの伝達物質放出の減少している可能性や、排尿筋の受容体の感受性の変化している可能性が考えられる。(3)求心性神経活動の記録:膀胱内圧に対する求心性神経活動の反応性は老齢ラットにおいてもよく保たれていたが、膀胱容量の増加に対する反応性は老齢ラットで低下していた。老齢ラットの膀胱では容量あたりの内圧の増加度が低下しており、膀胱内圧に対する感受性は不変のため、容量増加に対する骨盤神経求心性線維の反応性が低下していると考えられる。 以上の結果から、加齢により膀胱容積の著しい増加、骨盤神経遠心性神経刺激による膀胱収縮力の低下、さらに膀胱容量に対する骨盤神経求心性線維の反応性の低下が明らかとなった。これらの変化は高齢者における残尿量の増加、排尿速度の減少などに関与している可能性がある。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1995年 
    代表者 : 佐藤 昭夫; 内田 さえ; 鈴木 はる江; 堀田 晴美; 木村 敦子; 長田 理
     
    1.意識下のラットを生理的に安定な状態に維持して、レーザードップラー血流計を用いて脳血流を安定に連続的に測定する方法を開発した。ハロセンでラットを麻酔し、脳局所血流を測定したい部位の頭蓋骨をはずして替わりに透明のアクリル板をはめ込み、その上にレーザードップラー血流計プローブ用のガイドカニューレをのせて歯科用セメントで固定した。次に、ラットをハンモックに固定し、手足は自由に動かせるが移動はできないようにラットを保持した。ラットを麻酔から覚醒させた後、大脳皮質血流を連続的に安定に測定できた。この方法を応用してマイクロダイアリシスプローブによる大脳皮質細胞外液の採取も可能となった。これにより意識下ラットの大脳皮質局所血流と神経伝達物質を連続的に測定することが可能になった。 2.1.の方法を用いて、ラットをトレッドミルにのせてゆっくりと歩行させ、歩行時の大脳皮質の血流とアセチルコリンを測定することに成功した。歩行により大脳皮質の血流とアセチルコリンはともに歩行前の約150%に増加した。歩行による大脳皮質の血流増加反応はアセチルコリンのニコチン受容体遮断薬メカミルアミンの投与により減弱した。したがって、歩行時に脳内のコリン作動性神経系が作動して大脳皮質にアセチルコリンが放出され、大脳皮質血管が拡張することがわかった。 3.本方法を改変して、脳の深部にある海馬の血流を意識下動物で測定することが可能となり、歩行により海馬血流が薬10〜20%程度増加することがわかった。
  • 1. somatic regulation of the autonomic function 2. neural regulation of the cerebral blood flow 3. aging of the autonomic function

その他のリンク

researchmap



Copyright © MEDIA FUSION Co.,Ltd. All rights reserved.