本研究では、独居者の孤立状況に関連する生活習慣や健康状態、社会要因等の修正可能な要因を明らかにすることを目的としている。研究2年目である2021年度は、前年度に実施した孤立の予測因子に関するシステマティックレビューおよび地域在住高齢者を対象とした郵送調査の結果、および申請者の所属部署で実施した会場招待型健診の結果を基に、社会的孤立の関連要因を横断的に検討した。
社会的孤立はLubben Social Network Scale-6で評価し、12点未満を社会的孤立と定義した。同居者がいない者を独居者、いる者を非独居者とした。修正可能な関連要因は、身体的要因(手段的日常生活動作、5m最大歩行時間)、精神的要因(Mini Mental State Examination、WHO-5精神的健康状態表)、社会文化的要因(社会的凝集性、週2日以上の運動習慣)とした。孤立の有無を従属変数、性、年齢、暮らし向きを共変量としたロジスティック回帰分析を独居者・非独居者別に行った。
社会的孤立者の割合は、独居者43.3%、非独居者26.5%だった。独居者・非独居者ともに、最大歩行時間が遅いこと、WHO-5得点が低いこと、社会的凝集性得点が低いことが社会的孤立と有意に関連しており、独居者においてのみ運動習慣がないことが社会的孤立と有意に関連していた。独居高齢者に特異的な社会的孤立の予防方略として、運動の習慣化の介入が有効である可能性が示唆された。