日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
研究期間 : 2021年07月 -2023年03月
代表者 : 村山 陽; 山崎 幸子; 長谷部 雅美; 高橋 知也
本研究は、将来的な貧困と孤立の早期予防に向けて、単身男性中高年者の将来を諦める意識を軽減し、現状把握と将来展望(セルフモニタリング)を促すプログラムの開発を目的としている。
2021年度は、単身男性中高年者の生活ニーズと個人属性やライフスタイルとの関連を探索的に検討するため、2022年3月にインターネット調査会社に登録している首都圏在住の40歳から69歳までのモニターの中から年代3区分(40代/50代/60代)×雇用形態2区分(正規雇用/非正規雇用/その他)の9区分からそれぞれ同数になるように抽出した1320人を対象者にオンライン・アンケート調査を行った。分析の結果、単身中高年男性において、雇用形態の違いに関わらず睡眠時間や余暇時間が短いほど時間的切迫感が強くなり、そのことが精神的健康の悪化につながる可能性が示された。また、非正規の単身中高年者は正規雇用者に比べ労働が短く余暇は長いにも関わらず,時間的切迫の強さに違いが見られなかった。こうしたことから、生活が不安定な単身中高年の時間的切迫を強める要因を明らかにし、それを軽減する支援の検討が必要であることが見出された。
本研究成果の一部は今年度の学会(日本公衆衛生学会、日本心理学会等)で発表する予定である。現在、引き続き本調査データの分析作業を進めており、単身中高年男性の生活ニーズやライフスタイルの傾向を把握し、それをもとにプログラム試案を検討する予定である。