研究者総覧

遠藤 昌吾 (エンドウ ショウゴ)

  • 記憶神経科学研究 研究部長
Last Updated :2025/12/05

研究者情報

学位

  • 薬学博士(1988年09月 北海道大学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 60192514

J-Global ID

プロフィール

  •  アメフラシから記憶の研究をはじめました。現在は記憶の分子機構について、シグナルトランスダクション系の分子を中心に遺伝子改変マウスや老化動物を用いて研究しています。
     東京都健康長寿医療センター(旧東京都老人総合研究所)への異動を機に、記憶の基礎研究を記憶障害治療に役立てることを考えつつ研究を発展させていきたいと思っています。


研究キーワード

  • 基礎老年学   老化   行動解析   PDE   cAMP   ノックアウトマウス   プロテインホスファターゼ   Cre-LoxP   記憶学習   Cre   MEK   ERK   G-substrate   MAPキナーゼ   cGMP   ERK2   MAPK   LTD   プルキンエ細胞   長期抑圧   一酸化窒素   遺伝子欠損マウス   小脳   

研究分野

  • ライフサイエンス / 栄養学、健康科学 / 老化、老年学
  • ライフサイエンス / 神経科学一般

経歴

  • 2025年 - 現在  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター老化脳神経科学研究チーム非常勤研究員
  • 2009年 - 2025年  東京都健康長寿医療センター研究所老化脳神経科学研究チームチームリーダー, 研究部長
  • 2019年 - 2022年  芝浦工大システム理工学部客員教授
  • 2010年 - 2020年  東京農工大学農学部客員教授
  • 2004年 - 2009年  沖縄科学技術研究基盤整備機構 記憶と学習の分子神経生物学ユニット代表研究者
  • 2000年 - 2005年  理化学研究所 脳科学総合研究所 遠藤研究ユニットユニットリーダー
  • 1997年 - 2000年  理化学研究所 脳科学総合研究センター 記憶学習機構研究チーム研究員
  • 1995年 - 1997年  Department of Biochemical and Biophysical Sciences, University of Houston, Houston, TX.Assistant Professor,
  • 1991年 - 1995年  Department of Pharmacology, Duke University Medical CenterResearch Associate
  • 1989年 - 1991年  Department of Neurobiology and Anatomy, the University of Texas Medical School at Houston, TX.Research Fellow
  • 1988年 - 1989年  日本学術振興会特別研究員(北海道大学薬学部)

学歴

  • 1985年 - 1988年   北海道大学   薬学部大学院 博士課程
  • 1983年 - 1985年   北海道大学   薬学部大学院 修士課程
  • 1979年 - 1983年   北海道大学   薬学部

所属学協会

  • American Society for Biochemistry and Molecular Biology   Society for Neuroscience   日本基礎老化学会   日本分子生物学会   日本神経科学学会   

研究活動情報

論文

講演・口頭発表等

  • Attacking memory decline through the knowledge of signal transduction pathways  [招待講演]
    遠藤昌吾
    10th IAGG Asia/Oceania 2015年10月 口頭発表(基調)
  • 東日本大震災が引き起こしたマウスの行動変化  [招待講演]
    遠藤昌吾
    第90回実験動物コンファレンス 2015年06月 口頭発表(招待・特別)
  • 記憶改善薬のスクリーニングとSAM  [招待講演]
    遠藤昌吾
    第29回SAM研究協議会研究発表会 2014年07月 口頭発表(招待・特別)
  • ドリッグリポジショニングを展望した認知症機能改善薬の前臨床スクリーニング  [招待講演]
    遠藤昌吾
    第3回TOBIRA研究フォーラム 2014年02月 口頭発表(招待・特別)
  • Memory-enhanced mice provide clues to the treatment of memory impairments  [招待講演]
    遠藤昌吾
    29th Annual conference of Indian Academy of Neuroscience, 2011年10月 口頭発表(招待・特別)
  • Memory-enhanced mice provide clues to treatments of memory impairment  [招待講演]
    遠藤昌吾
    10th Korea-Japan Gerontologist Joint Meeting 2010年06月 口頭発表(招待・特別)
  • PDE inhibitor and memory-enhancing effects on mice.  [招待講演]
    遠藤昌吾
    OIAA Dementia meeting 2010年05月 口頭発表(招待・特別)
  • Dual involvement of G-substrate in motor learning revealed by gene deletion.  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Annual meeting of Japan Biophysical Society 2009年11月 口頭発表(招待・特別)
  • Dissection of molecular network for fear memory using genetically-modified mice  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Neuroscience 2008 2008年07月 口頭発表(招待・特別)
  • Genetic and Molecular Dissection of Memory  [招待講演]
    遠藤昌吾
    2nd KNU-OIST Workshop 2008年03月 口頭発表(招待・特別)
  • Molecular dissection of cerebellum-dependent memory  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Neuro2004 2004年09月 口頭発表(招待・特別)
  • Biochemistry of Learning and Memory  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Research Forum at Saitama Institute of Technology 2003年10月 口頭発表(招待・特別)
  • Molecular dissection of cerebellar long-term depression  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Japan Society for Neuroscience 2002年07月 口頭発表(招待・特別)
  • Tales of two LTDs – Hippocampal and Cerebellar LTD  [招待講演]
    遠藤昌吾
    RIKEN Brain Science Institute Forum 2000年12月 口頭発表(招待・特別)
  • Molecular mechanism underlying cerebellar long-term depression  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Conference on “Conceptual advances in the studies of associative learning and memory. –Commemoration of 150th anniversary of I.P. Pavlov’s birthday-” 1999年09月 口頭発表(招待・特別)
  • Protein phosphatase cascade involved in hippocampal long-term depression  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Japan Biochemistry Society 1998年10月 口頭発表(招待・特別)
  • Tolloid/BMP-1 and TGF-beta are involved in the Aplysia memory  [招待講演]
    遠藤昌吾
    Institute for Protein Research Seminar 1998年06月 口頭発表(招待・特別)
  • Neuroscience and Bioethics  [招待講演]
    遠藤昌吾
    21st Century Trust Conference on “Genetics, Identity and Justice” 1998年04月 口頭発表(招待・特別)
  • Biochemistry of learning and memory – what we learned from Aplysia californica  [招待講演]
    遠藤昌吾
    RIKEN Frontier Forum 1997年08月 口頭発表(招待・特別)

MISC

産業財産権

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2024年04月 -2028年03月 
    代表者 : 遠藤 昌吾
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2023年06月 -2025年03月 
    代表者 : 遠藤 昌吾; 柿澤 昌
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年07月 -2023年03月 
    代表者 : 遠藤 昌吾; 柿澤 昌
     
    本研究においては、記憶において「ROS(活性酸素種)/NO(一酸化窒素)/8-ニトロ-cGMP系が情報の『連合性検出器』である」という仮説を検証する。顔-名前、梅干し-唾液分泌、運動-修正信号など、記憶には情報が連合されることが必須である。また、加齢による感覚情報の連合性障害は記憶低下の主原因とされる。様々な記憶を維持・改善する方法を開発するためには、それぞれの記憶を支える「連合性検出器」の解明が重要である。 本研究で対象とする運動学習を担う神経可塑性・小脳LTD (長期抑圧)においては、運動情報を担う平行線維入力と修正信号情報を担う登上線維入力の連合性が不可欠である。我々は小脳LTDへの8-ニトロ-cGMPの関与と平行線維活動によるNO産生を明らかにしたことに基づき、もう一方の登上線維活動によりROSが産生されることで、NO/ROS/8-ニトロ-cGMP系が「連合性検出器」として機能しLTDが惹起されると考えた。 そして、一酸化窒素(NO)と活性酸素(ROS)から産生される8-ニトロ-cGMPシグナル系がLTDに関与することを示し、さらに、8-ニトロ-cGMPシグナル系がLTPの阻害を介して、小脳シナプス可塑性の極性(増強―抑圧)を決定づける可能性を明らかにした。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 遠藤昌吾
  • 文部科学省:科学研究費補助金(挑戦的研究(萌芽))
    研究期間 : 2019年04月 -2021年03月 
    代表者 : 遠藤昌吾; 柿澤昌
     
    生物に細胞死、ガン化、老化等をもたらす活性酸素(Reactive Oxygen Species; ROS)が、様々な生理機能を有することが明らかにされた。本研究では小脳におけるROSの機能について以下のことを明らかにした;1)ROSが生理的な神経活動により産生されること、2)ROSを消去する物質は運動記憶やそれを支える神経可塑性に関与すること、3)ROS及びROS依存的に産生される8-ニトロ-cGMPは、プルキンエ細胞内カルシウム放出の制御を介して神経可塑性の方向性に影響を与えること。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤(B))
    研究期間 : 2015年 -2019年 
    代表者 : 遠藤昌吾
  • 文部科学省:新学術領域研究(研究領域提案型・公募)
    研究期間 : 2014年 -2016年 
    代表者 : 遠藤昌吾
  • 文部科学省:科学研究費補助金(挑戦的萌芽)
    研究期間 : 2013年 -2014年 
    代表者 : 遠藤昌吾
  • 多剤併用による認知症治療を指向した基礎研究
    長寿科学振興財団:長寿科学研究者支援事業
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 遠藤昌吾
  • 内藤記念科学振興財団:奨励金・研究助成
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 遠藤昌吾
  • 記憶と学習の分子機能の研究
    内閣府:沖縄大学院大学先行的研究事業
    研究期間 : 2004年10月 -2009年09月
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 遠藤 昌吾; 瀧嶋 邦夫; 池田 敏男; THOMAS Launey; 佐藤 泰司
     
    本研究はMAPK (mitogen activated protein kinase)に属するERK2 (extracellular signal regulated kinase)の生理機能解明を目的とし、神経可塑性におけるERKの役割の解析、ERK2遺伝子欠損マウスの作出、ERK2の核移行機構の解析を行ない以下の結果を得た。 小脳プルキンエ細胞において、Cキナーゼにより引き起こされる顆粒細胞とプルキンエ細胞間の長期抑圧現象に、グルタミン酸受容体の崩壊を制御を介してMEK-ERK系がプルキンエ細胞の関与する事を明らかにした。また、プルキンエ細胞においてNO(一酸化窒素)系がERK系を活性化する事を明らかにした。 loxP配列でERK2遺伝子を囲んだマウスとloxPを含むDNA配列を特異的に認識して組換えを引き起こす酵素Creを小脳プルキンエ細胞特異的に発現するマウスとを交配し、ERK2をプルキンエ細胞特異的に欠損したマウスを作出した。全ての体細胞でERK2を欠損したマウスは致死的であるが、本研究で作出したマウスは胎生致死とはならず、成体においてERK2の機能を解析できる。また、ERK発現量が低下したマウスも同時に作出し解析した結果、空間配置学習能力が有意に低下している事が観察された。 「ERK2の活性化と核移行を同時にリアルタイムで画像解析できる系」を構築した。本系によりERKの活性化機構とその核内移行機構に関与する情報伝達系について解析を行った。その結果、ERK2の核内移行には2量体化が重要な役割を果たすこと、さらに、ERK2の効率的な核内移行には、MEK依存性情報伝達経路に加え、他のキナーゼ経路が重要である事を明らかにした。また、この解析の中で作製した各種のERK2変異体は細胞内分布機構に障害を及ぼすことから、今後、ERK2の機能解析に重要なツールとなると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 遠藤 昌吾; 池田 敏男
     
    本研究では非陳述記憶に必須な小脳の神経可塑性をになう長期抑圧(LTD, long-term depression)の分子機構を解明する。小脳依存性学習や小脳LTDに必須なNO(一酸化窒素)カスケードに着目し、本申請者らが初めてcDNAを同定した小脳に特異的に存在するG-substrateの生理的役割りを解析するために、G-substrate遺伝子欠損マウスを用いてその学習機能とLTDに対する影響を詳細に解析し、さらに、小脳LTDに関与が示唆されているMAPK(Mitogen Activated Protein Kinase)カスケードとNOカスケードの間クロストークについて詳細に検討するために、ERK2遺伝子欠損マウス作出を行い、以下の結果を得た。 G-substrate遺伝子をホモに欠損したマウスは正常に交配し、見かけ上小脳失調等の症状は示さなかった。しかし、小脳LTDを惹起する3種類のプロトコール;登上線維と平行線維との低頻度同時刺激、高出力の平行線維単独刺激、登上線維と平行線維との中頻度同時刺激、いずれのプロトコールでもLTDは観察されなかった。 我々は一酸化窒カスケードとMEK-ERK1/2カスケードが相互作用していることを示した。ERK1とERK2は90%以上の相同性を持ち、お互いにその機能を補うと考えられることから、遺伝子欠損マウスによる機能解析には両方の遺伝子を欠損したマウスの作出が必要である。本研究ではERK1遺伝子を欠損したマウスの遺伝子にloxP配列でERK2遺伝子を囲んだ遺伝子を持つマウスを作出した。このマウスはCreを発現するマウスと交配することにより、Creを発現した細胞のみでERK2を欠損させることが可能である。今後このマウスと様々なCre発現マウスと交配し、ERK2の機能解析を行う予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 遠藤 昌吾; 池田 敏男
     
    我々は小脳の長期抑圧(long-term depression、LTD)を神経可塑性のモデルとして用い、その分子機構を解析した。多くの分子が小脳LTDの惹起に関与するが、この研究ではLTD惹起に必須の役割を果たすNO(一酸化窒素)に着目し、NOにより開始される情報伝達系の構成因子について詳細に解析した。 NO-cGMP-PKG(cGMP-dependent protein kinase)の下流の因子として、プルキンエ細胞に特異的なPKG基質G-substrateの分子クローンニング及びその特徴付けを行った。ヒト、マウス、ラットのG-substrate cDNAを単離し、大量発現系を確立し、さらに抗体を作成した。また、マウスG-substrate遺伝子の構造を決定した。G-substrateのmRNA及びタンパク質は小脳プルキンエ細胞に特異的に発現し、G-substrateタンパク質はプルキンエ細胞体のみならず、樹上突起にも観察された。PKGによりリン酸化されたG-substrateはプロテインホスファターゼ-1および-2Aの強力かつ特異的な阻害剤であった。また、G-substrate遺伝子欠損マウスを作出し、基礎的解析を行った。遺伝子をホモに欠損したマウスの生殖機能、体重、体型など見かけ上は正常であった。しかし、小脳切片のLTDが観察されなかった。このことはプロテインホスファターゼ阻害剤として作用するG-substrateがLTD惹起に重要な役割りを果たすことを示唆している。今後、小脳依存性の学習、LTD依存性の学習におけるG-substrate遺伝子欠損の影響を解析することで、G-Substrateの神経可塑性、そして、記憶学習機構における生理的役割を明らかにすることができる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2000年 
    代表者 : 遠藤 昌吾; 池田 敏男
     
    本研究では、神経可塑性に関与するNO(一酸化窒素)カスケードの下流因子であると考えられる小脳プルキンエ細胞に特異的なタンパク質、G-substrateの生理的役割りを解析するために、G-substrate遺伝子欠損マウスの作出を行いその基礎的解析を行った。 我々はラット、ヒト、マウスのG-substrate cDNAを単離同定し、種間で非常によく保存されたタンパク質であることを明らかにし、リン酸化されたG-substrateがプロテインホスファターゼの阻害剤として作用することを見い出した。さらに、マウスのG-substrate遺伝子のエクソンーイントロン構造そして全遺伝子構造を決定した。これらの情報を元にしてターゲティングベクターを構築し、ES細胞中での相同組換えによりキメラマウス作出、そしてキメラマウスを用いてG-substrate遺伝子欠損マウスを作出した。G-substrate遺伝子をヘテロおよびホモに欠損したマウスの外見は正常であり、その成長も正常マウスと同等であった。また、生殖機能にも異常はなくホモのオス及びホモのメスからも正常な個体数のマウスが誕生した。G-substrate遺伝子をヘテロおよびホモに欠損したマウスではターゲティングベクター由来のGFP誘導体がプルキンエ細胞のみで発現していることが観察され、G-substrateのプロモーター領域が正常に機能していることが明かとなった。 G-substrateはプルキンエ細胞にのみ特異的に局在することから、今後、小脳の可塑性である長期抑圧や瞬目反射順応や前庭動眼反射順応などの小脳に依存した学習機能に対するG-substrate遺伝子欠損の影響について解析する予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -1999年 
    代表者 : 遠藤 昌吾
     
    無脊椎動物アメフラシは記憶学習のモデルとして行動レベルから分子レベルまで様々なレベルでの研究に用いられている。アメフラシのサイホンの引き込み反射における感作は非連合学習の行動モデルとして多くの研究がなされてきた。本研究ではアメフラシの感作に着目し、感作を支える分子機構に関与すると考えられるプロテアーゼの解析を行った。 我々はapTBL-1と呼ばれるプロテアーゼのmRNA量がアメフラシの感作に伴って増加することを発見し、さらに、その下流の因子として成長因子TGF-βの関与を明らかにした。この系は脊椎動物の形態形成においても重要な役割を果たしていることから、アメフラシの記憶学習機構に成長分化と類似の機構が働いていることが示唆された。今回、TGF-βの下流で働くと考えられるアメフラシMMP(matrix metalloprotease)類の特徴付けを行い、さらに、アメフラシの感作を引き起こす刺激によりMMP活性が増加することを見い出した。アメフラシ神経節の細胞外マトリックス画分には、ゼラチンザイモグラフィーでMMP2に類似する分子量約7万の分子が、また、カゼインザイモグラフィーでストロメライシンに類似する分子量約4万の分子が存在した。いずれの活性も金属キレート剤により強く阻害され、4-aminophenylmercuric acetateによる前処理で低分子量に対応する分解活性が増加し、脊椎動物で示されている自己分解による高分子量前駆体からの低分子量活性分子の生成を示唆している。 感作を引き起こすセロトニン、TGF-β処理でカゼイン分解活性は3時間後では約2倍に(セロトニン、195±12% ; TGF-β、206±12%)、24時間後でも40-50%の増加が観察された。しかし、これらの刺激により分子量7万のゼラチン分解活性は変化しなかった。脊椎動物のMMP活性は細胞外マトリックス再構築と密接な関連がある事から、感作に伴って観察されている神経細胞の形態変化にアメフラシMMPの活性変化が重要な役割を果たしていることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 遠藤 昌吾; 平井 宏和
     
    記憶学習の基礎機構である神経可塑性には各種の分子が関与していることが知られている。長期記憶においては可逆的な機構や各種分子の代謝が観察される細胞内の各種信号伝達系の変化のみにより可塑性が保たれているとは考えられず、神経細胞の形態変化等による神経可塑性の維持が仮定されてきた。事実、脊椎動物の海馬LTPにともなうシナプス構造の変化やアメフラシの記億に伴う感覚神経細胞の形態変化等の最近の報告はこの仮説を指示する。神経細胞の形態変化は細胞外マトリックスや細胞接着分子を含む細胞間相互作用を仲介する分子群が関わっていると考えられている。本研究では細胞外マトリックスの再編成に関わる分子の特徴付けを行った。 アメフラシ神経節の細胞外マトリックス画分には、MMP2に類似する分子量約7万の分子ゼラチン分解活性とストロメライシンに類似する分子量約4万のカゼイン分解活性分子が存在した。いずれのMMP活性も金属キレート剤により強く阻害され、4aminophenylmercuric acetateによる前処理で低分子量に対応する分解活性が増加した。この結果は、脊椎動物で示されている自己分解による高分子量前駆体からの低分子量活性分子の生成を示唆している。 アメフラシの非連合学習である感作を引き起こす事が知られているセロトニン(195±12%)、感作を担うシナプス伝達の促進を引き起こすTGF-β処理でカゼイン分解活性は3時間後では約2倍に(206±12%)、24時聞後でも40-50%の増加(158±17%、137±12%)していることが観察された。脊椎動物のMMP活性は細胞外マトリックスの再構築と密接な関連がある事から、感作に伴って観察されている神経細胞の形態変化にアメフラシMMPの活性変化が重要な役割を果たしていることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1987年 -1988年 
    代表者 : 遠藤 昌吾

委員歴

  • 2021年04月 - 2025年06月   国際老年学協会 (IAGG)   Councilor
  • 2021年04月 - 2025年03月   日本老年学会   理事
  • 2021年04月 - 2025年03月   日本基礎老化学会   理事
  • 2017年04月 - 2019年03月   日本基礎老化学会   庶務理事
  • 2007年04月 - 2010年03月   沖縄県   科学技術会議, 委員
  • 2005年04月 - 2007年03月   沖縄県   亜熱帯研究可能性委員会, 委員
  • 2005年04月 - 2007年03月   沖縄県   大学院大学周辺整備委員会, 委員

担当経験のある科目

  • Cellular NeuroscienceUniversity of Houston
  • Advanced BiochemistryUniversity of Houston
  • General BiochemistryUniversity of Houston
  • Basic NeuroscienceUniversity of Houston
  • Advanced Cell BiologyUniversity of Houston
  • 先端生命科学特論東京農工大学
  • 環境老年学 I, II, III, IV東京農工大学
  • 生物学I芝浦工業大学

社会貢献活動

  • 薬を知ろう!ー飲み方、処方、新薬ー
    期間 : 2019年11月13日
    役割 : 講師
    種別 : 講演会
    主催者・発行元 : 東京都小金井市
    イベント・番組・新聞雑誌名 : はなみずき学級
  • ヒョウタンから駒、副作用から良薬
    期間 : 2017年10月13日
    役割 : 講師
    種別 : 講演会
    主催者・発行元 : 小金井市
    イベント・番組・新聞雑誌名 : はなみずき学級
  • ヒョウタンから駒、副作用から良薬
    期間 : 2016年09月12日
    役割 : 講師
    種別 : 講演会
    主催者・発行元 : 東京都健康長寿医療センター
    イベント・番組・新聞雑誌名 : 老年学公開講座
  • 記憶の整理学
    期間 : 2015年09月08日
    役割 : 講師
    種別 : 講演会
    主催者・発行元 : 東京都小金井市
    イベント・番組・新聞雑誌名 : はなみずき学級

メディア報道

  • 「死の迎え方 ヒトの穏やかな死とは」
    報道 : 2023年11月
    執筆者 : 本人
    発行元・放送局 : NHK BS プレミアム
    番組・新聞雑誌 : ヒューマニエンス
     テレビ・ラジオ番組
  • 記憶に関わる海馬と記憶術
    報道 : 2023年04月
    執筆者 : 本人
    発行元・放送局 : 少年写真新聞社
    番組・新聞雑誌 : 保健総合大百科
     新聞・雑誌
  • 「”死” 生命最大の発明」
    報道 : 2021年04月
    発行元・放送局 : NHK BSプレミアム
    番組・新聞雑誌 : ヒューマニエンス
     テレビ・ラジオ番組
  • 「やる気」を支える脳内分子ドーパミン
    報道 : 2019年05月
    執筆者 : 本人
    発行元・放送局 : 少年写真新聞社
    番組・新聞雑誌 : 心の健康ニュース
     会誌・広報誌
  • 千利休
    報道 : 2018年10月24日
    発行元・放送局 : NHK
    番組・新聞雑誌 : 偉人たちの健康診断
     テレビ・ラジオ番組
  • 宮本武蔵
    報道 : 2018年06月13日
    発行元・放送局 : NHK
    番組・新聞雑誌 : 偉人たちの健康診断
     テレビ・ラジオ番組
  • 記憶の極意
    報道 : 2018年04月
    発行元・放送局 : 少年写真新聞社
    番組・新聞雑誌 : 保健総合大百科
     新聞・雑誌
  • 記憶の達人になるために
    報道 : 2018年04月
    発行元・放送局 : 少年写真新聞社
    番組・新聞雑誌 : 保健総合大百科
  • 葛飾北斎
    報道 : 2017年11月08日
    発行元・放送局 : NHK
    番組・新聞雑誌 : 偉人たちの健康診断
     テレビ・ラジオ番組
  • “Old drugs learn new tricks.”
    報道 : 2017年10月11日
    番組・新聞雑誌 : Atlas of Science
     インターネットメディア
  • 生物の宿命「逃れられない「老化」」
    報道 : 2017年06月22日
    発行元・放送局 : Newton
    番組・新聞雑誌 : Newton
     新聞・雑誌
  • 勝海舟
    報道 : 2017年04月04日
    番組・新聞雑誌 : NHK 偉人たちの健康診断
     テレビ・ラジオ番組
  • 記憶障害とわたしたちの生活
    報道 : 2017年01月
    番組・新聞雑誌 : 百歳万歳
     新聞・雑誌

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