研究者総覧

池谷 真澄 (イケタニ マスミ)

  • 生体調節機能研究 研究員(主任級)
Last Updated :2025/04/09

研究者情報

学位

  • 博士(医学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 60644359

J-Global ID

研究分野

  • ライフサイエンス / 神経科学一般

経歴

  • 2014年04月 - 現在  東京都健康長寿医療センター研究所
  • 2013年  横浜市立大学医学(系)研究科(研究院)その他

所属学協会

  • 日本分子状水素医学生物学会   日本基礎老化学会   日本分子生物学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 内在性Nogo受容体アンタゴニストLOTUSの嗅索形成における生理的役割
    池谷真澄; 栗原裕司; 佐藤泰史; 五嶋良郎; 竹居光太郎 (担当:共著範囲:実験医学,vol.30 No.3 (2月号))羊土社 2012年02月

講演・口頭発表等

  • Axonal branching in lateral olfactory tract is regulated by LOTUS, an endogenous Nogo receptor antagonist  [通常講演]
    Iketani M; Kurihara Y; Sakakibara Y; Goshima Y; Takei K
    International Society for Neurochemistry-American Society for Neurochemistry 24th Biennial joint meeting 2013年04月 ポスター発表

MISC

産業財産権

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2024年04月 -2027年03月 
    代表者 : 池谷 真澄
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 池谷 真澄
     
    水素分子(H2)には抗酸化・抗炎症効果による疾患改善効果・予防効果があることが知られているが、その作用機序は未解明な部分が多い。我々は分子メカニズムの一端として、神経芽細胞にH2を1時間与すると一過的なリン脂質構成や代謝変化、酸化ストレスの発生等を誘導し、エンドソーム輸送の遅延が起こることを見いだし、H2投与により脂質膜構造と機能が変化したと推察した。我々はH2に曝されることによって起こる脂質変化・エンドソーム変化と疾患改善効果・予防効果の分子メカニズムの関係性について明らかにし、この研究成果により、H2の最適投与法を予測する為の基礎確立を本研究の目的としている。吸入麻酔薬は、脂質膜構造を変化させて麻酔効果を発揮すると考えられているが、H2と同じく直接的な作用分子に関しては不明な部分が多い。吸入麻酔薬のセボフルランはマウスなどの齧歯類の新生仔の脳において細胞死の一種であるアポトーシスを引き起こすが、0.5~1.3%濃度のH2の同時吸引によってそのアポトーシスが抑制されることが知られている。そこで、我々はH2とセボフルランの作用機序に相互連関があると考え、セボフルランによる脳細胞のアポトーシスに対するH2の影響を、新生仔マウスを用いて検証した。H2濃度を1~16%までふって新生仔マウスに投与したところ1~8%濃度でセボフルランによるアポトーシスを抑制し、16%では抑制効果を得られなかった。このことからH2ガスの最適投与濃度は1~8%である可能性が示唆された。また、セボフルランによるアポトーシスは脳梁膨大後部皮質で顕著であるが、アポトーシスを起こした細胞の大部分は神経幹細胞であることが分かり、H2によりアポトーシスが抑制されていた。更にアポトーシスに関わる様々な分子が水素により抑制されていることが明らかになってきている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 大澤 郁朗; 藤田 泰典; 池谷 真澄; 伊藤 雅史
     
    本研究はH2による健康長寿促進を目指して、三つの問いを解明するための包括的研究である。第一の研究では、培養細胞系を中心にリピドームとメタボローム解析から、神経芽細胞SH-SY5Yを水素存在下で培養すると、1時間後にはカルジオリピンなどの特定のリン脂質が上昇し、同時にエネルギー代謝経路が広く抑制されることが判明した。この変化は一過的であり、その間にグルタチオンの低下など酸化ストレスの上昇が認められた。これがミトホルミシスなどの細胞防御機構を誘導することがH2の作用機序の一つであることを示しすことができた。さらに細胞死を抑制する機序については、水素ガス吸入による幼弱マウスの麻酔ガス吸入時脳細胞死抑制効果を確認し、その脳内で細胞死シグナル変化を解析している。第二の研究については、デキストラン硫酸塩投与の大腸炎モデルマウスで、水素水を1日1回投与するだけで病態が緩和された。デキストラン硫酸塩投与は小腸パイエル板でFoxp3の発現を減少し、Il6の発現を上昇させる。水素水の飲用はこれを抑制したことから、IL-6の抑制によって制御性T細胞の恒常性が維持されたものと考えられる。H2が免疫恒常性に関与するメカニズムについてさらに解析中である。第三の研究については、倫理委員会などの諸手続きが完了し、水素ガス吸引療法に必要な混合ガス吸入装置、水素ガス濃度計、安全装置などのセットが完了して、既に数名の急性大動脈解離患者について投与試験を完了し引き続き研究進行中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 池谷 真澄; 大澤 郁朗
     
    水素分子(H2)は体内に取り込むと抗酸化・抗炎症作用を発揮することが知られているが、作用機序は不明な部分が多い。今回の研究で、細胞にわずか1時間H2を曝露するだけで細胞膜を構成するリン脂質が変化することが明らかになった。細胞小器官のミトコンドリアやエンドソームで機能することが知られるリン脂質の増加が見られた。それぞれ、疾患との関係が密接な細胞小器官である。ミトコンドリアが関係する代謝に変化が無いか調べた所、多くの代謝産物がH2曝露1時間で低下しており、一過的な酸化ストレスが誘導されていた。またエンドソームを調べたところエンドソーム輸送の遅滞が起こることが分かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 池谷 真澄
     
    水素水摂取は多様な疾患で病態改善効果を発揮すると知られているが、作用機序は未解明の部分が多い。本研究では、水素の作用機序解明の為、炎症反応と酸化ストレス応答に着目した。水素水飲用後の組織中の水素濃度を計測したところ、肝臓において水素濃度の上昇が見られた。また、リポ多糖による敗血症モデルマウスに敗血症誘導前に水素水を飲用させておいたところ、エンドトキシンショックの症状が緩和し、生存率が改善した。また、肝臓の実質部分において抗酸化酵素ヘムオキシゲナーゼ-1の発現上昇が見られた。これらのことから、水素が作用する細胞は肝臓の実質細胞で、その効果は酸化ストレスへの適応応答によると推察された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 大澤 郁朗; 本田 修二; 池谷 真澄
     
    ミトコンドリアは老化と寿命制御の中核的オルガネラである。各呼吸鎖複合体はクリステ膜上に存在するが、その構造は200 nmの光学限界以下である為、そのダイナミズムとミトコンドリア機能との相関は不明である。本研究では、超解像STED顕微鏡を用いて、膜電位感受性色素(TMRM)で染色したミトコンドリアの内部構造(内膜クリステ)変化を数10 nmの解像度で経時的に観察する手法を確立した。さらに各呼吸鎖複合体のサブユニットを蛍光タンパク質でラベルしてクリステ上での局在を観察したところ、複合体IとIII、IVが近接したスーパーコンプレックスの存在を示唆する画像を得ることができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2015年03月 
    代表者 : 池谷 真澄
     
    嗅覚情報を伝える嗅索(LOT)の形成過程において、LOTUSがNogo受容体(NgR1)の拮抗物質として働き、軸索の束化に寄与することが知られている。NgR1とNogoは成体における神経再生阻害因子として知られているが、発生期における存在意義は不明な点が多い。胎生期のLOTUS遺伝子欠損マウスにおいてLOTの軸索側枝の増加が観察され、NgR1遺伝子欠損マウスとLOTUSとNgR1の両方を欠損させたマウスにおいては減少が観察された。これらのことよりLOTUSがNgR1を拮抗的に制御することによって、軸索側枝形成に寄与することが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 池谷 真澄
     
    本研究ではLOTUSの胎生期脳における生理機能を明らかにする目的でlotus及びngrl遺伝子欠損マウスを作製し、LOT形成に関わる機能解析を行った。1年目の研究で、まずLOTUS、Nogo、NgR1が三者ともLOTに存在していること、次にLOTUSは内在性のNgR1アンタゴニストとしてLOTの神経束形成に寄与することを明らかにした。 Nogoは胎生期の末梢神経系の軸索分枝を誘発するという報告がある(Marija M et al. Development 137,2539-2550,2010)。また、LOTは軸索伸長後胎生14日目以降で軸索分枝が起こることが知られている。そこで軸索分枝が進んだ胎生18日目のlotus-KOマウスのLOTをDiIによって可視化して観察したところ、野生型のマウスに比して軸索側枝の増加が観察された。また、ngrl-KOマウスにおいては野生型のマウスより軸索側枝が減少した。更に、lotusとngrlのダブル-KOマウスの軸索側枝はngrl-KOマウスと同程度にまで減少する傾向があった。これらのことからLOTUSによるNgR1の機能制御が軸索側枝形成の調節に関与することが示唆された。LOTUS、Nogo、NgR1はLOTに予め準備され、LOTの軸索束が形成されるまではLOTUSによってNogoの作用は抑制されているが、側枝形成期になるとLOTUSによるNogo作用の抑制が解除されて軸索側枝が形成されるとする仮説を提唱するに至った。 2年間の研究で、LOTUSがNgR1の内在性のアンタゴニストとして作用し、LOTの神経束形成と軸索側枝形成における生理機能も明らかにした。

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