研究者総覧

石崎 達郎 (イシザキ タツロウ)

  • 医療・介護システム研究 研究部長
Last Updated :2025/04/26

研究者情報

学位

  • 博士(医学)(帝京大学)
  • Master of Public Health(Harvard University)

ホームページURL

J-Global ID

研究キーワード

  • 高齢者の長期ケア   慢性疾患の疫学   医療・介護の連携   在宅ケア   高齢者の医療経済学   高齢者の健康増進   加齢の疫学   社会老年学   health economics in older population   Epidemiology in aging   Social gerontology   

研究分野

  • ライフサイエンス / 医療管理学、医療系社会学
  • ライフサイエンス / 衛生学、公衆衛生学分野:実験系を含まない
  • ライフサイエンス / 衛生学、公衆衛生学分野:実験系を含む

経歴

  • 2011年 - 現在  東京都健康長寿医療センター研究所福祉と生活ケア研究チーム研究部長
  • 2009年 - 2011年  京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野准教授
  • 2000年 - 2008年  京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療経済学分野助教授
  • 1996年 - 2000年  東京都老人総合研究所疫学部門研究員
  • 1992年 - 1995年  帝京大学医学部公衆衛生学講座助手

所属学協会

  • 日本応用老年学会   日本疫学会   日本老年社会科学会   日本老年医学会   日本公衆衛生学会   

研究活動情報

論文

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 加齢に対する信念の構造と加齢プロセスに与える影響の検証
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2022年04月 -2027年03月 
    代表者 : 権藤 恭之; 石崎 達郎; 石松 一真; 石岡 良子; 西田 裕紀子; 神出 計; 片桐 恵子
  • 生活困窮者の健康・自立支援のためのビッグデータ基盤整備:健康格差是正をめざして
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2020年04月 -2024年03月 
    代表者 : 高橋 由光; 光武 誠吾; 石崎 達郎; 後藤 禎人; 加藤 源太; 中山 健夫
  • 高齢者における多剤処方の健康影響評価と服薬指導プログラムの研究開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2020年04月 -2024年03月 
    代表者 : 石崎 達郎; 増井 幸恵; 高橋 由光; 浜田 将太
     
    【研究1】地域在住高齢者における多剤処方の健康影響の評価: ①レセプトデータの分析~北海道後期高齢者医療広域連合のレセプトデータから75歳以上の補保険者を対象に、外来医療において処方された薬剤種類数を把握し、処方薬剤数とその後の健康アウトカム(新規の要介護認定、死亡)との関連を分析した。その結果、薬剤数が多いと要介護認定や死亡の発生リスクが高くなっていることが明らかとなった。 ②コホート研究データを用いた分析~当研究所が大阪大学らと共同で2010年から実施している長期縦断研究「SONIC研究」のデータを使用して、服用中の薬剤種類数と3年後の歩行速度や握力の変化との関連を分析した。調査参加者のうち70歳群と80歳群(合計1544人、70歳群が全体の47.5%)を分析対象者とした。薬剤種類数は内服薬に限定し調査対象者が持参したお薬手帳や薬剤情報提供書から情報を収集した。その結果、薬剤種類数は3年後の握力低下や歩行速度低下と有意に関連しており、カットオフ値は5種類以上と計算されたが予測能は低かった(ROC曲線下面積は0.55前後)。 【研究2】自治体が実施する服薬指導プログラムの実態把握: 国民健康保険や後期高齢者医療制度の保健事業として服薬指導を実施した区市町村の担当者を対象にヒアリング調査を計画したが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、調査は実施できなかった。服薬指導事業の内容を検討しており、事業の計画準備、服薬指導対象者の選定と呼びかけ方法、参加者数、服薬指導の手続・内容・評価方法、投入した人的資源・費用等)である。
  • 医療・介護ビッグデータを用いた再入院発生予測モデルの開発と再入院予防策への提案
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2020年04月 -2024年03月 
    代表者 : 光武 誠吾; 土屋 瑠見子; 石崎 達郎
  • ケアのサイエンスを実現する介護とテクノロジー融合が福祉のトラストに与える影響
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2019年07月 -2022年03月 
    代表者 : 涌井 智子; 渡辺 健太郎; 池内 朋子; 三輪 洋靖; 伊藤 沙紀子; 木下 衆; 甲斐 一郎; 石崎 達郎
     
    本研究が対象とする課題は、情報社会における介護現場にテクノロジーをいかに導入するか、およびテクノロジーの導入により介護がいかに変わるかを明らかにし、技術や介護情報、テクノロジーを導入することによって福祉そのものに対する人々の信頼をいかに維持・醸成するか?という問いである。 本年度は、地域在住の中高年(40~89歳まで)約4700名を対象に、介護におけるテクノロジー導入に対する意識調査を実施した。この調査データの解析により、現在の中高年が高齢期に希望する介護におけるテクノロジー導入状況が明らかになったとともに、介護におけるテクノロジー導入希望に対する関連要因には性差があることや、学歴などが関連することが明らかとなっている。一方、高齢者の身体・認知機能によって、テクノロジー導入に対する認識がいかに変わるを明らかにした解析からは、身体・認知機能の依存度が高くなるほど、テクノロジー導入を受容する一方で、家族の介護経験者の方が、テクノロジー導入に対する受容度が高いことが明らかになった。 わが国の介護を支えるシステムは、経済的・資源的に極めて緊迫な課題を抱えており、介護とテクノロジー融合が介護システムの持続性に必然とされている。介護施設における導入だけでなく、地域在住の一人暮らし等高齢者におけるテクノロジー導入の可能性について、今後の調査・解析によって検討をしていく予定である。
  • 学際的アプローチによるポリファーマシー発生機序の探求
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    研究期間 : 2019年06月 -2022年03月 
    代表者 : 石崎 達郎; 吉田 祐子
     
    高齢者の多くは複数の慢性疾患を抱え、ポリファーマシーとなりやすく、ポリファーマシーは高齢社会における健康政策上の重要課題である。ポリファーマシー発生には医学的要因のみならず、心理・行動科学的要因、医療制度的要因等々、多くの要因が寄与していると考えられる。本研究は、①ポリファーマシーの危険因子に関するシステマティックレビュー、②地域在住高齢者を対象とする学際的研究データを用いたポリファーマシー危険因子の分析を実施することで、ポリファーマシーの発生機序を学際的アプローチによって探求することを目的とする。 【研究1】ポリファーマシー危険因子に関するシステマティックレビューの実施 患者側の医学的要因(疾患、要介護状態の有無等)、患者・家族の心理学・行動科学的要因、居住地域における医療資源等の環境要因、処方医師の要因、調剤薬局・薬剤師の要因、医療経済学・医療制度・公衆衛生行政の要因、チーム医療・多職種連携の要因など学際的観点からPubMedを使って文献を検索し、システマティックレビューの対象論文をスクリーニングした。 【研究2】学際的高齢者長期縦断研究データを用いたポリファーマシー危険因子の分析 2010年から取り組んでいる地域在住高齢者を対象とする長期縦断研究「SONIC研究」で得られたデータを使って、ポリファーマシー状態にある者を把握し、その危険因子として性格特性に注目し、男女別に分析した。ポリファーマシーであった者は男性24%、女性27%で、多剤処方に関連していた性格特性は、男性は神経症傾向が高いこと、女性では外向性が低いことであった。
  • 年齢と余命に関連する2つの過程が高齢者の幸福感に与える影響の長期縦断的検証
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2017年04月 -2022年03月 
    代表者 : 権藤 恭之; 石崎 達郎
     
    本研究の目的は、SONIC研究参加者に対して追跡調査を行い、感情の経時的変化に関する縦断的検討を行うことである。SONIC研究ではNarrow range age design に準拠した年齢幅が3歳の3年齢群(70歳、80歳、90歳)を関東・関西の都市部と田園地域において悉皆で対象者を抽出し参加を呼びかけ、公民館等を利用した招待型調査を実施してきた。 本年度は、70歳群の第4波調査を行うとともに、調査が早期に終了したため、データ整理をすすめた。また、これまで把握することができなかった、縦断調査からドロップアウトした参加者に関する情報を再収集した。これらのデータを整備すると共に、引き続き、国際共同研究を推進するためのデータセットの英語化を進めた。研究成果としてはIADLが抑うつ傾向に与える影響が年齢によって異なることを確認した。また、慢性疾患が認知機能に与える影響も同様に年齢によって異なることを確認した。この現象は異なる年齢群では生のプロセスと死のプロセスの比重が異なることによって生じると推察できる。したがった、両プロセスのバランスで高齢期のポジティブ感情およびネガティブ感情が決定するという本研究の中核的仮説を部分的に支持するものだといえた。また、活動の指標である余暇活動が認知機能と運動機能に対して影響することと、また認知機能と運動機能の間には両方に影響を与えあうことが明らかになった。また、精神的健康は両者の関係から独立していることが示された。この結果は70歳高齢者での結果なので、80歳、90歳においてこれらの関係がどのように変化するかを検討することで、生のプロセスが低下し、死のプロセスが上昇した時の影響を検証するための基礎的にモデルができた。
  • 職域レセプト分析:受診行動による生活習慣病の早期発見および重症化予防への効果
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2016年04月 -2022年03月 
    代表者 : 志摩 梓; 辰巳 友佳子; 石崎 達郎; 呉代 華容; 宮松 直美
     
    本申請課題は、職域コホートの健診データとレセプトデータを継続的に突合し、①循環器疾患のリスク因子と受療状況、疾病コントロール等の関連、②がん検診および精検受診率とがん発症との関連等を検討すること、を目的としている。 2020年度は、循環器疾患については、1) 2017年健診時にII度以上の高血圧者273人を対象として実施した、医療機関への紹介状を発行する保健介入の追跡検討を行った。その結果、紹介状発行により外来受診開始が増加するだけでなく、1年後のIII度高血圧者が従来の約半数となることを公表した(OR: 0.42、95%CI: 0.19-0.90)。2) 家庭血圧測定状況の検討を進め、降圧薬服用者に限った分析において、家庭血圧測定習慣がある者は約25%であること、男女ともに他の生活習慣病治療があることが、女性では血圧管理不良と、不健康な生活習慣であることが、測定習慣なしと関連することを公表した。3) 糖尿病コントロールについて、9年間の78536件(14556人)の健診データから、101件(61人)の血糖パニック値(HbA1c: 11.0%以上、または随時血糖: 400mg/dL以上、または空腹時血糖: 300mg/dL以上)を抽出・分析し、健診直後における個別の受診勧奨により一旦は全員が医療機関を受診するものの、翌年健診時に治療継続が確認できた者は約8割で、治療継続者でも約6割でHbA1cが8%以上であることを公表した。 がん検診については、大腸がん検診(便潜血反応検査)の受診、精密検査受療状況等のデータ整理を進めたが、大腸がん罹患との関連等の検討は、後述のとおり2021年度に行うことにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2016年04月 -2020年03月 
    代表者 : 高橋 由光; 中山 健夫; 石崎 達郎; 後藤 禎人
     
    生活習慣病3疾患(糖尿病、高血圧症、脂質異常症)を中心に、多疾患の有病割合の実態把握を行うことを目的とした。自記式調査として、国民生活基礎調査を用いて、レセプトデータとして、公的医療保険加入者についてはレセプト情報・特定健診等情報(National Database:NDB)を、生活保護受給者については医療扶助実態調査を用いて分析を行った。併存疾患として、高血圧症・脂質異常症が最も多く(5%)、高血圧症・眼の病気(4%)、高血圧症・糖尿病(4%)であった。公的医療保険加入者に比べ、生活保護受給者の3疾患の有病割合は高かった。低い社会経済状況や慢性疾患の罹患ががん検診の受診とも関連していた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2015年07月 -2018年03月 
    代表者 : 新井 康通; 石崎 達郎; 権藤 恭之; 神出 計; 湯浅 慎介; 中岡 博史; 池邉 一典; 井ノ上 逸郎
     
    本研究は、超百寿者由来のiPS細胞を血管内皮細胞に分化させ、酸化ストレスや低酸素ストレス耐性の分子機構を解明し、得られた分子生化学的、遺伝学的成果を、多年代高齢者コホートを用いて疫学的検証を行うことを目的とした異分野連携プロジェクトである。症例数の不足のため、iPS細胞実験から、ターゲット分子を同定するには至らなかったため、心血管防御因子であるExtracellular superoxide dismutase を目的変数としたQTL解析を行い、候補遺伝子(rs1799895)を同定した。その結果をSONIC研究対象者1890名で解析し、頸動脈硬化などの老化形質を関連することを見出した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 増井 幸恵; 権藤 恭之; 石崎 達郎; 新井 康通; 池邉 一典; 稲垣 宏樹; 神出 計; 中川 威
     
    本研究の目的は、高齢期のネガティブライフイベント経験時の老年的超越の役割について検討することであった。70歳代、80歳代の高齢者を対象に6年間で3回の追跡調査を行った。その結果、①「配偶者との死別」や「介護経験」の経験により老年的超越の発達が促進されること、②「家族の大きな病気」の経験時に生じる精神的健康の低下に対して経験以前の老年的超越は防御効果があること、が示された。しかし、老年的超越を向上させるイベントは限られており、老年的超越の防御的効果が確認されたイベントも限られていた。今後は、老年的超越が効果を示すネガティブライフベントについて焦点をあて、さらに詳細に調べていく必要がある。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 神出 計; 樂木 宏実; 権藤 恭之; 池邉 一典; 石崎 達郎; 新井 康通; 増井 幸恵; 樺山 舞; 杉本 研; 山本 浩一; 小黒 亮輔
     
    高齢者長期縦断疫学(SONIC)研究における、70,80,90歳の対象者における認知機能障害やフレイルなど老年症候群をアウトカムにすることで健康寿命延伸のための各年代の高血圧治療管理基準を明らかにすることを目的とした。解析の結果、70歳ではSBPが高いほどに、90歳ではSBPが低いほどに認知機能が低下していた。SBPが低い程認知機能が高くなる傾向は、降圧薬服用をしていない非フレイル群のみにしか認められず、降圧薬を服用しているフレイル群においてはDBPが低い程に有意に認知機能が低くなる傾向が認められた。超高齢者およびフレイル者での過降圧は認知機能の低下をもたらす可能性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 石崎 達郎; 高橋 由光
     
    高齢患者は複数の慢性疾患(多病)を抱える者が多く、本研究では東京都の75歳以上の高齢者を対象に、3疾患の併存頻度を同定した。国内外において、各種疾患の診療ガイドラインが作成されているが、そのほとんどは対象疾患に関する診療が中心であり、併存疾患を考慮した診療ガイドラインは少なかった。多剤処方・薬剤有害事象の発生、断片化した非効率な診療等を防ぐためにも、併存疾患を考慮する診療ガイドラインが必要である。多病を抱える高齢患者の疾病管理として、身体機能、認知機能、社会的側面を評価する総合的高齢者評価の実施と、患者の意向を重視する患者中心医療が必要である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 杉原 毅彦; 南木 敏宏; 針谷 正祥; 石崎 達郎; 石神 昭人; 田中 雅嗣
     
    寛解あるいは低疾患活動性を目標に治療強化を行うことが関節リウマチ(RA)の関節破壊進行を抑制し身体機能と予後を改善させる。今回の研究で、高齢者においても低疾患活動性を目標とした治療で疾患活動性は制御され身体機能が改善することが示された。また、関節破壊進行を進行しやすい高齢RAの臨床像か明らかとなり、治療中に発現する合併症が長期的な身体機能に影響することが示された。治療選択の指標となることが期待された末梢血のPAD4の有用性は確認できなかった。RA発症に関連する新規疾患感受性遺伝子を同定したが、治療選択の指標としては有用でなかった。今後、治療と関連するゲノム情報を指標とした治療戦略を確立したい。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2014年07月 -2017年03月 
    代表者 : 権藤 恭之; 新井 康通; 石崎 達郎; 池邉 一典; 神出 計; 片桐 恵子; 増井 幸恵; 中川 威; 稲垣 宏樹; 上田 博司
     
    本研究は、高齢者を対象とした長期縦断研究のデータに基づいて、超高齢社会に相応しいサクセスフルエイジングモデルを構築する事であった。SONIC長期縦断調査のデータを対象にいくつかのサクセスフルエイジングモデルを検証した。その結果、機能レベルからサクセスフルエイジング達成者を分類すると、達成率は70歳、80歳、90歳でそれぞれ17%、4%、0%となった。一方、幸福感を見ると高い年齢群の方が高くなっていた。3年間の縦断データの分析においても、何れの年齢群も機能レベルは低下するにも関わらず、幸福感の上昇が観察され、機能レベルと心理レベルのサクセスフルエイジグがかい離することが確認された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2013年04月 -2017年03月 
    代表者 : 志摩 梓; 岡村 智教; 石崎 達郎; 宮松 直美; 呉代 華容
     
    職域コホートにおいて、①循環器疾患リスク因子とその後の医療費の関連、②外来受診状況と循環器疾患リスク因子改善の関連を検討した。 本対象集団では、血圧水準が高いほどその後の外来医療費が高額であった。しかしながら、stage2高血圧者の外来医療費増加分も年間数万円に留まり、降圧治療は不十分である可能性が示唆された。そこで、高血圧者における外来受診頻度と9年後の目標血圧未達成の関連を検討したところ、月1回程度外来受診群に比べ、殆ど外来を受診しない群ではコントロール不良者が約3倍であることが示された。糖尿病についても、外来受診と1年後健診で評価したHbA1c低下者割合に正の関連が示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 田宮 菜奈子; 野口 晴子; 松井 邦彦; 宮石 智; 山崎 健太郎; 山本 秀樹; 斉藤 環; 阿部 智一; 武田 文; 高橋 秀人; 柏木 聖代; 泉田 信行; 松本 吉央; 柴山 大賀; 山海 知子; 阿部 吉樹; 麻生 英樹; 菊池 潤; 森山 葉子; 山岡 祐衣; 伊藤 智子; 小林 洋子; 佐藤 幹也; 石崎 達郎; 涌井 智子; 陳 礼美; 門間 貴史; 杉山 雄大
     
    本研究は、医療・介護・福祉に関わる現場と大学を両輪としたPDCAサイクルを実現することを目的として、医療福祉現場と協同でつくば市医療福祉事例検討会を進行し、問題点の集約分析や、つくば市ニーズ調査の分析を市にフィードバックすることで、現場との協同を図ってきた。また、これからのミクロレベルで成果の一般化展開も含めて、全国介護給付費データや国民生活基礎調査のビッグデータを含む種々のデータ分析により学術的研究を行い、医療と介護の連携はどうしたら進むのか、要介護者・障害児者およびその介護者にどのような支援が必要か、介護保険サービス利用の実態等を明らかにすることで、地域包括ケア推進方策を検討した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 高橋 龍太郎; 会田 薫子; 鶴若 麻理; 島田 千穂; 石崎 達郎; 清水 哲郎
     
    高齢者の希望を医療選択に生かす取り組みが注目されている。本研究の調査で、終末期医療の希望について家族や友人との会話がある人は4割、記録がある人は1割であり、両方ない人は半数であった。そこで、研究者らは、終末期の生活について考え、事前の選択を書き残すツール「ライフデザインノート」を用いた実践的介入研究を実施した。地域診療所通院患者114名にノートを配布したが、終末期医療の希望記述者は半数程度であった。記述に伴う心理社会的要因を、インタビュー調査によって分析したところ、家族への配慮が特徴的であった。事前の希望を明示することは困難であり、記述には家族との関係性のあり方が反映される可能性が考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 石崎 達郎; 高橋 龍太郎
     
    共同研究を行っている自治体から介護保険・医療保険レセプトデータの提供を受け、データベースを構築し、要介護サービスを利用している高齢者を対象に、ひと月ごとの療養場所(自宅、病院、施設)とその移動、1年間における要介護度別入院回数を把握した。療養場所の移動前後の時期におけるケアの質の維持・向上への対応について、国内外の取り組みについて情報を収集した。これら研究成果を活用し、在宅医療と入院医療をつなぐための電子カルテフォーマットを作成し試用した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2011年04月 -2015年03月 
    代表者 : 秋山 弘子; 小林 江里香; 直井 道子; 杉原 陽子; 杉澤 秀博; 菅原 育子; 木村 好美; 山田 篤裕; 深谷 太郎; 新開 省二; 石崎 達郎; 村山 洋史; リヤン ジャーシー
     
    1987~2012年に実施された全国高齢者の追跡調査(計8回)と、戦後生まれを含む新しい高齢者パネルの初回調査データの縦断的分析や複数時点の横断的分析を行った。 家族以外のネットワーク、喫煙本数、BMI、運動習慣、移動能力は、加齢に伴い、必ずしも直線的ではないが減少しており、一部の平均値や変化量には出生コホートによる差がみられた。コホートや調査年による差は男女で異なり、男性のみで社会的孤立化が進んでいた。また、女性では、子どもとの同居が生活満足度(LS)を高める効果が弱くなる一方、友人との接触とLSとの正の関連は強くなるなど、主観的幸福感の関連要因にもコホートや調査年による差異が示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 菊地 和則; 石崎 達郎; 伊東 美緒
     
    養護者による高齢者虐待への対応においては、高齢者への医療や認知症ケアが必要とされるだけでなく、養護者への医療も必要になるなど医療機関との連携は欠かせない。しかし、医療機関の高齢者虐待対応への協力は十分とは言えない。 医療機関の虐待対応への協力を促進するため、東京都内の医療機関など関係機関を対象とした郵送調査を行った。その結果、医療機関が虐待対応に協力するためには「高齢者の医療費支払いの確保」、「養護者の脅し・暴力当があった場合の支援」、「医療同意を行う家族・親族の確保」、「区市町村判断による医療機関一時保護制度の創設」、「成年後見人の専任」などが必要とされていることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 宮崎 貴久子; 中山 健夫; 石崎 達夫; 仙石 多美; 上田 佳代; 太田 はるか; ネフ 由紀子; 日向 美羽
     
    日本人死亡原因の約三分の一ががんによる。がん緩和ケア研究推進を目指し、必要とされる緩和ケア研究の現状と課題を検討した。1)わが国の緩和ケア研究の現状を把握するために、日本から海外に向けて発表された英文論文の記述内容分析を実施した。エビデンスレベルが高い研究の少なさが示唆された。2)大規模レセプトデータから、医療用麻薬の使用状況と、エビデンスと臨床のギャップを検討した。3)これらの調査結果をもとに、緩和ケア臨床の医師たちが、どのような研究(エビデンス)を必要としているのか、インタビュー調査を実施した。内容分析から7カテゴリーが抽出された。臨床家たちへの研究実施に向けた支援の必要性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2009年 -2012年 
    代表者 : 権藤 恭之; 高橋 龍太郎; 増井 幸恵; 石崎 達郎; 呉田 陽一; 高山 緑
     
    本研究は、高齢期におけるサクセスフルエイジングを達成するためのモデルが加齢に伴って、機能維持方略から論理的心理的適応方略、そして非論理的超越方略へと移行するという仮説に基づき実証研究を行ったものである。70 歳、80 歳、90 歳の地域在住の高齢者 2245 名を対象に会場招待調査を実施しそれぞれ関連する指標を収集した。その結果、高い年齢群ほど身体機能、認知機能の低下が顕著である一方で、非論理的適応方略の指標である老年的超越の得点は上昇しており、高い年齢になるほどサクセスフルエイジング達成のために非論理的適応方略が有効であることが示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 中山 健夫; 石崎 達郎; 東 尚久; 野田 光彦; 宮崎 貴久子; 佐藤 敏彦; 池田 俊也; 鈴木 博道
     
    近年、各領域で診療ガイドラインが整備されつつあるが、その推奨は臨床の場で必ずしも実施されていない。また添付文書に記載された安全性情報の遵守程度も明らかではない。これらは「エビデンス・診療ギャップ」として医療の質を考える際の大きな課題となっている。本課題はレセプト・データベースを用いて、ステロイド性骨粗鬆症ガイドラインの推奨実施状況と、心弁膜症リスクが指摘され添付文書が改訂された麦角系ドパミンアゴニスト使用者での心エコー実施割合を明らかにし、レセプト・データベースの有用性を証明した。
  • Health care needs and resource use among older individuals under the public long-term care insurance system
    研究期間 : 2009年 -2011年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 石崎 達郎; 高橋 龍太郎
     
    本研究は、介護保険施設サービス利用者として老人保健施設の入所者を取り上げ、入所中に提供された医療サービスの内容・種類、薬剤費用を把握することで、介護保険サービス利用者における医療サービスニーズを把握することを目的とする。調査の結果、最も施行されていた血液検査は栄養評価のための血清アルブミン値測定であった。画像診断は、胸部単純X線撮影が最も多く、胸部・腹部CT撮影も施行されていた。一人一日あたりの薬剤費は、10円未満から4000円弱まで、大きくばらついていた。介護保険制度は、入所中に発生した重篤な急性疾患の管理に対する介護報酬を設定しているが、慢性疾患管理としての投薬、検査、処置等は償還されない。医療ニーズの高い要介護高齢者であっても、介護保険施設を利用しやすいような介護報酬体制の設計が望まれる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 関本 美穂; 今中 雄一; 石崎 達郎; 林田 賢史
     
    本研究は、以下の3つのトピックスにおいて、診療体制(人員配置やマンパワー)や診療マネジメントシステム)が、診療プロセスや患者アウトカムに与える影響を検討した。1)脳梗塞の急性期診療、2)集中治療室(ICU)の診療体制、3)輸血管理。これらの研究の結果から、臨床的な因子以外に、診療体制や診療マネジメントシステムが、診療プロセスがや患者アウトカムと関連することが確認された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 今中 雄一; 関本 美穂; 林田 賢史; 猪飼 宏; 石崎 達郎; 徳永 淳也; 徳永 淳也
     
    全国から多施設病院より協力を得、診療領域毎・施設毎に診療パフォーマンスとコストを可視化し、影響要因を明らかにし、医療の向上に役立つ礎を築いた。 地域レベルで健康・要介護状態と医療・介護の資源の分布、アクセス、推移、および医療・ケアへの需要と供給のギャップや機能分担の可視化と時間縦断的・横断的な分析を進めた。これらにより医療保健介護の地域システムの体系的な評価方法を進展させた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 石崎 達郎; 今中 雄一; 関本 美穂
     
    本研究は、高齢者の医療・介護資源の消費状況を検討することを目的とする。某県の医療費と介護費の内訳を市町村別に比較した結果、入院医療費が低額の自治体では施設介護費が高額である傾向が認められた。次に、某市の5年間の介護給付費を分析した結果、サービス利用状況は極めて不均等であることが明らかとなった。最後に、某医療機関で入院医療を受けた患者の最終退院から1年前までの累積入院医療費を分析したところ、生存退院患者よりも死亡退院患者は累積医療費が高額で、死亡退院患者では高齢になるほど医療費が低額であることが明らかとなった。
  • レセプトデータを活用した薬剤処方クオリティ・インディケータ開発と診療改善への応用
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 関本 美穂; 今中 雄一; 石崎 達郎; 林田 賢史
     
    本研究はDPCデータやレセプトデータを活用して薬剤使用の適切性を評価しようとする比較的新しい試みである。研究のトピックスとして、脳梗塞急性期の薬物療法と血液製剤を選んだ。 脳梗塞急性期の薬物療法に関する研究では、DPCデータから患者毎の薬剤の使用量・使用日数の情報を抽出し、各薬剤の使用状況を病院間で比較した。病院を入院直後3日間の医療費の分布により3群(高額・中間・低額群)に分類し、3群間で薬剤の使用状況を比較した。脳梗塞急性期診療における高額医療は主に集中治療の利用によるものであり、薬物使用とは関連が見られなかった。また薬物使用は、患者アウトカムとも関連がなかった。 また血液製剤では、DPCデータを基にして血液製剤が使用された症例を同定するとともに、研究協力病院にて血液製剤の使用状況の調査と使用適切性の評価を実施した。DPCデータを利用して、血液製剤が投与された症例(赤血球製剤573例・濃厚血小板167例・新鮮凍結血漿121例・アルブミン製剤244例)を同定した。これらの症例の診療録をレビューし、われわれが開発したアルゴリズムを基にして、血液製剤の使用適切性を評価した。調査の結果、明らかな使用の適応があった症例の割合は赤血球製剤で70%、新鮮凍結血漿で15%、濃厚血小板で56%、アルブミン製剤で30%であった。血液製剤が使用される主な臨床状況は、赤血球製剤が急性出血・慢性貧血・周術期の輸血、新鮮凍結血漿が出血症状・心臓手術・出血に対する予防的投与、濃厚血小板が心臓手術・血液疾患・重症患者、アルブミン製剤が出血性ショック・心臓手術・肝硬変などであった。 またDPCデータを利用して、診断群分類を利用して血液製剤使用量の実測値と予測値の比(O/E値)を病院毎・診療科毎に計算した。診断群分類で調整した血液製剤の使用量には病院間で大きなバラツキが観察されたが、O/E値と不適切使用の頻度は必ずしも合致しなかった。
  • アクシデントによって発生する損失医療費およびエラー指標算出の試みに関する研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 竹村 匡正; 吉原 博幸; 今中 雄一; 石崎 達郎
     
    本研究では、医療の質を定量的に測定するという観点から、インシデント・アクシデントレポートの情報及び医事情報を用いて新しいエラー指標の算出を行った。具体的には、医療事故に起因する診療行為の自動抽出を目的とし、それらの診療行為点数をエラー指標とした。本指標は、事故が経済的にどのような影響を与えているのかを示すと同時に、病院経営的には病院の抱えるリスクを示す指標となりうるものである。自動抽出の方法論としては、1.導入が進みつつあるDPC(Diagnostic Procedure Combination)の情報を利用して、標準化された同一疾患の患者情報を用いた。具体的には、患者の診療行為とは、(同一疾患に基づく診療行為)+(その患者特有の診療行為)+(医療事故に基づく診療行為)と捉え、診療プロセスに基づいて特に事故後に特異に発生した診療行為を事故に起因する診療行為候補として抽出することとした。次に、2.インシデント・アクシデントレポートの自動分析を行い、事故に起因する診療行為候補を自動的に検証することとした。具体的には、機械学習の方法を用いて、インシデントレポートの記述を、「患者プロフィール」、「事故発生・発見プロセス」、「事故対応」、「潜在理由」、に分類して、実際のインシデントレポートの各「文」が、どの項目を記述しているのかというタグを人の手で付与し、機械学習させた。結果、京都大学医学部附属病院で収集されたインシデント・アクシデントレポートに基づく医事情報も含めた患者情報について、本方法論を適応した結果、「転倒・転落」に分類された事例に対して、リスクマネージャが判断する事故に基づく診療行為を高い精度で抽出することが出来た。しかし、レポートの記述が標準化されていないことが人手でも事故の状況を把握できないことが逆に判明し、本方法論はレポート記述の自動評価の可能性があることが示唆された。
  • 医療のコスト・パフォーマンスの実測・多施設比較と要因分析・改善策
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 今中 雄一; 石崎 達郎; 関本 美穂; 林田 賢史; 徳永 淳也; 廣瀬 昌博
     
    多施設データベースの構築を進めながら医療の質・効率性の改善の資する科学的評価手法の研究開発を以下のごとく行った。 【医療のコスト分析】多施設の悉皆的な症例からなるデータベースに基づき、医療費・医療資源関連指標を算出し、その関連要因を分析し、医療費増のリスクの調整方法を開発した。診療パターンの向上に活用するべく、より妥当な施設間比較を行い、ばらつきの要因を分析した。さらに、国内外の過去の研究においても明らかにされてこなかった安全管理および感染制御のための組織維持のコストは、国際的にも定量的に把握されておらず、人、もの、機器・設備のコスト、その他様々な経費を把握するための系統的なフレームワークを研究開発し構築し、コストを計測して関連要因を分析した。 【医療の質・パフォーマンス分析】多施設データに基づき、多領域の疾患において、で、リスク調整のモデル化を進展させながら、良好アウトカム率や死亡率、在院日数、術前・術後在院日数などについて施設間差異とその要因の分析を行った。経年的データを用い、特定の疾患による死亡率、特定の診療フェーズにおける抗生剤の使用、診療領域ごとの輸血・血液製剤の使用などの適正化のプロセスを示すことができた。 【医療のコスト・パフォーマンスと経営組織体の評価】診療行為のコストとパフォーマンスを統合的に評価し、経営戦略の理論的枠組みをふまえ各種の量的・質的なデータ・情報を収集・整理・分析し、医療の経営・運営システムの改善と持続に資する体系の構築を進めた。その中で、組織運営上重要な組織文化の構造や提供者側からの評価の構造を体系化して実測し要因分析と構造分析を行った。
  • 高齢患者における医療資源の消費に関する研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 石崎 達郎; 今中 雄一
     
    医療費の増加要因には人口の高齢化や医療技術の高度化などの他、長期入院や薬剤・検査の過剰使用も増加要因として指摘されている。本研究は、1)厚生労働省「社会医療診療行為別調査」を用い、年齢階級に診療行為(検査や投薬等)実施の違いを比較する(マクロ分析)とともに、2)入院医療を受けた患者一人一人の個別の入院診療データを用いて、性・年齢階級・疾患群別に医療資源の消費状況を示し(ミクロ分析)、3)高齢者と非高齢者との間で医療資源消費に違いがあるのかどうか検討することを目的とするものである。 厚生労働省「社会医療診療行為別調査」を用いて、年齢階級・疾患群別に診療行為(検査や投薬等)実施の違いを比較した。その結果、高齢患者ほど検査・薬剤医療費が高額になるという知見は得られなかった。疾患別の比較では、総医療費では40歳以降から増加傾向にあるものや60歳以降から増加しはじめるもの等、疾患によってパターンは異なっていた。 次に患者の個別入院診療データを用いて、性・年齢階級・疾患群・退院時転帰別に、高齢者と非高齢者との間で医療資源消費を比較検討した。その結果、70歳以上の高齢患者よりも、40〜69歳の群で医療費が高くなっており、「高齢患者は非高齢患者よりも検査や投薬が多く医療費が高い」という結果は得られなかった。特に死亡退院患者群では、年齢階級が上がるにつれ医療費が少なくなる傾向にあった。疾患群別の検討では、損傷外因の場合のみ、年齢階級が上がるにつれて医療費総額が有意に高額になっていた。消化器系、尿路生殖器系、呼吸器系の生存退院患者群では、60歳代でピークに達し、その後は有意に減少していた。 以上の結果から、マクロ分析・ミクロ分析ともに、年齢と医療費との間に直線的な相関関係は認められなかった。医療費を年齢階級間で比較する場合には、階級間の疾病構造の違いを考慮する心要がある。
  • 活動基準原価計算を活用した時間縦断的・多軸的な患者別原価測定方法の開発研究-妥当な施設間比較と政策応用に向けて-
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽研究
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 今中 雄一; 石崎 達郎; 廣瀬 昌博
     
    本研究では、活動基準原価計算のフレームをも活用してより正確に原価計算を行うしくみとして多軸的に診療の原価を患者レベルで日常的に測定するシステム構築の設計を行う。その際に、日本のデータ下部構造や会計のしくみ、病院会計準則、医事データの標準フォーマット、医薬品・検査等に関わる標準コード体系、標準的なデータセットなどの諸要素と構造を整理して当原価計算に活用できるようにした。これらに基づき、多施設で共有して使えること、それにより、妥当な施設間比較ができるようになり、医療の経営品質と政策に資することを目指すものである。また、技術的には、原価の割り当ての方法について、正確さの程度により、直課から荒い配賦まで、整理してまとめ、原価計算に活用した。日常診療の診療情報管理、医事システム、給与システム、経理や物流のシステム、勤務の割振り実態などのデータを統合して、患者ごとのデータを日常的に継続的に出すしくみである。国内のデータコーディング、財務諸表の標準化、従来使われている部門別原価計算方法も踏まえて原価を妥当に算出する方法論基盤を既に作っている。医療機関内すべてを網羅する部門を設定して部門区分の粒度を高め、各種サービス種別に対応する細部門別の原価を第一段階とし、近年の医事コンピュータの電算化や抽出データの標準化を活用して直課相当しうる部分を患者に直課し、一方で細部門にプールされた原価を原価作用因でもって活動基準原価計算の一種として患者に按分する方法である。データは日毎に分割し、しかも、人、薬剤、診療材料などの勘定項目からなる原価諸要素と、手術、各種検査などサービス内容諸要素との、多軸構成を持たせてある。その上で、諸切り口で算出した原価について、診療科目や患者分類や重症度関連指標、ならびに部署や諸機能の質や効率・経済性を含む業績評価との関係性を分析し、活動基準管理への活用方法を検討した。
  • 医療提供組織における経営品質の多軸的評価方法の研究開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 今中 雄一; 石崎 達郎
     
    医療の経営について以下のように多軸的な検討が可能であり有効であることを示した。 医療機関の経営システムの全体を評価できる仕組として、機能評価・認定、経営品質、ISOやBSのマネジメントシステムを比較研究し、1:方針の展開、目標管理、臨床的な統治におけるリーダーシップ、2:プロセス指向型の部門内・部門間連携の促進と維持、3:業務プロセスの標準化、4:個々のケアと組織レベルの計画とその系統的なレビュー、5:不満・苦情やリスクを全組織的に管理するシステム、要改善点の徹底的なフォローアップ、6:パフォーマンスの測定の標準化と維持、7:顧客満足の認識と継続的な改善が多くの医療機関で改善の余地がある点と考えられた。顧客満足としての患者満足度の測定では、施設間でばらつきを検知することができ、また、患者は在院日数などの条件で医療に期待する内容が異なり、同じ施設でも患者の満足度に影響する因子が異なることが実証された。 臨床評価指標の点では、10余の病院の入院データより虚血性心疾患、子宮筋腫手術、大腿骨頸部骨折治療、破裂性脳動脈瘤とそのクリッピング手術に焦点を当てて、治療方法の選択などのプロセスのばらつき、在院日数や死亡率などのアウトカムの指標化を行った。病院間の臨床評価指標値のばらつきを示され、その要因の一部が同定された。重症度で階層化すると施設間差が一層明確になることもしばしば見られた。財務面では、収入と従来より測定困難とされている原価について実証研究を進めた。我々が開発した患者毎勘定科目毎に原価を計算する手法を用い、協力モデル病院で実運用を試行して成果を出し、症例ごとの収支データを内部管理に活用し医療の効率化が促進されるかどうかの検証を進めた。
  • 要介護高齢者の在宅ケアにおける医療費・介護費用の経時的評価
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 石崎 達郎
     
    本研究は、在宅要介護高齢者を対象に、在宅ケアの実施に必要となる医療費と介護費用を把握することを目的とするものである。今年度は、某訪問看護ステーションの利用者(60名)を対象に、平成15年7月、8月、9月の3ヶ月間の医療費と介護費用を経時的に調査した。対象者の要介護度は、要介護度5が最も多く(16名、27%)、次いで要介護度1(15名、25%)、要介護度3(14名、23%)であった。 医療費(医療保険における診療報酬請求額)は3ヶ月間でやや減少傾向にあり、一人あたりの一ヶ月の医療費は7月約6万円、8月約5万6千円、そして9月は約5万3千円であった。一方の介護費用(介護保険における介護報酬請求額)は、3ヶ月間でほとんど変化がなく、一人あたりの一ヶ月の介護費用は約11万〜12万円であった。そして、医療費と介護費用とを合計した総費用も、3ヶ月間で大きな変化はなく、一人一月あたり、7月約20万円、8月約18万円、そして9月は約18万円であった。また、総費用に占める介護費用の平均割合は、7月68%、8月70%、9月69%と、ほとんど変化が認められなかった。さらに、介護保険支給限度基準額における使用割合は、7月45%、8月45%、9月41%と、これもほとんど変化が認められなかった。介護度と医療費、介護費用との関連をみると、介護度が高い者ほど介護費用が高くなる傾向が見られたが、介護度と介護保険支給限度基準額における使用割合との関係は認められなかった。 本研究の結果、今回調査した3ヶ月間では、医療費や介護費用の顕著な変化は認められなかったものの、在宅要介護高齢者の総費用(医療費+介護費用)における介護費用の占める割合が約70%を占めていることが明らかとなった。在宅要介護高齢者の医療・看護・介護ケアに費やされる費用を考慮する際に、介護費用が大きな割合を占めることを留意する必要があろう。
  • 介護保険制度導入が在宅ケアを受ける高齢者とその介護者に及ぼす影響の経時的検討
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 石崎 達郎
     
    本研究の目的は、在宅要介護老人とその介護者を対象に、介護保険制度施行前後において、対象者の状況や在宅支援サービス利用状況などに変化が認められるかどうかを追跡調査によって検討することである。平成11年度の初回調査対象者(訪問看護ステーションからサービスを受けている患者とその家族40組)のうち、初回調査への参加者は21組であった。このうち、第1回追跡調査(平成12年9月)で回答が得られた者は17組であった。 被介護者のADLレベルは、厚生省自立度判定基準によると、A2:1名、B1:2名、B2:6名、C1:4名、C2:4名と、17名中16名が「寝たきり」状態にあった。8ヶ月間のADLレベルの変化は、B1からB2に低下した者1名以外には変化は認められなかった。一方、介護者の身体的状況についても、大きな変化は報告されなかった。 サービス利用に関する変化に関しては、デイサービス、ホームヘルパー、入浴サービスのいずれにおいても、第1回追跡調査の時点では、半数以上の者では利用に大きな変化は認められなかった。具体的には、介護保険制度施行前に各サービスを利用していなかった者(デイサービス:11名、ホームヘルパー:14名、入浴サービス:10名)のうち、制度施行後もサービスを利用していなかった者は、デイサービス9名、ホームヘルパー9名、入浴サービス8名であった。一方、介護保険制度施行後にサービス利用を開始した者は、ホームヘルパーで5名と最も多く、デイサービスや入浴サービスではそれぞれ2名であった。 研究代表者は平成12年10月に京都大学へ異動となるため、異動後に再度追跡調査を実施した後に、最終的な検討を実施する予定である。
  • 在宅ケアを受ける要介護老人の身体的精神的健康状態の経時的変化に関連する要因の分析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1997年 -1998年 
    代表者 : 石崎 達郎
     
    本研究は、訪問看護・在宅診療を受けている在宅要介護老人とその家族(介護者)を追跡調査し、患者とその介護者の身体的精神的状況の経時的変化を調べ、その変化に関連する要因を検討することを目的とする。平成10年度の研究では、平成9年度の初回調査対象者(患者とその家族19組)を追跡すると同時に、初回調査実施後に新たに訪問看護・訪問診療の対象となった患者・家族(16組)についても新規対象者として追跡した。初回調査対象者(19名)のうち、半年後の第2回調査で再調査が可能であった者は8組で、一年後の再調査でも追跡が可能であった者は6組であったが、身体的精神的状況の大きな変化を捉えることはできなかった。一方、介護者では、身体的精神的状況の変化は半年毎の観察でも把握することができ、約半数で体調悪化や介護負担感増強が報告された。この理由として自分の身体の変化が、体調悪化と負担感増強の両方においてほぼ全員で訴えられ、自分の気持ちの変化をその理由として挙げていた者も少数いた。また、介護者の体調悪化の理由として被介護者の病状変化を挙げた者は一人もいなかったが、介護負担感増強については理由として挙げていた者が少数いた。従って、今回の調査結果より、在宅ケアを支援する訪問看護・訪問診療では、患者の病状把握はもちろんのこと、介護者についても定期的に健康管理がなされる必要があることが示唆されよう。本研究では当初3-4ヶ月毎の再評価を予定していたが、初回追跡患者の追跡開始後3-4ヶ月では身体的精神的状況の変化は認められなかったため、観察間隔を半年毎に延長して、変化を捉えようとした。しかし、観察期間を延長したところで追跡可能であった患者の状況にはほとんど変化がなく、その一方で急性疾患発症によって入院して脱落群を多く生じる結果となってしまった。要介護高齢者の追跡研究は、健常集団とは異なった研究デザインが必要である。
  • 在宅ケアを行う要介護老人の健康状態維持増進に関連する要因の分析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 石崎 達郎
     
    今年度の研究では主に、同一の老人保健施設を複数回利用した者の、日常生活動作能力の変化と、利用者の家族の家庭介護力を調査した。対象:神奈川県川崎市にある帝京大学老人保健センター(定員156人)において、平成5年4月から8月の間に入所していた利用者(ショートステイを除く92名)とその家族(主たる介護者)を調査対象とした。まず、利用者の家族に自記式のアンケート用紙を渡し、後日施設内で回収した。次に、入所記録より利用者の利用状況を調べた。結果と考察:1)利用者の特徴:利用者は女性が73.1%、平均年齢は81.8(±6.2)歳であった。ADLレベル(Barthel index)の平均得点は入所時/退所時それぞれ、初回(92名)が62.1点(±30.1)/65.0点(±30.8)、2回目(72名)65.4(±31.9)/65.4(±33.1)、3回目(43名)58.3(±33.8)/55.7(±34.9)、4回目(13名)59.0(±29.6)/64.9(±30.1)と、複数回利用者は、退所後にADLが低下した状態で再入所し、入所によって一旦ADLは改善するが、家庭に戻るとまた下がってしまい、全体的には漸減傾向にあった。2)家庭介護力:主要介護者は68.9%が女性で、平均年齢54.8歳(±12.0)、平均世帯人員数3.8人(±1.7)であった。居住環境は65.6%が集合住宅に住み、平均部屋数は4.2部屋(±1.7)であった。SS平均得点は15.8点(±3.5)であった。家計状態は、49.4%が家計に「ゆとりがある」と答え、また48.3%が「家計に満足している」と答えていた。利用者-介護者間の人間関係は93.2%が仲がよいと答え、77.5%が「介護に負担を感じている」と答えていた。今回の調査では、4回以上の複数利用者が少なかったため、介護力との関連性を検討することができなかった。

その他のリンク

researchmap



Copyright © MEDIA FUSION Co.,Ltd. All rights reserved.