研究者総覧

村山 繁雄 (ムラヤマ シゲオ)

  • 神経病理学研究 シニアスタッフ
Last Updated :2024/05/21

研究者情報

学位

  • 医学博士(1999年04月 東京大学)

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J-Global ID

プロフィール

  • 老化に伴う認知・運動機能障害の克服をめざし、臨床・画像・病理連関(動的神経病理)を基盤とした、神経科学研究リソース(ブレインバンク)の構築を、高齢者ブレインバンクプロジェクトとして推進しています。


    大阪大学では日本ブレインバンクネットワーク大阪拠点の構築を推進しています。

研究キーワード

  • 前頭側頭葉変性症   前頭側頭型認知症   筋萎縮性側索硬化症   包括脳ネットワーク・リソース・技術開発委員会   包括脳ネットワーク   統合脳・病態脳   CAG リピ-ト病   中枢神経系の老化   分子病*   ダウン症   脳・神経   遺伝性脊髄小*変性症   画像解析   皮質基底核変性症   認知症   超微形態   脳神経疾患   遺伝性脊髄小脳変性症   DRPLA   老人斑   神経科学   スプライシング   アミロイドβ蛋白   病理   神経病理   ゲノム   進行性核上性麻痺   分子病理   タウオパチー   タウ   パーキンソン病   免疫組織化学   老化   アルツハイマー病   

研究分野

  • ライフサイエンス / 神経科学一般
  • ライフサイエンス / 人体病理学
  • ライフサイエンス / 神経内科学

経歴

  • 2020年04月 - 現在  大阪大学大学院連合小児発達学研究科、子どものこころの分子統御機構研究センターブレインバンク・バイオリソース部門常勤特任教授
  • 2008年 - 現在  (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団
  • 2007年  (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 (財)東京都老人総合研究所・(財)東京都高齢者研究福祉振興財団・東京都老人総合研究所研究部長
  • 2006年  (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 (財)東京都高齢者研究・東京都高齢者研究福祉事業団・福祉振興財団・東京都老人総合研究所惨事研究員・研究部長
  • 2005年  (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 (財)東京都高齢者研究・東京都高齢者研究福祉事業団・福祉振興財団・東京都老人総合研究所参事研究員・研究部長
  • 2004年  (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 財団法人東京都高齢者研究・東京都老人総合研究所・福祉振興財団・老化臨床神経科学研究グループ参事研究員
  • 2003年  (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 (財)東京都高齢者研究・東京都老人総合研究所・福祉振興財団・老化臨床神経科学研究グループ副参事研究員
  • 2002年  (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団・東京都老人総合研究所・老化臨床神経科学研究グループ副参事研究員
  • 1998年  東京大学 医学部附属病院・医学部・附属病院助手
  • 1997年  東京大学 医学部附属病院Faculty of Medicine University Hospital助手
  • 1996年  東京大学 医学部・附属病院助手
  • 1995年  東京大学 医学部(病)・医学部(病)Faculty of Medicine助手
  • 1994年  東京大学 医学部(病)Faculty of Medicine助手
  • 1986年 - 1988年  東京大学 医学部Faculty of Medicine助手

学歴

  •         - 1979年   東京大学   医学部   医学科
  •         -   東京大学   Faculty of Medicine

所属学協会

  • 神経感染症学会   日本病理学会   日本認知症学会   Japanese Association of Neurology   Society for Neuroscience   リハビリテーション学会   Japanese Society of Neuropathology   American Academy of Neurology   American Association for Neuropathologists   日本自律神経学会   日本神経病理学会   日本神経学会   

研究活動情報

論文

MISC

受賞

  • 2008年 Moore Award, the American Association for Neuropathologists
  • 2007年11月 東京都 都知事表彰
     高齢者ブレインバンクプロジェクト 
    受賞者: 村山繁雄及び高齢者ブレインバンクプロジェクトメンバー

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2028年03月 
    代表者 : 村上 善則; 若井 建志; 村山 繁雄; 醍醐 弥太郎; 中村 洋子; 成松 宏人; 栗木 清典; 鈴木 貞夫; 松尾 恵太郎; 喜多 義邦; 三浦 克之; 小山 晃英; 有澤 孝吉; 村田 昌之; 田中 恵太郎; 郡山 千早; 玉腰 暁子; 今田 恒夫; 武林 亨; 鈴木 康司; 齊藤 祐子; 高尾 昌樹; 金田 大太; 美原 盤; 井本 逸勢; 宮城 洋平; 渡邉 俊樹; 安井 寛; 中杤 昌弘; 清水 厚志; 室谷 健太
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2028年03月 
    代表者 : 武川 睦寛; 黒川 顕; 鍋倉 淳一; 村上 善則; 山梨 裕司; 阿形 清和; 井上 純一郎; 中村 卓郎; 高田 昌彦; 清宮 啓之; 根本 知己; 上野 直人; 若井 建志; 村山 繁雄; 醍醐 弥太郎; 加藤 和人
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 村山 繁雄
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 里 直行; 長谷川 成人; 村山 繁雄; 齊藤 祐子; 宮崎 早月; 奥崎 大介
     
    ADの危険因子として先天的なAPOE遺伝子や後天的な糖尿病や加齢が注目されているがその機序は十分に明らかとは言えない。APOE遺伝子は老人斑を増やすなど様々な研究がなされているが、βアミロイドやタウ以外の分子を標的とした次世代型認知症治療薬の開発が必要である。世界においてもADの生物学的な観点からの治療薬の開発が望まれている。そこで我々はADの危険因子として後天的な糖尿病や加齢に特に着目し、糖尿病および加齢による認知症促進メカニズムを明らかにし、それに基づく画期的な認知症の創薬を行う。本研究では糖尿病およびADの合併による寿命の短縮化におけるグリア系細胞の役割、神経原線維変化の進展に対する糖尿病および加齢の影響、βアミロイドに対する生体防御反応の糖尿病および加齢の影響を明らかにする。肥満・糖尿病とADの合併によりはじめて発現増加する遺伝子のうち、4遺伝子につき、遺伝子欠損マウスを作成し、解析を行っている。本年度はそのうち、B-cell translocation gene 2 (BTG2)遺伝子につき慢性脳虚血時におけるグリア細胞系の増殖抑制に関与することを報告した。また、βアミロイドやタウへの影響についても検討を行った。他のDUSP1,Cyr61, LSS遺伝子についても同様の解析をすべく進めている。また米国データベースを用いてAPOE遺伝子型と糖尿病の寿命に対する交互作用、すなわち、糖尿病による寿命短縮はAPOE2や3型では認められるもののAPOE4型では認められないことを報告した。現在、糖尿病に加え、肥満や高血圧についても同様の解析を行っている。また肥満・糖尿病合併ADマウスに関しては18か月齢のマウスの回収を終え、解析を行っている。興味深いことに肥満・糖尿病合併ADマウスではやはり老人斑は縮小することが判明した。現在、単一細胞解析を行い、そのメカニズムを探っている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 篠原 充; 赤津 裕康; 菊地 正隆; 齊藤 祐子; 村山 繁雄
     
    全長型AβやN末端が短いAβ測定のためのELISA、超高感度ELISAを導入、開発するとともに、疾患段階の異なるヒト剖検脳の複数の脳領域について各種Aβの測定を行った。各種神経炎症マーカー測定とともに、タウの蓄積を精度よく捉えるELISAの開発を行い、各疾患段階、各脳領域でのタウの蓄積を測定し、学術誌に報告した(Shinohara et al., J Neuropathol & Exp Neurol 2021)。さらに網羅的遺伝子発現解析を行い、各種Aβやタウに相関する遺伝子、パスウェイを同定した(未発表)。それらの関与を検証する研究を引き続き行っている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年 -2021年 
    代表者 : 井上 純一郎; 今井 浩三; 小原 雄治; 狩野 方伸; 井本 敬二; 山本 正幸; 上野 直人; 鍋倉 淳一; 中村 卓郎; 井上 純一郎; 高田 昌彦; 若井 建志; 村上 善則; 村山 繁雄; 加藤 和人; 田中 英夫
     
    生命科学連携推進協議会(以下、協議会)は4つのプラットフォーム(以下、PF)代表及び幹事らによって総括班を構成(計16名)、支援機能を横断した研究者間の連携、異分野融合や人材育成を一体的に推進し、我が国の学術研究の更なる発展を目的として活動している。 今年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響により、支援説明会、成果シンポジウムの開催を見送らざるを得なかったが、協議会および4PFの支援活動を紹介する動画(5分版、および1分短縮版)を作成し、協議会や学会ホームページ、東大アカウントによるSNS(ツイッター、Facebook)を通じて配信することで広く活動を周知した。また、支援内容紹介サイトを協議会ホームページに開設、各PFの具体的な支援について動画やスライドショー等を利用して紹介するなど、コロナ禍という状況ではあったが、ネット環境を駆使した広報活動に注力した。 外部評価委員会をオンラインで開催、本事業が抱える課題や今後の発展のための方策等について率直な意見交換を行い、4PFで共有した。 アウトリーチ活動としては、「社会との接点活動」班主催の市民公開シンポジウムを開催した。今年度はオンライン開催となったが、看護師、患者の方々に高校生を加え多様な立場、年齢層が参加した。がん研究の現状や未来、患者団体の取り組み等について議論し、お互いの理解を深めるきっかけとなった。 運営面では、中核機関を担う東京大学医科学研究所を中心として、機動性を確保した支援を提供した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年 -2021年 
    代表者 : 村上 善則; 今井 浩三; 若井 建志; 村上 善則; 松尾 恵太郎; 三上 春夫; 鈴木 貞夫; 喜多 義邦; 渡辺 能行; 田中 恵太郎; 嶽崎 俊郎; 栗木 清典; 古庄 憲浩; 有澤 孝吉; 玉腰 暁子; 今田 恒夫; 武林 亨; 三浦 克之; 成松 宏人; 鈴木 康司; 村山 繁雄; 高尾 昌樹; 赤津 裕康; 齊藤 祐子; 矢部 博興; 中杤 昌弘; 清水 厚志; 醍醐 弥太郎; 高橋 隆; 宮城 洋平; 渡邉 俊樹; 安井 寛; 田中 英夫; 内藤 真理子; 大中 佳三; 森 満; 川崎 良
     
    ①総括支援活動 : 若手支援研究成果発表会をオンラインで開催した(2021/2/9)。コホート・生体試料支援プラットフォーム(以下、CoBiA)の各支援機能の説明と教育講演に続き、31名の若手研究者がCoBiAの支援を受けて行った研究成果の発表と情報交換を行った。また、東北メディカル・メガバンク等国内4ゲノムコホート等と、日本多施設共同コーホート(J-MICC)研究の間で、共同研究の実施を合意するなど、わが国のゲノムコホート間の連携が進んだ。また日本疫学会のホームページでの告知、関連分野の科研費取得者へのダイレクトメールなど、研究支援の周知を図った。 ②コホートによるバイオリソース支援活動 : 今年度は291件の研究支援を実施した。またコホート(J-MICC)研究の追跡調査データ(死亡及びがん罹患。遺伝情報利用も含む)を用いた研究の解析テーマ募集を開始した。J-MICC研究において、新たにがん罹患追跡データを基盤として整備し、研究支援に供した。 ③ブレインリソースの整備と活用支援 : 大阪大学に本邦初のブレインバンク部門を創設し、大阪刀根山医療センター、宇多野病院、大阪府立母子医療センター、連合小児自閉症ゲノム・不死化細胞トリオ、法医学自殺レジストリを統合し、筋萎縮性側索硬化症エピゲノム研究等に貢献した。 ④生体試料による支援活動 : 298課題に生体機能分子の高感度解析・技術支援と共同研究ネットワーク構築支援を実施した。142課題にがん関連試料・情報(組織、血液)を提供した。7,774試料(血清、リンパ球、凍結組織、パラフィン包埋組織、DNA等)を収集し、3,581試料を提供した。ヒト試料解析研究の申請支援と病理形態学的解析支援を実施した。解析支援・連携構築支援・試料収集及び提供支援体制を強化した。学会・研究会及び公開講座を通じたヒト生体試料の活用研究の普及・啓発講演を実施した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 里 直行; 津田 玲生; 村山 繁雄; 櫻井 孝; 宮崎 早月
     
    糖尿病がアルツハイマー病(AD)の危険因子である機序を調べるため、肥満・糖尿病合併ADモデルマウス脳の遺伝子発現を調べたところ、肥満・糖尿病合併ADモデルマウスに特有の遺伝子発現変化を認めた。さらにADの原因と考えられているβアミロイドは肥満・糖尿病マウスにおいて寿命を短くすることを見出し、そのメカニズムとしてミクログリアおよびアストロサイトの変容が認められた。またヒト臨床データを解析することにより、糖尿病による認知機能低下がAPOE遺伝子多型に依存すること、すなわち、APOE4の人よりAPOE2やAPOE3の人のほうが糖尿病による認知機能の低下が顕著であることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 齊藤 祐子; 村山 繁雄
     
    病理学的な後方視的検討およびそれを参考にタウPET(THK5351)撮像例の画像・剖検病理連関を行った。 後方視的には、PSP, CBD共に基底核が関心領域としては適当と考えた。本PET撮像例では、臨床は前頭側頭型認知症、剖検診断がCBDであった例、臨床、病理診断ともにPSPであった2例で連関の検討が可能であった。本PETの集積が強い部位は、タウの沈着、変性共に強かった。研究期間中、本タウPETはMAO-Bに結合することが明らかとなったが、変性部位が特異的な疾患もあり、その観点から本PETの活路もあると考えた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 里 直行; 田中 稔久; 村山 繁雄; 宮崎 早月; 内尾 こずえ; 上田 裕紀; 池内 健; 竹屋 泰; 竹屋 美幸; 向園 昌弘
     
    糖尿病はアルツハイマー病の促進因子であることが知られている。またアルツハイマー病の原因物質としてβアミロイドが考えられている。本研究により、βアミロイドに対する生体反応が分子レベルで明らかとなり、さらにこのβアミロイドに対する生体反応が糖尿病により破綻することが明らかとなった。これらの結果は認知症に対する治療薬の開発に繋がると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年04月 -2016年03月 
    代表者 : 木村 實; 丹治 順; 高田 昌彦; 中村 克樹; 大塚 稔久; 青木 茂樹; 高尾 英正; 下地 啓五; 後藤 政実; 吉浦 敬; 中田 安浩; 阿部 修; 増本 智彦; 徳丸 阿耶; 松村 明; 桐野 衛二; 寺田 一志; 佐藤 典子; 笠井 清登; 橋本 亮太; 丹羽 真一; 加藤 忠史; 鈴木 道雄; 入谷 修司; 根本 清貴; 富田 博秋; 村山 繁雄; 赤津 裕康; 高尾 昌樹; 齊藤 祐子; 尾藤 晴彦; 吉村 由美子; 松崎 政紀; 古田 寿昭; 岡戸 晴生; 斎藤 泉; 貝淵 弘三; 長谷川 成人; 饗場 篤; 椎名 伸之; 五十嵐 道弘; 西岡 朋生; 渡辺 雅彦; 小池 正人; 阪上 洋行; 重本 隆一; 深澤 有吾; 﨑村 建司; 森 寿; 三品 昌美; 小林 和人; 柳川 右千夫; 上村 匡; 石原 健; 能瀬 聡直; 飯野 雄一; 宮川 剛; 高雄 啓三; 虫明 元; 片山 統裕; 田中 徹; 井上 和秀; 岡部 繁男; 狩野 方伸; 藤山 文乃; 伊佐 正; 影山 龍一郎; 藤田 一郎; 吉田 明; 西川 徹; 貫名 信行; 深井 朋樹; 岩坪 威; 山森 哲雄; 岡澤 均; 田中 啓治; 柿木 隆介; 津田 一郎; 北澤 茂; 銅谷 賢治; 高橋 良輔; 池中 一裕; 祖父江 元; 長谷川 寿一; 太田 順; 齊藤 実; 門松 健治; 喜田 聡; 真鍋 俊也; 富田 泰輔; 岩田 淳; 村上 郁也; 筒井 健一郎; 花川 隆; 平井 宏和; 美馬 達哉; 礒村 宜和; 鮫島 和行; 星 英司; 宮田 麻理子; 柚崎 通介; 田中 真樹; 深田 正紀; 鈴木 匡子; 久場 博司; 桝 正幸; 木下 専; 杉原 泉; 白根 道子; 山本 亘彦; 西条 寿夫; 南部 篤; 内匠 透; 山下 俊英; 桜井 武; 玉巻 伸章; 畠 義郎; 原田 彰宏; 尾崎 紀夫; 坂井 克之; 久保 義弘; 中澤 敬信; 田中 謙二; 武井 延之; 等 誠司; 加藤 隆弘; 加藤 総夫; 白尾 智明; 泰羅 雅登; 岡野 栄之; 関野 祐子; 岡本 泰昌; 小松 英彦; 宮田 卓樹; 高橋 淑子; 西田 眞也; 富永 真琴; 寺田 一志
     
    科学研究費助成事業によって推進される個別研究者と、脳の遺伝子、分子、回路、システムから行動、病態、計算理論などの分野の「新学術領域研究」に所属する研究者からの要望に応えて、最先端の研究リソース・技術を提供した。また、異分野の研究者が共同で実施する研究を積極的に支援し、異分野交流ワークショップの開催、若手研究者育成支援を行った。これにより、研究分野を融合する独創的な成果を多数挙げることに貢献した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 村山 繁雄; 齊藤 祐子
     
    本研究の目的は、高齢者連続剖検例の全身網羅的検討で、Lewy小体病理陽性症例を抽出し、異常蛋白進展仮説を検証することである。嗅覚系に関して、嗅粘膜上皮にレビー小体病理が出現することをはじめて示し、中枢へのエントリーゾーンであることを支持するデータを得た。またレビー小体病理の発現において、嗅球・扁桃核系と、末梢自立神経・脊髄・脳幹系は独立していることを示した。さらに、交感神経節前線維において、レビー小体病理は末端より中枢に進展することを明らかにした。さらに一次知覚ニューロンについてもレビー小体病理が出現することを明らかにし、この場合も末梢より中枢に病変が進展することを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2014年03月 
    代表者 : 里 直行; 内尾 こずえ; 上田 裕紀; 村山 繁雄; 林真 一郎; 林 真一郎
     
    我々はこれまで糖尿病合併アルツハイマー病モデルマウスを作製し糖尿病とアルツハイマー病の相互的病態修飾作用を報告してきた。アルツハイマー病モデルマウスとされるAPPトランスジェニックマウスでは神経原線維変化の本態とされるタウのリン酸化は促進されないが糖尿病が加わることによりタウが強くリン酸化されることを見出した。この結果をもとに我々は「生体はβアミロイドの蓄積に対して恒常性維持機構あるいは生体防御反応を有しているが、加齢と糖尿病が加わることによりその破綻が始まる」という仮説を提唱した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 齊藤 祐子; 村山 繁雄
     
    進行性核上性麻痺(PSP)は、古典的Richardson症候群、パーキンソン病(PD)類似PSP-P群、純粋無動を呈するPSP-PAGF群に大分類される。しかし、我々の提唱する小脳症状群、認知症群に言及はない。本研究では、自験PSP約80剖検例に新規予定20例を加え、臨床症状の後方視的検討、RD4抗体免疫染色、神経画像所見により、本邦におけるPSPの臨床病理学的概念の再構築を試みる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 柳澤 勝彦; 加藤 晃一; 村山 繁雄; 松原 輝彦; 山本 直樹
     
    脳内の領域特異的なアミロイドベータ蛋白質(Ass)蓄積は当該領域の神経細胞膜を形成する脂質分子の構成に依存することが、剖検脳より調製した神経細胞膜の再構成実験により示された。一方、神経細胞膜上にあってAss重合を誘導するガングリオシドとAssとの分子レベルでの相互作用について、ガングリオシドを組み込んだ小型の人工的脂質膜での蛋白質と糖脂質の結合特異性に関する体系的なNMR計測が実施可能であることが実証された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 村山 繁雄; 齊藤 祐子; 石井 賢二; 初田 弘幸
     
    レビー小体型認知症(DLB)、パーキンソン病(PD)の認知症の責任病巣として、特異な線条体へのアミロイドβ沈着が原因と、ペンシルベニア大学、ロンドン大学からの報告で示されたことを受け、高齢者ブレインバンクプロジェクトで、PIB PETとドーパミンPETによる臨床例における線条体の検討と、死後脳におけるアミロイドβ蛋白とリン酸化αシヌクレイン沈着を免疫組織学的に線条体で検討する二つの方法で行った。 DLB、認知症を伴うPD(PDD)51例と、認知症を伴わないPD(PDNC)48例の神経病理学的差分の検討で、辺縁系(扁桃核、嗅内野、CA2)、線条体、新皮質のαシヌクレイン沈着が抽出された。老人班に関しては、新皮質については抽出されたが、線条体は抽出されなかった。また、新皮質のAβ沈着はαシヌクレイン沈着を誘導する傾向が確認されたが、線条体沈着への促進作用は確認されなかった。なおこの研究期間3年間の新規蓄積例は13例であった。 またこの検討過程で、αシヌクレイン沈着のみが有意で、アミロイドβ沈着、タウ沈着が軽度であり、認知症を呈するいわゆる純粋型レビー小体型認知症が23例検出され、辺縁方20例、新皮質型3例であった。これらの症例は、線条体のAβ沈着はないかほとんどなく、責任病理としての意味は少ないと考えられた。 DLB/PDDとPD 3例ずつの差分で、DAT Scan(^<11>C-CFT PET)で、尾状核の集積低下が検出された。しかし、^<11>C-PIBでは新皮質はDLBの一例のみ陽性所見が検出されたが、尾状核を含め、線条体は全例で検出されなかった。研究期間中PDD一例の剖検所見が得られたが、辺縁型に分類され、新皮質にごくわずかびまん性老人班を認めるのみであり、線条体にはAβ沈着は認められなかった。 以上の検討より、新皮質のアミロイドβ沈着は、レビー小体病理の新皮質への進展を促進することで、レビー小体型認知症の認知機能低下に影響を与えうるが、線条体における存在が、積極的に認知機能に影響を与えている結論は得られなかった。 ただし、DLB/PDDにおける尾状核のDAT scan低下は、PDDに関しては病気の進行期であるためとの説明が可能であるが、DLBの場合の原因は、課題として残った。
  • Prospective and Retrospective Studies of Mild Cognitive Impairment
    Health and Labour Sciences Research Grants
    研究期間 : 2002年 -2010年
  • 日本学術振興会:ゲノム科学研究
    研究期間 : 1999年 -2010年 
    代表者 : 村山 繁雄; 齊藤 祐子
     
    アミロイドβ蛋白の蓄積を前提としない、タウオパチーである、嗜銀顆粒性疾患、神経原線維変化優位型認知症、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、Pick病について、病因を追求する
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 等 誠司; 伊佐 正; 村山 繁雄
     
    脳室下層や海馬における神経幹/前駆細胞から産生される細胞と気分・情動との連関の有無を検討するとともに、細胞新生を調節することによって気分や情動を制御することが可能かどうかを検証することを目的として本研究を行った。その結果、(1)慢性ストレス下の成体マウスの脳では神経幹細胞数が減少し、抗うつ薬の投与によって回復すること、(2)気分安定薬が神経幹細胞においてを活性化し、自己複製能を高めることを明らかにし、(3)テトラサイクリン誘導システムを用いて神経幹細胞の数を制御できるシステムを開発した。これらの成果は、精神神経疾患の病態解明や治療法開発に寄与できると考えられる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2009年 
    代表者 : 辻 省次; 小野寺 理; 村山 繁雄; 後藤 順; 高橋 祐二; 後藤 順; 高橋 祐二; 百瀬 義雄
     
    本研究は,大規模ゲノム解析に基づき,遺伝性及び孤発性神疾患の病因遺伝子及び病態機序の解明を進め,疾患の予防や治療に向けて結び付けていくことを目的とした.単一遺伝子疾患から多因子疾患まで幅広く研究対象として研究を進めた.単一遺伝子疾患家系,多発家系に対して,DNA microarrayを用いたハイスループット連鎖解析システムを構築し多くの疾患の研究に応用した.単一遺伝子疾患については, cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy (CARASIL)の病因遺伝子の同定を達成した.多因子疾患については,パーキンソン病について,オッズ比の非常に高い疾患感受性遺伝子を同定し,common disease-multiple rare variants仮説へのパラダイムシフトの重要性を提唱した.
  • 軽度認知障害の前方視的・後方視的研究
    特殊法人等における新たな基礎研究推進制度
    研究期間 : 2002年 -2009年 
    高齢者ブレインバンクを用いた、軽度認知障害の後方視的神経病理学的研究成果を、もの忘れ外来軽度認知障害の症例臨床縦断研究に応用することで、認知症進展を防ぐ
  • Senile tauopathy as a form of aging process involving the human central nervous system
    Grant-in-Aid for Scientific Research
    研究期間 : 2000年 -2009年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 本間 尚子; 田久保 海誉; 新井 富生; 沢辺 元司; 村山 繁雄; 村松 正明; 原田 信広; 新井 富生; 沢辺 元司; 村山 繁雄; 村松 正明; 原田 信広
     
    高齢者剖検例についてestrogen receptor (ER)-βの代表的な遺伝子多型の一つであるESR2 CA repeat多型を調べ、生前臨床情報および剖検時病理所見を比較し、各種老年病罹患頻度との関係を調べた。女性における大腸癌発症頻度の、ESR2 CA repeat遺伝子多型による差が顕著だったが(P< 0.0001)、男性ではそのような差は認められず、女性の大腸癌発症におけるESR2 CA repeat遺伝子多型およびエストロゲンの重要性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 葛原 茂樹; 小久保 康昌; 佐々木 良元; 桑野 良三; 冨山 弘幸; 服部 信孝; 辻 省次; 原 賢寿; 村山 繁雄; 齊藤 裕子; 長谷川 成人; 岩坪 威; 森本 悟; 赤塚 尚美; 伊藤 伸朗
     
    紀伊半島の一部集落に多発する神経風土病の筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン認知症複合(ALS/PDC)類似疾患で知られているほぼ全ての原因遺伝子を調べ、異常変異は認められなかった。病態と発症に関して、脳のアルツハイマー神経原線維変化の分布様式はALSとPDCでほぼ同じであった。脳と脊髄にはTDP-43の蓄積が認められ、生化学的にはタウ/TDP-43異常蓄積症と考えられた。尿中の酸化ストレスマーカーが有意に上昇しており、神経変性に参加ストレスの関与が推定された。タウとTDP-43の蓄積を起こして神経変性が進行する仕組みと、遺伝子の関与の解明が今後の課題である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 村山 繁雄; 齊藤 祐子
     
    高齢者の変性型老化性変化の重複沈着の機構を明らかにする目的で、東京都老人医療センター連続開頭剖検例から文書同意を得た、高齢者ブレインバンク(BBAR)登録例に網羅的に、H.E.、KB.染色を通常とし、Gallyas-Braak・Methenamine鍍銀染色に、抗アミロイドβ蛋白(Aβ)(11-24)、リン酸化タウ(AT8)、リン酸化αシヌクレイン(psyn#64)、ユビキチン抗体で免疫染色を行う、BBARプロトコール(www.mci.gr.jp/BrainBank/)に基づき検討した。DNAが保存された1,628例中、老人班(SP)ステージ0-C、神経原線維変化(NFT)ステージI-VIに分類したところ、分散傾向が見られたが、NFT新皮質ステージには、Braak Stage Cが6例の例外を除き要求されることで、アミロイド仮説は新皮質では成立することが明らかとなった。一方、レビー小体型認知症(DLB)コンセンサスガイドライン(1996)に従ったレビースコアと、認知症・パーキンソン症状の有無で分類した、BBARステージ分類I-Vで同一集団を解析したところ、レビースコア新皮質ステージとSPステージCが相関することが明らかとなった。我々が提唱している嗜銀顆粒ステージ分類では、SP、NFTとも相関はみられなかった。一方、末梢自律神経系へのレビー小体病理の進展には、SP Stage C、NFT Stage IV以上が有意の負の相関をとることが明らかとなった。さらに、嗅球のレビー小体病理には、NFT Stageが有意ではないが正の影響を当てることが明らかとなった。以上の点より、新皮質では、タウ、シヌクレインの沈着はAβに影響を受け、辺縁系ではタウとシヌクレインが相互に影響し合い、シヌクレインの末梢への沈着は、アルツハイマー変化が抑制することが明らかとなった。
  • 高齢者アルファシヌクレイノパチーの統合的研究
    厚生労働科学研究費補助金
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    高齢者ブレインバンクとパーキンソン病リゾースネットワークを活用し、レヴィー小体病と多系統萎縮症の病態・病理・病因を、全身疾患としての観点より追求する
  • 高齢者中枢神経系翻訳後異常修飾蛋白重複蓄積に対する総合的研究
    科学研究費補助金
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    高齢者中枢神経系翻訳後異常修飾蛋白の重複蓄積について、高齢者ブレインバンクを用い、相互関係の臨床・病理・病因を追求する
  • Experimental and clinical study of alpha-synucleinopathy
    Grant-in-Aid for Scientific Research
    研究期間 : 2005年 -2007年
  • 高齢者TDP43プロテイノパチーの臨床分子神経病理学的研究
    経常研究
    研究期間 : 2007年 
    高齢者ブレインバンク症例を抗TDP43抗体免疫組織化学的・免疫化学的に網羅的に検索することで、TDP43蓄積の本態を解明する
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2004年 
    代表者 : 村山 繁雄; 齋藤 祐子; 沢辺 元司
     
    【背景】欧米におけるブレインバンクと同等の機能を果たすシステムを、「篤志によるものは公的ドメインに属し、公共の福祉に貢献する研究に提供する」という哲学を共有し、死体解剖保存法、剖検承諾書に基づき、共同研究のかたちで構築を試みた。【方法】1.脳組織リゾース:1972年5月よりの開頭連続剖検例の、臨床情報、肉眼所見、神経病理学的診断をデータベース化、パラフィンブロックとガラス標本を索引可能なかたちに整備。2.DNAリゾース:1995年1月より文書同意のもとDNA保存開始、apoE genotypingで品質管理。病理所見は、抗Aβ、リン酸化タウ、リン酸化αシヌクレイン、ユビキチン、apoE4抗体で、Ventana NX20自動免疫染色装置を用い評価。老化性変化(神経原線維変化、老人斑、レヴィー小体、アミロイド血管症、嗜銀顆粒、ユビキチン免疫反応性顆粒)、運動(BADL)・知的機能(CDR)を半定量化。3.凍結半脳リゾース:2001年7月より開頭剖検全例に神経病理専門医が対応。原則として右半球を7mm厚でスライス、粉末ドライアイスで迅速凍結、超低温槽に保存。対側半脳は20%中性緩衝フォルマリンに7-13日固定後、代表部位をパラフィン包埋。4.運用:都老人医療センター、老人総合研究所、共同研究先の倫理委員会の承認、共同研究者を老人総合研究所協力研究員として委嘱【結果】1.脳組織リゾース:現在まで6,705例を整備。パーキンソン病サブリゾースを構築中。2.DNAリゾース:1,523例を整備。SNP解析と臨床病理所見の関連を解析中。3.凍結半脳リゾース:421例整備。Microarray、Real time PCRによるmessenger RNA発現解析、蛋白化学、プロテオーム解析中。【考察】神経科学研究インフラストラクチャーとして、現在26施設と共同研究中。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 山崎 峰雄; 村山 繁雄
     
    高齢者において進行性核上性麻痺(PSP)病変が早期から進行期にいたるまで連続的に出現する可能性、すなわち、老年性変化の一つとしてPSP病変が存在する可能性を示したが、本年度は昨年度までに抽出した、病理学的にPSPと診断した症例について後方視的検討を加えた.すなわち、PSPはパーキンソニズムや痴呆を呈する神経変性疾患として知られるが、高齢者では非定型的な表現型をとることも多く、臨床病型の多様性が示唆されてきた.この詳細を明らかにするために、NINDS神経病理診断基準を満たすPSP51例について、その臨床診断、パーキンソニズム・痴呆の有無、死亡年齢、脳重などを比較した.51例のうち、パーキンソニズムの有無に注目して分類すると、パーキンソニズム(-)群は20例あり、さらに痴呆の有無でパーキンソニズム(-)痴呆(-)群6例、パーキンソニズム(-)痴呆(+)群14例に分けられた.死亡年齢はパーキンソニズム(-)痴呆(-)群:90.5±9.8歳、パーキンソニズム(-)痴呆(+)群:85.5±7.5歳といずれもパーキンソニズム(+)群に比し有意に高齢であったが、脳重には有意差を認めなかった.パーキンソニズム(+)群は31例あり、痴呆が明らかでない10例と、痴呆も伴う典型的なPSP21例から成っていた.また、生前神経内科医の診察で小脳性運動失調症状を認め、脊髄小脳変性症と鑑別上問題となった症例が2例認められた.この2例の病理学的所見はとくに他のPSPと比して異なるものではなく、臨床的多様性の責任病巣は明らかではなかった.高齢発症のPSPには、パーキンソニズムが前景に立たない非定型例、特に痴呆のみ呈するサブグループが存在することが明らかとなった.
  • 日本学術振興会:科学研究費補助金
    研究期間 : 2003年 -2003年 
    代表者 : 村山 繁雄; 沢辺 元司; 齊藤 祐子
     
    東京都老人医療センター連続剖検例を国際診断基準で診断、死後脳共同研究に用いる
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 村山 繁雄; 愛敬 直雄
     
    痴呆予備群として最近注目を集めている、軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)は、アルツハイマー病(AD)の極早期とほぼ同じ意味に使われているが、当施設高齢者痴呆疾患連続剖検例では、AD以外に、神経原線維変化優位型痴呆、嗜銀顆粒性痴呆からなる、高齢者タウオパチーの占める頻度が高い。MCIのレベルでも同様であることを予測し、この二疾患群に焦点をおいて検討した。 後方視的検討として、我々が構築中の、東京都高齢者ブレインバンクに1995年から蓄積された多数連続剖検例を対象とし、軽度認知障害該当症例を、病歴より後方視的に検討することで抽出した。およそ10%がMCIとして分離され、その17%がAD予備群と考えられたが、高齢者タウオパチー群が同頻度存在した。 この結果をもとに、以下のクリティカルパスを作成した。初診時、本人及び介護者より物忘れの存在を確認、CT scanを緊急で撮像し硬膜下血腫を除外、MMSEで24点以上の症例を抽出。続いてMRI (volumetric scan)で海馬を含む脳萎縮の評価、SPECT(統計処理画像が必須)で局所性血流低下の検出、脳波による徐波の検出、リバーミィード行動記憶検査(RBMT)カットオフを標準プロファイル値1.5SD以下として15点以下の症例を抽出した。 以上でMCIの診断基準を満たす症例に文書同意の上、前方視的研究として、髄液バイオマーカー測定(タウ、リン酸化タウ、アミロイドベータ蛋白)、PET(オプション、糖代謝並びにドーパミン結合能及び合成脳)、ウェクスラー改訂メモリースケール(WMS-R、できるかぎり行う)、WAIS-R(オプション)を施行、AD、高齢者タウオパチーが疑われる例に、中枢性コリンエステラーゼ阻害剤による治療的介入を試みた。まだエントリー症例は少ないが、ともに介入は有効である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1997年 -1998年 
    代表者 : 村山 繁雄; 氷室 公秀
     
    1.in situ hybridization 本年度は、胎児及び新生児ratにMJD-1 radioactive cRNA probeを用い、in situ hybridizationを適用する際凍結切片を用いたが、有効なシグナルが得られなかった。 2.Genotype-phenotype correlation Machado-Joseph病(MJD)症例の病理学的所見とCAG repeatの長さとの関係について、本年は新たに2剖検例を加え、8例につき検討した。症例番号、死亡時年齢・性、MJD1遺伝子の正常及び異常alleleのCAG repeat数は、以下の通り:#1、77歳男、23/64;#2、78歳女、21/69;#3、44歳男、25/75;#4、62歳女、14/76;#5、46歳男、29/77;#6、49歳男、14/77;#7、44歳男、23/79;#8、32歳男、19/79。これらの症例に対し、免疫組織学的に抗ubiquitin抗体で全切片を染色し、核内封入体の有無を検討した。また、抗α-B-crystallin抗体で陽性に認識されるオリゴデンドログリアの密度を、視床下核で、コンピューター画像解析装置を用いて検討した。核内封入体は橋核に限局して極少量出現し、CAG repeat数との相関は認められなかった。また、抗α-B-crystallin抗体陽性オリゴデンドログリアの密度は、視床下核で明らかに増加が認められ、年齢で除した場合、CAG repeat数と相関傾向を認めた。これは、Huntington病の尾状核の神経細胞減少と同様の傾向であり、MJD病の本質の可能性がある。今後さらに、淡蒼球内節・橋底部尾側等の変性必発部位に対し、検討を加えていく予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 後藤 順; 村山 繁雄; 橋田 秀司
     
    オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガ-症候群は小脳性運動失調、パーキンソン症候群、自立神経障害を呈し、臨床的に互いにオーバーラプップする原因不明の進行性の神経変性疾患で、多系統変性(萎縮)症(MSA)と総称される。MSAの病因ないし病態解明のため、MSA剖検脳と正常脳とでの遺伝子発現を比較し、発現に差のみられる遺伝子を同定した。MBPやGFAPなどの既知遺伝子以外に新奇な遺伝子クローン1248の発現に差のあることを見いだした。1248の発現はGFAPなどとともにMSA脳においてその発現が増加している。1248遺伝子の全容を明らかにする目的で、本研究を進め、これまでに以下の点を明らかにした。(1)1248クローンを出発点としてヒト小脳由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし、計12.6kbにおよぶcDNAクローンのコンティーグを得た。塩基配列の解析の結果、8607bpのORFが同定され、タンパク産物の分子量は304kDと推定される。アミノ酸配列は親水性で、Ca結合タンパク、核移行シグナルおよびDNAポリメラーゼIIのC末端の反復配列との相同性が弱いながら認められた。(2)Mapping panelおよびFISH法により、3番染色体長腕先端部に染色体座位を決定した。(3)1248の転写産物はノーザンブロット解析より約14kbと推定される。また肝臓、腎臓などの脳以外の臓器での発現認めず、脳に特異的に発現している。脳内での発現分布などより詳細な発現に関する知見を得るため、in situ hybridization法などよる発現の解析を検討中である。(4)MSAの病態との対比から、遺伝性脊髄小脳変性症に関して、MJD1遺伝子の発現分布の解析(Nishiyame et al.1996)、トリプレットリピートの体細胞モザイシズムの検討(Hashida et al.,in press)を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 後藤 順; 村山 繁雄
     
    これまでに本邦の家族性筋萎縮性側索硬化症(以下FALS)8家系を収集し、発症者についてゲノムDNAの抽出およびEBウイルスによるリンパ芽球細胞株化おこなってきた。可能な症例については、赤血球スパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の測定をおこなっている。FALSの原因遺伝子のひとつであるSOD1遺伝子は5つのエクソンよりなる。この5つのエクソンについてそれぞれPCR法により増幅し、制限酵素解析、SSCP法およびシークエンシングにより、突然変異の有無を検索している。これまでに以下のことを明らかにした。 すでに報告した家系(Hum.Mol.Genet.3:2061-2062.1994)を含め2家系にSOD1遺伝子の突然変異を同定した。上記報告家系の突然変異は第5エクソンの2塩基の欠失によりフレームシフトを伴うものである。赤血球SOD1活性について検討したとこころ正常が1827.1±281.5(SD)U/mg prot.に対して、本家系患者では338.7U/mg prot.(対照の18.4%)と著明な低下を確認した。第2の家系の突然変異はミスセンス変異で、第5エクソンの点突然変異で149番目のイソロイシン(Ile)がスレオニン(Thr)に置換される。このI149T変異はすでに欧米例にて1例のみ報告されているが、本邦では報告されていない。 本家系については新たな発症者が認められ、現在検索を進めている。 筋萎縮性性側索硬化症(ALS)の実験モデルのひとつと考えられるβ,β'-iminodipropionitrile(IDPN)慢性中毒ラットについて、SOD1の発現を組織学的に免疫組織化学およびインサイチュウハイブリダイゼーションについて検討し、免疫組織化学的に運動ニューロンの膨潤した軸索内でSOD1タンパクが増加していることを証明した。同時にこの増加は神経細胞体での転写の亢進によるものとは考えにくいことを確認した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 村山 繁雄; 後藤 順
     
    遺伝性脊髄小脳変性症の発症メカニズムを調べる目的で、遺伝子が解明されている三種(Machado-Joseph病[MJD]、歯状核・赤核・淡蒼球・ルイ体萎縮症[DRPLA]、SCA1)につき、ホルマリン固定パラフィン包埋6μm厚連続切片を用いて、通常の病理所見と、c-RNA probeを用いたin situ hybridizationを対比させることにより、異常なmessenngerの発現が細胞変性にどの様に対応しているかを検討した(研究発表雑誌論文参照)。 MJDについては、MJD-1よりsubcloningされた、c-RNA clone pMJD1-1をtemplateとし、またDRPLAについては、triplet repeatを含まない400base pairのc-DNAをsubcloningし、S^<32>標識c-RNA probeを作成し、in situ hybridizationを行った。対象としては、ラット、正常ヒトコントロール、並びにMJD geneのCAG expansion のsizeがそれぞれ、62,72,74,82のMJD4例、DRPLA geneのCAG expansionのsizeがそれぞれ59,60,61,62の4例を用いた。遺伝子は、ヒト、Ratとも、中枢神経系を含めて全身に発現していることが確認された。MJDの病理所見との対応では、最も関心のあった、淡蒼球内節・ルイ体の変性における、神経細胞とoligodendrogliaとの関係については、神経細胞の発現に比べ、oligodendrogliaの発現は非常に低く、またMJD病変の強さとも相関せず、正常コントロールとの間にも差異を見出すことができなかった。また、DRPLAにおいては、最も関心のあった、大脳皮質神経細胞と、白質のoligodendrogliaについては、DRPLA白質変性群と非変性群間でも、さらに正常コントロールとの間にも差異を見出すことはできなかった。これらの所見は、Huntington病での観察に一致し、遺伝子産物と協同的に働く第三の因子が、病変部位に特異的に発現している可能性を示唆すると考えられた(投稿中)。 なお、SCALについては今回の検討では有意のsignalを得ることができなかったので、probeを変えて、再度検討する予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 村山 繁雄; 金澤 一郎; 後藤 順
     
    目的:歯状核・赤核・淡蒼球萎縮症(以下DRPLA)遺伝子の異常と、中枢神経系の構成細胞の各々の病理形態学的所見との対応について検討した。対象:遺伝子的に診断が確認され、半脳を神経病理学的に、半脳を遺伝子学的に精査しうる、DRPLA三剖検脳を対象とした。方法:DRPLA遺伝子のreading frame中に存在するCAG repeatの長さが、形態病理所見にどの様に関与しているかについて、検討した。小脳、小脳皮質、小脳核、大脳皮質、大脳白質について、CAG repeat数を決定し、ついで、それぞれの部位における構成細胞の病理を、特異的細胞表面マーカーを用いて検討した。結果:CAG repeatの数は、小脳皮質で短く、小脳白質はそれに比べて長いこと。大脳皮質は小脳皮質に比べては長く、小脳白質と同程度であり、大脳白質ではさらに長いこと、小脳核は、大脳皮質と大きな差はないが、一例短かい症例が存在することが判明した。また、大脳白質のCAG repaetの数は、罹病期間が長い程、皮質とのrepeat数の開きが大きくなる傾向があることがわかった。病理との対応では、罹病期間が長いほど、大脳白質変性が強いこと、白質変性の性質としては、組織反応が全くなく、血管にも変化がなく、オリゴデンドログリアの髄鞘形成不全と考えた方がよいような変化であった。また小脳核のCAG repeatの短い一例は、小脳核に肥満性アストログリアの増加を伴っており、本来のDRPLA病変以外の変化が加わっていた。考察:まだ不充分な結果であるが、DRPLAの病変と異なる反応においてはCAG repeat数は増えないこと、逆にDRPLAと関連する変化ではCAG repeat数が増加し、それが特異な病理像につながる可能性が示された。今後、神経細胞、アストログリア、オリゴデンドログリアにおけるrepeat数と、それぞれの細胞のそれぞれの部位における病理所見を対応させていくことが必要であり、方法論を検討中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1987年 -1989年 
    代表者 : 村山 繁雄; 朝長 正徳
     
    目的:Pick病の神経細胞に出現する重要な変化として注目されている二つの変化, Pick嗜銀球(Pick body以下PB)と腫脹神経細胞(Swollen chromatolytic neuron以下SCN)の関係を, 免疫組織化学的, 並びに超微形態的方法を用いて追求した. 対象:病理学的にPick病の診断のついた13例の脳組織が本研究の対象である. PBとSCNを伴う群が9例, 伴わない群が4例である. 方法:肉眼的萎縮を示した皮質の各部位並びに海馬を含むホルマリン固定パラフイン包埋標本より6um厚切片を作成し, ABC法による酵素抗体免疫染色を施した. 抗体は, 抗phosphorylated tau抗体(以下抗p-tau,Ihara et al 1986), 抗ubiquitin抗体(polyclonal,Haas et al 1985,and monoclonal,Mori et al 1987)を用いた. またホルマリン固定材料を急速凍結し, クリオスタットで6um厚の切片を作成し, 酵素抗体間接法で染色後, osmium後固定, 脱水epon包埋の上, 超薄切片を作成し電顕的に観察した. また海馬及び新皮質のいくつかの部位について通常の電顕的観察を行った. 結果:PBは抗p-tauにより100%認識された. PBだけでなく周辺のneuropilも細かく染色された. またSCNの胞体内の嗜銀性の部分が認識された. 抗ubiquitinでもPBは染色されたが, 陽性に染色されるPBの比率は部位によりまた症例によりかなりの差が存在し, PBを含まない神経細胞の胞体, 樹状突起, 核がしばしばびまん性に染色された. SCNは胞体がびまん性に染色された. 免疫電顕では抗p-tauによる免疫反応はPB内の線維構造に限局していた. 免疫電顕上PB類似の構造が周辺のneuropilに認められた. 超微形態上, PB類似の構造が樹状突起やSCN内に認められた. 結論:1.Pick病の病的過程は神経細胞体のみならず, 樹状突起にも特異的に及んでいる. 2.PBとSCNには免疫組織化学的にも超微形態上も移行が存在し, 同じ細胞病理学的過程の異なった段階を示していると考えられる.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1987年 -1989年 
    代表者 : 池田 和彦; 朝長 正徳; 中野 今治; 村山 繁雄; 池田 和彦
     
    本研究の目的は老人脳に沈着し、その出現と痴呆とが密接な関係があるところの、アルツハイマ-原線維変化および老人斑の本体と出現機序、さらにそれによる脳の代謝破掟へのプロセスを超微形態、免疫組織化学、生化学的手法および培養神経細胞を用いて解明することにある。 三年間の研究により得られた知見は以下のとうりである。 (1)アルツハイマ-原線維変化を構成するPHFは電顕的に必ずしもtwistしたものだけではなく、straightの15nm線維との混在・移行がみられ、またneurofilamentとの関連もあり、その構造はかなり複雑で、既存の線維蛋白以外の新しい蛋白質の関与の可能性が示唆された。 (2)ベ-タ蛋白の合成ペプチド抗体はAD脳の血管および老人斑のアミロイドに反応したが、PHFには反応しなかった。 (3)アルツハイマ-原線維変化は中枢神経系だけでなく、末梢神経系に属する交感神経節細胞にも存在することをはじめて見出した。 (4)アルツハイマ-脳には神経突起伸長作用を阻害する低分子物質が対照脳よりも少量に存在することを明らかにした。 (5)アルツハイマ-脳、あるいは老年者脳を、抗脳型クレアチンキナ-ゼ(CK-BB)抗体を用いて免疫組織化学的に検索したところ、神経原線維変化をおこす神経細胞群(たとえば、大脳皮質第3層、第5層、海馬錐体細胞、マイネルト核など)が極めて高いCK-BB 免疫原性を有することを明らかにした。この結果は、原線維変化に密接に関係すると考えられている細胞骨格蛋白の異常リン酸化に、CK-BBが何らかの型で関与している可能性のあることを示唆している。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1986年 -1988年 
    代表者 : 朝長 正徳; 勝沼 英宇; 萬年 徹; 村山 繁雄; 池田 和彦
     
    神経系の病変を研究する場合に、定性的研究と定量的研究があるが、後者に関しては主としてDIGIPLANなどを用いた手動によるものが多く用いられてきた。しかし、これでは多数のものを計測するのに時間がかかりすぎる。一方、QUANTIMETなどを用いた自動的なものは濃度のみで構造を識別するので正確はでない。結局、肉眼による補正が必要になり、能率的でない。また、そのためにモノクロ標本を作らねばならない。そこで染色した組織標本そのものを用い、その色調により構造を自動的に判別させ、変化を容易に定量する方法があると便利である。本研究はこのための画像処理システムを用いて以下の解析の方法を開発した。この研究の基本システムとして、二次元画像処理システムにnexus6400が現在最適である。nexus6400はNASAの宇宙開発技術あるいはスパイ衛生ランドサットでの技術のために用いられた画像開発システムであり、これを生物資料の解析に応用した。本機は、パイプライン型のプロセッサーを搭載し、カラー画像をテレビカメラよりリアルタイムに取り込み、かつ高速に画像処理・演算を行うことの出来るイメージプロセッサーで画像解析に役に立つ粒子解析およびパックを備えており、本研究の目的に十分対応出来る能力を備えている。目的とする構造は、神経細胞の数、大きさ、神経突起のひろがり、グリアの数、髄鞘の容積、神経線維の数・径・面積、筋線維の数・面積・径などである。染色は髄鞘染色(KB染色)、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)、免疫組織化学、酵素組織化学、ゴルジ染色などである。これらにつき、標本の標準化をはかり、既存のプログラムがないのでこれをそれぞれの目的に応じて開発した。

委員歴

  • 2006年   神経感染症学会   評議員   神経感染症学会
  • 2003年   日本認知症学会   評議員   日本認知症学会
  • 2003年   日本神経病理学会   理事   日本神経病理学会
  • 1999年   日本病理学会   評議員   日本病理学会
  • 1998年   Society for Neuroscience   Foreign Member   Society for Neuroscience
  • 1998年   American Academy of Neurology   Clinical Associate   American Academy of Neurology
  • 1997年   リハビリテーション学会   認定医   リハビリテーション学会
  • 1992年   日本神経学会   評議員   日本神経学会
  • 1988年   American Association for Neuropathologists   Active Member   American Association for Neuropathologists

その他のリンク

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