ボランティア活動に着目して心身の健康への効果を検討した先行研究は多く(Nonaka, et al. 2019)、代表者らのレビューやその後蓄積された多くの縦断研究から、ボランティア活動に参加する高齢者は非参加者に比べて生活満足度や主観的健康感が高いといった報告がなされている。また我々は、「気が進まないのにボランティア活動へ参加しても健康維持には寄与しない」ことを示した。そこで、ボランティア活動のネガティブな側面(負担、不安、不満など)が与える心身の健康への影響や、活動意欲の低下または中止へと至る機序を明らかにするために、こうしたネガティブな側面を客観的に把握できる評価尺度(仮称:ボランティア活動ネガティブチェックリスト:以降、ネガティブCL)の作成を試みることとした。予備一次調査として、ネガティブ効果に関する質問紙調査を実施した。質問紙調査は、2021年11月から2022年2月にかけて郵送法により実施した。調査対象者は、NPOりぷりんと・ネットワークに所属する会員(退会・休会を除く)453名として実施し、404名(回収率:89.2%)から回答を得た。質問項目は、ボランティア活動への負担・不安・不満、ボランティア活動の内容等及び自由記述欄を設けた。現在、データベースを作成し、量的、質的に分析を行っている。